第55話 カブトvsサイクロプス

「「《斬撃》!」」


私とガタクは同時に斬撃を撃ちだす!


「ウオオオオオオオオ!!」


サイクロプスは棍棒を振り、斬撃を弾いた!

そしてそのまま棍棒が私達目掛けて振り下ろされる!


私とガタクは後ろに飛び、棍棒を回避する。


棍棒はそのまま地面に直撃し、地面に小さなクレーターを作り出した。


物凄い威力だ、まともに喰らっていれば身体がペシャンコに潰されてしまっていただろう。


「喰らうで御座る!《鎌鼬》!」


ガタクが鎌鼬でサイクロプスを攻撃する!


「ウオオオオオオオオッ!」


サイクロプスは棍棒を振りまわして鎌鼬を弾いていくが、全てを弾ききれず、右腕にいくつもの切り傷が出来る!


「ウウウウウ!」


私はサイクロプスの後ろに回り込む。


「《炎の角》! 《斬撃》!」


サイクロプスの背中目掛けて炎の斬撃を撃ち出す!


「ウオオオオオオオオ!?」


炎の斬撃はサイクロプスの背中を切り裂き、大きな傷を作った!


「ウウウウ…」


サイクロプスの動きが止まる。


どうしたんだと思った次の瞬間、サイクロプスの身体中の筋肉が膨張し始めた!


更にガタクが鎌鼬で付けた傷が徐々に再生し始めていた。


恐らくサイクロプスのスキル自己再生(小)で治しているのだろう。


サイクロプスの身体全体に血管が浮き出て、身体が真っ赤に染まった。


「ウウウウ…」


サイクロプスが真っ赤に血走った単眼で私を睨む。


「ウオオオオオオオオオオオ!!!」


雄叫びを上げ、サイクロプスは空中に跳んだ!


そのまま私目掛けて落下してくる!


私は後ろに跳び、落下地点から離れる!


ズゥゥゥゥン!!


地響きを上げてサイクロプスが落下する!


「くぅっ!」


あまりの衝撃に私は態勢を崩してしまう。


「ウオオオオオオオオッ!」


サイクロプスが私に棍棒を振り下ろす!


不味い! このままだと直撃する!


私は咄嗟に翅を広げ、棍棒を回避する!


「ぐぅっ!?」


しかし避けきれず私の前羽半分が砕けてしまった!


私はバランスが取れなくなった私はそのまま地面に落下する!


「ぐぅぅ…」


起き上がる私にサイクロプスが棍棒を振り下ろそうとする!


「《鎌鼬》!」


サイクロプスの後ろからガタクが鎌鼬でサイクロプスを攻撃する!


鎌鼬はサイクロプスに直撃するが、自己再生によって傷が治ってしまう。


「ウウウウ…ウオオオオオオオオ!」


サイクロプスがガタクの方を向き、棍棒でガタクを攻撃する!


「何の! 《風の大顎》! 《斬撃》! で御座る!」


ガタクは棍棒を飛んで避け、風の斬撃をサイクロプスの右腕に撃ち出す!


「ウオオオオオオオオ!?」


風の斬撃がサイクロプスの右腕に大き傷を作る! サイクロプスの右腕から鮮血が噴き出す!


サイクロプスの右手から棍棒が滑り落ちた。


「ウウウウ!」


サイクロプスは左手に棍棒を持ち直した!


「ウオオオオオオオオ!」


そして再びガタク目掛けて棍棒を振り回す!


「痛っつぅ…」


私は起き上がり、サイクロプスを見る。


そこであることに気付いた。


ガタクの方へ向いているサイクロプスの背中、その背中に私が炎の斬撃で付けた傷がそのまま残っていたのだ。


おかしい、サイクロプスは自己再生(小)で自分の身体を再生できるはず、なぜ背中の傷が治らない?


私はサイクロプスの右腕を見る。


右腕の傷は徐々に再生し、傷が塞がり始めていた。


何で右腕の傷は治り始めているのに背中の傷は再生しないんだ?


…もしや!


「グオオオオーッ!」


後ろからオーガが私に攻撃してくる!


「邪魔だ!」


私はオーガの攻撃を避け、後ろに回り込み、オーガを投げ飛ばした!


「グオオオオーッ!?」


投げ飛ばされたオーガはサイクロプスの背中の傷口に直撃した!


「ウ!? ウオオオオオオオオ!?」


突然の背中の激痛にサイクロプスは悶える!


サイクロプスに直撃したオーガはそのまま地面に落ちる。


「グオォ…グオ!?」


オーガは自分が何にぶつかったのか今理解し、硬直する。


「ウウウウ!」


サイクロプスが血走った眼でオーガを睨み、右足を上げる!


「ウオオオオオオオオッ!」

「グオ…!」


オーガは断末魔の悲鳴を上げることも出来ずにオーガの右足で潰し殺された!

その隙にガタクがサイクロプスの後ろを取る!


「油断大敵で御座る!」

「ガタク! 背中の傷を狙え!」

「了解で御座る! 《斬撃》!」


ガタクが背中の傷目掛けて斬撃を撃ち出す!


斬撃がサイクロプスの背中に直撃する!


「ウオオオオオオオオ!?」


サイクロプスが悲鳴を上げもだえ苦しむ!


その隙に私はサイクロプスの正面に跳ぶ!


「《炎の角》! 《斬撃》!」

「ウオオオオオオオオ!?」


炎の斬撃はサイクロプスの胸を焼き切った!


「ウウウウ…」


私はサイクロプスから距離を取り、胸の傷を見る。


やはり再生しない、原理は分からないが、自己再生は炎系の攻撃で出来た傷は治せないようだ。


私がそう考えた時、サイクロプスに異変が起きた!


「ウウウウ…!」


突如、サイクロプスの左腕の筋肉が膨張し始めたのだ!


サイクロプスの左腕は膨張し続け、元の倍以上になった!


「ガタク! サイクロプスから離れろ!」


嫌な予感がし、私とガタクはサイクロプスから離れる!


「ウオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


サイクロプスが大声を上げて棍棒を地面に振り下ろした!



ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!



サイクロプスを中心に凄まじい威力の衝撃波が発生する!


「ぐわああああああああああ!?」

「ぐはああああああああああ!?」


私とガタクは衝撃波に吹き飛ばされ、地面に激突した!



「ぐぅぅぅ…」


何て威力だ、近くにいたら確実にやられていた。


「ウウウウ…」


サイクロプスが私の方に向かって来る。


やばい、早く起き上がなければ!


「ウオオオオオッ!」


サイクロプスが私目掛けて棍棒を振り下ろそうとする!


くそっ間に合わない!


その時、サイクロプスの後ろに一つの影が現れた!


(主殿!)


ソイヤーだ! ソイヤーはそのままサイクロプスに攻撃する!


(《斬撃》!)


ソイヤーの斬撃がサイクロプスの背中に直撃した!


「ウオオオオオオオオッ!?」


サイクロプスは悶え苦しむ!


(《粘糸》!)


私の身体に糸が巻き付く。


(俺、糸、力いっぱい引っ張る、言う)


私は糸に引っ張られて、サイクロプスから離れる。


(ごしゅじん、だいじょうぶー!?)

(ご主人さま!)

(ご主人!)

(ご主人様!)


スティンガー達が私を心配する。


「大丈夫だ、所でミミズさん達は無事か?」

(うん、ウィズが守ってくれてるから大丈夫だよー)

「そうか、よし、全員でサイクロプスを倒すぞ!」

(わかったー!)

(分かりました!)

(俺、あいつ切り刻む、言う)

(あの醜い一つ目を食べてやりますわ)

「行くぞ!」


私達はサイクロプスに向かう!


「ウオオオオオオオオオオオ!」


サイクロプスがソイヤー目掛けて棍棒を振り回す!


(そのような大振りの攻撃など、このソイヤーには当たらん! 《斬撃》!)

「ウオオオオオオオ!?」


斬撃が胸の傷に直撃し、サイクロプスは悶え苦しむ!


「《鎌鼬》!」


そこにガタクが鎌鼬で追い打ちをかける!


「ウオオオオオオオオオオオ!」


サイクロプスは棍棒で鎌鼬を防ぐ!


私はサイクロプスの背後を取る!


「《炎の角》! 《斬撃》!」


私はサイクロプスの右足目掛けて炎の斬撃を撃ち出す!


「ウオオオオオオッ!?」


斬撃は直撃しサイクロプスは悲鳴を上げる!


「ウオオオオオオオオオオオ!!」


サイクロプスは棍棒をがむしゃらに振り回す!

これでは近づけない!


(《鱗粉》! 《風の翅》!)

(《花の鎌》!)


パピリオとカトレアが鱗粉と花の鎌の匂いを風に乗せてサイクロプスに送り込む!


「ウオオオオオオオオオオオ!」


サイクロプスは前方に棍棒を振り、鱗粉と花の鎌の匂いは吹き飛ばした!


その隙を狙ってテザーがサイクロプスの後ろを取る!


(《岩の鋏》!)


テザーの尻尾に岩が集まり、巨大な鋏になった!


(死ねぇっ!)


そのまま岩の鋏でサイクロプスの右足の脹脛(ふくらはぎ)を挟んだ!


テザーは身体を揺らし、鋏を脹脛に食い込ませる!


「ウオオオオオオオオ!?」


サイクロプスは右足を振りテザーを振り払おうとする!


そこにスティンガーがサイクロプスの左足に取り付く!


(くらえー!)


スティンガーがサイクロプスの左足に尻尾の毒針を刺す!


「ウオオオオッ!?」

(まだまだー!)


スティンガーは何回も何回も毒針を刺し続ける!


「ウオオオオオオオッ!」


サイクロプスが跳びあがりそのまま地面に落下する!


(うわあああああっ!?)

(くそがぁっ!!)


落下の衝撃でスティンガーとテザーが吹き飛ばされる!


「ウオオオ…!」


サイクロプスが左足に力を入れ、左足の刺し傷からスティンガーの毒を排出した。


「ウオオオオオオオオオオオ!」


サイクロプスはそのまま私達に突進し、私達目掛けて棍棒を振り下ろす!


「ガタク! ソイヤー! 同時攻撃だ!  《炎の角》!」

「了解で御座る! 《風の大顎》!」

(分かりました!)


私とガタクとソイヤーが同時に跳んだ!


「「(《斬撃》!!!)」」

「ウオオオオオオオオオオオ!?」


三匹による同時斬撃でサイクロプスの左腕は切断され、棍棒ごと地面に落ちた!


「ウオオオオ…」


サイクロプスの右膝が地面に着き、右腕で身体を支えていた。


どうやら体力の限界が来たようだ。


チャンスだ、あの技で勝負を決める!


「《炎の角》! 《超突進》!」


私の身体が光り輝き物凄い速さでサイクロプスに突進する!


「喰らえぇぇぇぇぇ!」


私は身体をキリモミ回転させながらサイクロプスの胸に突き刺さる!


「ウオオオオオオオオオオオオオ!?」


サイクロプスが悲鳴を上げ、悶え苦しむ!


「まだだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


私はドリルのように回転しながらサイクロプスの胸板を抉り進み背中を貫通して飛び出した!


「ウオオオッ! ウオオオオオオオオオオオオオオオオッ!?」


サイクロプスが断末魔の悲鳴を上げる!


「オオッ、オオオオオオオッ、オゴォッ!」


ズゥゥゥン!


サイクロプスは血反吐を吐き、地面に倒れる。


「ォォォォォォ…」


だんだんと声が小さくなっていき、サイクロプスは動かなくなった。


頭に声が響く。


《ゴブリン、グレーウルフ、オーガ、サイクロプスを倒した、ヤタイズナはレベル50になりました。 レベルが上限に到達しました。 イグニスビートルへの進化が可能になりました。 進化しますか?》


おお、遂にレベルが50になったぞ。


それじゃあ勿論進化する…うっ!?


超突進の反動で身体が重くなり、意識が朦朧としてくる。


《了解しました、進化を開始します》


その言葉を聞きながら、私の意識は薄れていった。











今回次回予告の道はお休みです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る