第54話 一つ目が通る

魔物達を退けた私達は遠征部隊に多くの被害が出たので今日はここで野営することにした。


ゴブリンとオーガとの戦いで私のレベルは35になった。

この調子なら直ぐにレベル上限に達して進化できるだろう。

それとさっきの戦いでスティンガーとソイヤーとテザーの三匹が進化した。


スティンガーは体長1メートル10センチ程になり体色は前よりも黄色が濃くなっていてる。

しかし一番大きく変わったのは尻尾の部分だ。

スティンガーの尻尾は前よりも大きくなり、尻尾全体に紋様のようなものが刻まれていた。


(これでもっとごしゅじんのやくにたてるよー♪)


と言いながら尻尾を振り回すと、ブォンブォンと風切り音が聞こえた。


あの尻尾で相手を攻撃しても十分強力かもしれないな。



テザーは見た目は変わっていないが、体長が尻尾の鋏を含めて1メートル30センチ程になっている。


(俺、強くなった、言う)


そう言ってテザーは尻尾の鋏を動かしていた。


そして最後にソイヤーは体長1メートル40センチ程になり、体が光沢のない銀色になっている。

体の白い筋模様はそのまま残っている。


(進化して手に入れたこの力、主殿のために使います!)


相変わらずイケメンなセリフを言っている。


私は三匹に鑑定を使いステータスを確認した。










ステータス

 名前:スティンガー

 種族:デビルテールスコルピオン(希少種)

 レベル:1/45

 ランク:B-

 称号:魔王のしもべ

 属性:地

 スキル:毒耐性

 エクストラスキル:悪魔の毒針

 







ステータス

 名前:テザー

 種族:ジャイアントテールシザー

 レベル:1/40

 ランク:C+

 称号:魔王のしもべ

 属性:地

 スキル:怪力鋏

 エクストラスキル:岩の鋏










ステータス

 名前:ソイヤー

 種族:シルバーロングホーンビートル

 レベル:1/40

 ランク:C+

 称号:魔王のしもべ、伐採者

 属性:風

 スキル:怪力鋏、斬撃、斬撃耐性、剣技












スティンガーはB-、テザーとソイヤーはC+になった。

これで七匹全員がCランク以上になった。


「これならゴブリンとオーガは楽に倒せるだろうな」

「そうじゃのう」

「ヤタイズナさーん」


ウィズが私の元にやって来た。


「ごはん持ってきたよー、はい、グレーウルフの肉5匹分!」

「ありがとう、…ウィズ、これ生なんだけど」


ウィズが持ってきたのは生肉だった。


「ヤタイズナさんは自分で焼けるから生でもいいかなーって思ったの」

「…まぁいいけどさ、《炎の角》」


私は炎の角を使い肉を焼いた。


今日の夕食はグレーウルフのステーキだ。


「こいつは美味いな」

「美味で御座る!」

(おいしい~♪)

(絶品ですね!)

(肉汁が美味しいです~)

(俺、美味い、言う)

(美味しいですわ)

(とても美味しいですね)

「やっぱりヤタイズナさんの炎で焼くと肉がとっても美味しくなるねー」


夕食を済ませた私達は明日に備えて寝ることにした。










翌日。


遠征部隊は魔物討伐に向けて再び大草原を移動していた。


「…全員、止まれ!」


バーニャの言葉で遠征部隊が止まる。


「…来たか」



前方から甲高い声が聞こえてきた。


「…ギャハハーッ!」

「ヒィッハハーッ!」

「キャギャキャーッ!」

「グオオオオオーッ!」


ゴブリンとオーガだ! 昨日とは比べものにならない数のゴブリンとオーガがこちらに向かって来る!


「全員、戦闘準備ー!」


遠征部隊が武器を構える。


「突撃ぃー!!」

「「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」


遠征部隊がゴブリンとオーガ目掛けて突進する!


「私達も行くぞ!」


私達は一斉に動き出した。


「いいか、オーガを優先して殺せ! オーガを全員殺せばゴブリンは戦意を失って逃げていくはずだ!」

「了解で御座る!」

(わかったー!)

(進化して得た力で奴らを屠って見せます!)

(行きますよー!)

(俺、奴ら、皆殺し、言う)

(お腹いっぱいになるまで奴らを喰ってやりますわ)

「ベルはバノンとミミズさんと一緒にいるんだぞ!」

(分かりました!)


私は一気にオーガの元に向かう!


「《炎の角》!」

「グオオオオー!?」


私は炎の角でオーガを焼き切る!


「ガアアアアアアア!!」


オーガを乗せていた熊型魔物が私に襲いかかる!


「《斬撃》!」


私は斬撃で熊型魔物の首を切り落とした!


「ギャギャギャーッ!」

「ギャッハハーッ!」


ゴブリンが私に襲いかかる!


「邪魔だ!」

「ギギャーッ!?」

「ウギャーッ!?」


炎の角でゴブリンを焼き殺す!


「「「「グオオオオーッ!」」」」


数匹のオーガが私に向かって来る!


「グオオオオーッ!」


オーガが持っていた鉄の棒で私を攻撃する!


「甘いっ! 《斬撃》!」


私は後ろに飛び、そのまま斬撃でオーガの首を切り落とす!


「「「グオオオオーッ!」」」


残りのオーガがまとめて私に突進してくる!


「《鎌鼬》!」

「「「グオオオオーッ!?」」」


空から鎌鼬が降って来てオーガ達を切り刻んだ!


「殿、お怪我は?」

「大丈夫だ、ナイスアシストだったぞガタク」


「グオオオオーッ!」

「ギャギャギャーッ!」

「キャギャッキャーッ」


ゴブリンとオーガがまとめて私とガタクに襲いかかる!


「行くぞガタク!」

「了解で御座る!」


私とガタクはゴブリンとオーガを次々と切り殺していく!


他のしもべ達も次々とオーガを殺していく。


戦況はこちらが優勢だ。

このまま一気に終わらせたい。


そう思ったとき。


ドシーン…


謎の地響きが起きた!


ドシーン…ドシーン…


いや、これは地響きではない、何かの足音だ!


ズシーン…ズシーン…ズシーン…


足音はどんどんと近づいてきている。


私は足音のする方を向いた。


その方向の遠方から巨大な何かがこちらに向かって来ている。


私はその何かを見る。


それは巨大な人型の魔物だった。


体長5メートルはありその身体は筋肉で覆われていて、その手には巨大な棍棒が握られている。


そして顔には巨大な単眼と一本の角が生えている。


この巨人を私はゲームで見たことがある。


巨人を見た冒険者達が叫ぶ。


「さ、サイクロプス!?」

「そんな、何でこんな所にサイクロプスが!?」


そう、この巨人はサイクロプスと言う人食い怪物だ。

確か元は神話に出てくる神の名前らしい。


サイクロプスはその単眼で近くにいた冒険者を見た。


そして次の瞬間、手に持っている棍棒で冒険者がいた辺り一面を棍棒で薙ぎ払った!


「ギャギャー!?」

「グオオオオー!?」


サイクロプスの攻撃に巻き込まれたゴブリンとオーガは天高くへと吹き飛び、そのまま落下した。


「ウウウ…ウオオオオオオオオッ!!」


サイクロプスが雄叫びを上げた!


「うわああああああああ!!」

「逃げろぉ!」

「あんな化け物に勝てるわけがない!」


冒険者達と王国兵士達が悲鳴を上げる。


「副ギルド長!」

「分かっている! 全員一時撤退だ!」


バーニャの言葉を聞き、遠征部隊の人間が我先と逃げていく。


「ウウウ…」


サイクロプスが逃げる遠征部隊を見る。


「ウオオオオオオオオ!!!」


雄叫びを上げて冒険者達目掛けて歩き出した!


標的はやはり人間か!


私は空を飛びサイクロプスの元に向かう!


「《斬撃》!」


斬撃がサイクロプスの右腕に命中し、切り傷を付けた!


「ウウウ!?」


サイクロプスがこちらを見る、そして。


「ウオオオオオオオオ!!!!」


腕を傷つけられたことに怒りの雄たけびを上げた!


「ウウウウ…」


サイクロプスが私に向かって来る。

標的が私に変わったようだ。

私は鑑定を使いサイクロプスのステータスを確認した。











ステータス

 名前:無し

 種族:サイクロプス

 レベル:30/50

 ランク:B

 称号:魔王のしもべ

 属性:地

 エクストラスキル:筋力増強(大)、馬鹿力、筋肉の鎧、自己再生(小)













魔王のしもべ!?


どういうことだ、あの称号を持っているという事はこいつは私以外の六大魔王のしもべと言う事なのか?

と言う事は、六大魔王の誰かがアメリア王国を滅ぼそうとしていると言う事なのか?


「殿! 危ないで御座る!」

「っ!?」


ガタクの言葉を聞き前を向くと、サイクロプスが私目掛けて棍棒を振り下ろしてきた!


「ちぃっ!」


私は横っ飛びで棍棒をギリギリ回避する!


「ウウウ…」


サイクロプスが目を血走らせて私を睨む。


考えるのは後だ、まずはこいつを片付けないとな。


「殿! 無事で御座るか?」

「ああ、大丈夫だ、ガタク行くぞ!」

「了解で御座る!」

「ウオオオオオオオオ!!!」

「「《斬撃》!!」」



私とガタクはサイクロプスに同時斬撃を撃ちだした!














「第25回次回予告の道ー!」

「と言うわけで今回も始まったこのコーナー!」

「次回はサイクロプスとのガチバトル!」

「うむ! 見事奴を倒し立派な魔王に近づくのじゃ!」

「魔王と言えば、何でサイクロプスは魔王のしもべの称号を持っていたんだろうね」

「まぁそれは後々分かると言う事で、それでは次回『カブトvSサイクロプス』!」

「「それでは、次回をお楽しみに!」」


・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので、次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

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