第67話 カブトvsムカデⅢ

打ち出された昆虫の卵は高速回転しながら物凄いスピードでクルーザー目掛けて一直線に突き進む!


「キシャアアッ!?」


昆虫の卵に気付いたクルーザーは咄嗟に身体を曲げ、昆虫の卵を回避しようとする!


しかし回避する事が出来ず昆虫の卵がクルーザーの胴部に突き刺さる!


「キシャアアアアアアアアアアアアアアッ!?」


クルーザーが悲鳴を上げ、悶え苦しむ!


昆虫の卵はそのまま高速回転しながらクルーザーの身体を抉り、突き進んで行く!


「キシャ、キシャアアアアアアアアア!!」


クルーザーが猛毒の牙を使い、自分の身体に刺さった昆虫の卵を攻撃する!


バキンッ!


「キシャアアアアア!?」


しかし高速回転する昆虫の卵に触れた瞬間、クルーザーの牙はへし折れ、地面に突き刺さった!


そして、遂に昆虫の卵はクルーザーの身体を突き破り、クルーザーの身体に大きな穴を作った!


「キ、キシャアアアアアアアアア!?」


クルーザーが悲鳴を上げてもだえ苦しむ!


クルーザーの身体を突き破った昆虫の卵はそのまま突き進み、壁に突き刺さった!


クルーザーの身体に開いた穴から黄色の液体が流れ落ちていく。


「キ、キシャアアアアア…!」


クルーザーが弱々しく叫ぶと、身体に開いた穴とへし折れた牙が徐々に再生していく。


再生させるものか、このまま一気に勝負を付けてやる!


「《炎の角》!」


私は炎の角を使い、クルーザー目掛けて走る!


「キ、キシャボォアアアアア!」


クルーザーは粘着の息吹を私目掛けて吐き出した!


「甘いっ!」


私は粘着の息吹を回避しながらクルーザーに向かっていき、クルーザーの懐に入る!


「喰らえっ!」


私は炎の角をクルーザーの傷穴の横に向かって振った!


炎の角がクルーザーの身体を焼き切っていく!


「キシャアアアアアアアアアアッ!?」


クルーザーが悲鳴を上げる!


「うおおおおおおおおおおっ!」


もっと、もっとだ!


もっと火力を上げなければクルーザーの身体を切断できない!


「もっと燃えろぉぉぉぉぉぉっ!!」


私の叫びに応えるように炎の角の炎が強くなっていく!


「うおおおおおおおおおおおおおおっ!」


私は全力を込め、炎の角でクルーザーの身体を切断した!


「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」


身体を真っ二つに切断されたクルーザーの上半身が悲鳴を上げて地面に倒れる!


切断されたクルーザーの下半身がビチビチと音を立てて暴れまくっている。


「や、やった…」


私はクルーザーを見る。


「キ、キシャアアアアア…」


クルーザーは力なく地面に倒れている。


切断面からは体液が吹きだしまくっている。


しかし切断面は自己修復により徐々に、徐々に再生している


あれだけの傷だ、いくら自己修復でも再生するのは時間がかかるだろう。


このまま一気にトドメを…!?


突然最深部全体が揺れ始めた。


何だ? そう思い周りを見ると、天井にヒビが入り、岩が落ちてきた!


どうやらクルーザーが穴を掘りまくったせいで最深部全体が崩壊を始めたようだ。


天井が崩れはじめ、天井から大量の岩が落ちてくる!


不味い、早くここから出ないとこのまま生き埋めになるぞ…そうだ! 昆虫の卵を回収しないと!


私は落石を回避しながら空を飛び、昆虫の卵が突き刺さっている場所に行く。


「ふんっ!」


私は角で昆虫の卵が刺さっている壁を壊し、卵を回収する。


よし、ここから脱出だ!


私は空を飛んで最深部へと入って来た穴に向かう。


しかし!


「キシャアアアアアッ!」


「クルーザー!?」


さっきまで倒れていたクルーザーが私を追いかけて来る!


「キシャボォォォォォォォ!」


クルーザーが私目掛けて粘着の息吹を吐き出す!


「くっ!」


私は粘着の息吹を回避する!


「ぐぅっ⁉」


粘着の息吹を回避した瞬間、落石が私の翅に直撃し、穴が開いてしまった。


しまった、バランスが…


バランスが取れなくなった私は翅を畳み地面に着地する!


「キシャアアアアア!」


その時を狙われて後ろからクルーザーが襲って来た!


「しまっ…」


「キシャアアアアア!」


クルーザーが再生させた牙で私を攻撃!


「キシャアアッ!?」


―しようとしたその時、クルーザーの真上から岩が落ち、クルーザーを押し潰した!


「キシャアアアアア! キシャアアアアアアアア!」


クルーザーが抜け出そうともがいているがどんどん岩が落ちてクルーザーの身体を埋めていく。


助かった、今のうちに脱出だ!


私は全速力で走り最深部から脱出した!


私が脱出した瞬間、最深部の入り口が落石によって塞がれた。


「ふぅ…何とか脱出できた…」


頭に声が響く。


《クルーザーを撃退した、ヤタイズナはレベルが3になった、条件を達成しました、エクストラスキル:操炎を獲得しました。》


どうやら今回の戦いは撃退扱いになったらしい。


そう考えていると、後ろから声が聞こえてきた。


「おーい、ヤタイズナー!」

「ミミズさん」


ミミズさんが私の元にやって来た。


「ヤタイズナ、クルーザーを倒したのか?」

「いや、倒せていない、まだ生きてると思う」

「そうか…まぁ良い、それよりお主疲れているじゃろう、今は巣に戻って身体を休めるのじゃ」

「ああ、分かったよ」


私は卵を抱え、ミミズさんと共に出口に向かった。












「第32回次回予告の道ー!」

(俺、今回もこのコーナーが始まった、言う)

「次はテザーか…ちゃんと予告できるのか?」

(俺、今回ご主人、クルーザー倒せなかった、けど、次は絶対に倒せる、そう信じてる、言う)

「そうじゃな、ヤタイズナなら出来る、儂もそう信じているぞ!」

「俺、次回『強くなる』、言う」

「強くなるって、誰がじゃ?」

(俺、次回をお楽しみに、言う)


・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

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