第66話 カブトvsムカデⅡ
私はクルーザーをおびき寄せながら洞窟内を走り続ける。
「《斬撃》!」
「キシャアアアアアッ!?」
途中、斬撃でクルーザーを攻撃しながら、洞窟の奥へと走り続け、ようやく最深部に到着した。
私は辺りを見渡す、間違いない、ここは最深部だ。
懐かしいな…私が生まれた場所…ミミズさんと出会い、私が魔王になった場所…私の第二の生まれ故郷のようなものだよな、ここって。
「キシャアアアアアッ!」
私が懐かしさに浸っていると、クルーザーが最深部にやって来た。
おっと、懐かしむのは後だ、まずはクルーザーを倒すことに集中しよう!
「キシ、キシャボァァァァ!」
クルーザーが私目掛けて粘着の息吹を吐きだした!
私は翅を広げ、空を飛んで粘着の息吹を回避する!
「《斬撃》、《斬撃》、《斬撃》、《斬撃》、《斬撃》!」
私はクルーザーに連続で斬撃を撃ち出した!
「キシャ、キシャアアアアア!?」
無数の斬撃がクルーザーの身体を切り裂いていく!
「キシャアアアアア!」
しかしどれだけ切り付けてもクルーザーの身体は自己修復により徐々に再生していってしまう。
やはりあの自己修復を何とかしないと、どれだけ傷を負わせても直ぐに直されてしまうか…
「キシャアアアアア!」
クルーザーが突然地面に穴を掘り、地面に潜ってしまった。
何をする気だ?
私は飛びながら辺りを警戒する。
その時!
「キシャアアアアアッ!!」
「何っ!?」
クルーザーが天井から飛び出し、私に襲い掛かる!
「キシャアアアアア!」
クルーザーが猛毒の牙で私を攻撃する!
「ちぃっ!」
私は身体を回転させて、クルーザーの攻撃を回避しようとする。
「ぐぅっ!?」
しかし回避しきれず猛毒の牙が腹部にかすってしまった!
クルーザーは再び地面に穴を掘って潜った。
「くっ…」
猛毒の牙にかすってしまった部分に激痛が走る。
油断した、クルーザーは穴堀の達人と言うスキルを持っていたが、ミミズさんのスキルと同じで穴を掘るだけのスキルと考えていたけど、結構厄介だな…そう言えば称号にも暗殺者があったし、さっきキングテールシザーを仕留めた時も地面から出てきたな…
「キシャアアアアア!」
私がそう考えていると、今度は壁からクルーザーが飛び出し、私に突進してきた!
「ちぃっ!」
私は上昇して突進してきたクルーザーを回避する。
その後クルーザーは再び地面に潜り、そしてまた天井、壁から飛び出して襲って来るを繰り返す。
そのおかげで最深部の天井と壁は穴だらけになってしまっている。
「はぁっ、はぁっ…」
私は空中でクルーザーの攻撃を回避し続けているが、毒のダメージと疲労が溜まり、徐々に体力が落ちてきていた。
くそっ…このままじゃいずれ毒で私は動けなくなり、クルーザーに喰われてしまうだろう。
こうなったら、一気に勝負を決めに行く!
私は最深部の中心地に降り、そのまま動かず、じっとその場にとどまる。
私がここに降りたなら、奴が飛び出して来る場所は間違いなく…
ドドドドドド…
地響きが段々と近づいてくる。
まだだ…まだ…
私の下の地面に亀裂が入る!
よし、今だ!
私は一気に後ろに跳ぶ!
「キシャアアアアア!」
その瞬間、私がいた場所からクルーザーが飛び出してきた!
「《昆虫召喚》!」
私は言葉と共に全長50センチ程の昆虫の卵が出現する!
「くらえぇぇぇぇぇぇ!!」
私は全身全霊を込めて、昆虫の卵をクルーザー目掛けて打ちだした!
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