第61話 アメリアからの旅立ちⅡ
オリーブと一緒にカブトムシのぬいぐるみの素晴らしさについて語り合った後、オリーブが私に質問してきた。
「あの、ヤタイズナさん、大樹海に帰ると言ってましたけど、何時頃帰られるのですか?」
「そうですね…明日には王様とギルドからこの国の美味しい物を貰って、帰りの準備をしたりするから…早くて二日後ですね」
「二日後…そうなんですね…」
「はい、それで今日はもうそろそろ夕方になるので、今日はもう戻ろうと思います」
「分かりました、ではまた明日城に来たときは会いに来てくださいね、待ってますから」
「勿論です、それじゃあ皆、ウィズの家に帰ろうか」
「了解で御座る!」
(わかった~♪)
(承知しました)
(分かりました♪)
(俺、分かった、言う)
(分かりましたわ)
(分かったです)
「おう、分かった」
「もう帰るのか? もっとクッキー食いたかったがのう…」
私達が庭園から出ようとしたら、ウィズが私に話しかけた。
「ヤタイズナさん、私はもうちょっとお姉ちゃんと一緒にいるから先に戻っててよー」
「分かった、それではオリーブ、また明日」
私達は城を出て、ウィズの家に帰った。
ウィズの家に戻った私達はウィズが戻って来るのを待っていたが、夜になってもウィズは帰ってこない。
「ウィズ、遅いな…何かあったのかな?」
「どうせその内帰って来るじゃろう、そんな事より飯じゃ、飯」
私達は一足早く夕食を食べることにした。
今夜のメニューはグレーウルフのステーキ。
塩をかけて食べると中々美味かった。
―その頃、オリーブの自室にて。
「ぐすっ…ウィズぅ…ヤタイズナさんがまた私の側から居なくなっちゃうよぉ…」
「お姉ちゃん、いい加減泣き止んだらー? 泣き過ぎて目が腫れちゃってるよー」
ウィズが泣いている私を慰めてくれています。
ヤタイズナさんが庭園から居なくあった後、私は自室でずっと泣いていました。
二日後にヤタイズナさんがこの国から出ていってしまうと言う事実に耐えられなかったんです。
「でもお姉ちゃん頑張ったよねー、前はヤタイズナさんが大樹海に帰るって言った時はヤタイズナさんの前で泣いちゃってたけど、今日は我慢してたよねー」
「ぐすっ…うん、ヤタイズナさんを困らせたくないから、私泣くの我慢した…」
「お姉ちゃんえらいねー、よしよし」
ウィズがオリーブの頭を撫でる。
「でもこのままだとまた前みたいにヤタイズナさんに会いたいって気持ちが溢れてくるんじゃないのー?」
「うん…」
ウィズの言う通りです…このままだとまたあの時のようにヤタイズナさんへの想いが溢れてしまうと思いました。
どうしたらいいんでしょうか…
「このままだとまたウィズに迷惑を掛けちゃう…」
「まだそんな事気にしてたのー? そんな事気にしないで私を頼っていいって言ってるじゃんかー」
「ウィズ…」
「それで、お姉ちゃんはヤタイズナさんに会えなくなるとヤタイズナさんへの想いが溢れすぎて我慢できなくなっちゃうんだよねー?」
「うん、そうなの…」
私はヤタイズナさんの事が大好き…ヤタイズナさんも私の想いを嬉しいと言ってくれました。
ヤタイズナさんと一緒に居るととても幸せな気持ちになる…でも長い間ヤタイズナさんと会えないと我慢できなくなっちゃうんです、ヤタイズナさんへの想いが溢れすぎてしまうんです…どうしたらいいんでしょうか…
「うーん…そうだ! 良いこと思いついたよー」
「どんなことを思いついたの?」
「いつもヤタイズナさんと一緒に居る時と同じ気持ちになればいいんだよー」
「…それが出来ればこんなに悩んでいないと思うんだけど…」
「大丈夫! 私にいい考えがあるんだよー」
「考えって?」
「思い出を作るんだよー!」
「思い出?」
「うん! ヤタイズナさんとの思い出を作ってそれを思い出せば何時でも幸せな気持ちになるんじゃないのかなー?」
「つまり、ヤタイズナさんとの幸せな思い出を作れってこと?」
「そう言う事だよー!」
「でも、ヤタイズナさんは帰るための準備とかで色々と忙しいんじゃないの?」
「大丈夫、私に考えがあるよー!」
「?」
「えっとねー…ごにょごにょ…」
ウィズが私の耳元で囁きました。
「……え、ええーーーーーーー!?」
ウィズの考えを聞いて、私は顔を真っ赤にして叫んでしまいました。
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