第317話 集結、六大魔王ⅩⅦ
――その一方で、バロム達から少し離れた場所で勇者達は中型百足や体の一部がトンボの羽やカマキリの鎌、クワガタの大顎に変形している百足達が殺到していた!
『『キシャアアアアアアアアッッ!!』』
「纏めて消し飛ばす……! 伸びろ、《閃光の剣》!!」
勇者ユウヤが剣を上に掲げると刀身が光に包まれ天高く伸びる!
「《シャイニングセイバー・バーチカル》ッッ!!」
そして剣をおおきく振りかぶる! 縦一閃、凄まじい光の斬撃が空と地の百足の群れを呑み込む!
『『ギシャアアアアアアアアアッッ!?』』
百足達が断末魔を上げながら光に包まれ消滅していく!
「流石ね悠矢! 私も負けてられないわ!」
勇者アヤカが両手を叩き合わせるとその周囲に九つの雷球が発生、バチバチと激しく放電しながら雷球が縦一列に並んだ瞬間、雷球は九つの首を持つ雷の龍へと姿を変えた!
「喰らいなさい! 《九頭竜の雷撃》ッッ!!」
『ギシャア!?』
『キシャアアアアッ!?』
雷龍は咆哮を上げながら九つの頭で周囲の百足を喰らい消滅させていく!
「やるな綾香! 以前よりも魔法に磨きがかかってるな!」
「当然でしょ、私達は世界を救う勇者なんだから! 悠矢一人にいい格好はさせないんだから!」
「綾香ちゃんの言う通りです! 私もパワーアップした力で頑張ります! 出てきてシロちゃん、クロちゃん!」
そう言って勇者ミズキは両側に全長3メートルはある白と黒の岩のゴーレムを召喚した。
「シロちゃん、クロちゃん、《合体》!」
ミズキがそう叫ぶと、二体のゴーレムの身体が分離し組み合わさっていき、全長5メートルはある白黒模様のゴーレムが姿を現した!
両腕には鋭い岩の爪、その頭部はクマのような造形となっていて、少し可愛らしさがある。
「完成! 合体ゴーレム《パンダちゃん》!! パンダちゃん、あの百足達をやっつけて!」
パンダちゃんは主人である勇者ミズキの命令に従い、百足目掛けて猛スピードで突進し、両腕の巨大な爪で切り裂いていく!
『キシャアアアアアッッ!!』
中型百足が両腕の鎌でパンダちゃんを斬り裂くが、その一撃は岩の塊であるパンダちゃんの身体に弾かれる!
「キシャア!」
『キイィッ!』
中型百足達が左右から挟み撃ちを仕掛けるが、そこにパンダちゃんの全体重を乗せたカウンターパンチを受け粉々に飛び散った。
『『『キシャアアアアアアアアッッ!!』』』
大量の小型百足達が一斉に襲い掛かるが――
「パンダちゃん! 今こそ必殺技だよ!」
パンダちゃんは地面に両腕を突き刺し、頭部のクマの口が開き、口内に光が集まり圧縮されていく!
「《滅殺・パンダちゃんビーム》ッッ!!」
パンダちゃんの口から放たれた一条の光は小型百足達を呑み込み一瞬で消滅させる!
『キシャアアアァァッ!?』
『ギイイィイィィイィイッ!?』』
そして光線はそのまま中型百足達の群れに直撃し、大爆発を起こした!!
「やったねパンダちゃん!」
ミズキが嬉しそうに飛び跳ねる。
「凄いわ瑞樹! ゴーレムを合体させてあんな攻撃ができるようになってるなんて」
「特訓の成果だよ! この調子でどんどん行っちゃえパンダちゃん!」
「俺も負けてらんねぇな! 《天地異変》! オラァァァァァァ!!」
勇者カイトはメイスを勢いよく地面に叩き付けると、地面が大きくひび割れ、小型百足達が裂けめに落ちていく!
『キシャアアアアアッ!?』
『シャアアアアアア!?』
「まだまだァァァァッ!」
更に続けてメイスを大きく振り回す! すると、カイトを中心に風が逆巻き始め、砂塵と小型百足達と中型百足を巻き上げながら巨大な竜巻が発生した!
「これでトドメだァァァッ!!」
カイトがメイスを天高く掲げると、竜巻の真上に雲が集束し巨大な雷雲へと姿を変え、竜巻に雷を落す!
『『ギシャアアアアアアアアッ!!?』』
雷に撃たれた百足達は断末魔を上げながら黒焦げになり、そのまま消滅していく。
「よっしゃどうだぁ!」
「流石だな海斗!」
「へっ! これぐらいは朝飯前だぜ!」
「お前たち、勇者様達に後れを取るなよ!」
『『『オオォオオオオオオオオオオッ!!!』』』
冒険者と王国軍兵士達も遠距離からの矢と魔法攻撃、多対一での戦闘で臨機応変に小型百足と中型百足を倒していく。
だがそれでも百足達の数は膨大で、勇者達の前に立ちはだかる。
「くそっ! これではバロム殿達の元へ加勢に行けない!」
「私たちをここに釘付けにするのが敵の作戦なのかしら!?」
「もう、小狡いですね!」
「全くだぜ!」
「皆、こいつらを蹴散らし一刻も早くバロム殿達の元へ向かうぞ!」
『『了解!!!』』
『『『キシャアアアアアアアアアアッッ!!』』』
百足達が勇者たちに津波の如き勢いで押し寄せる!
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