第76話 レイド大雪原Ⅱ

「行くぞガタク! 《炎の角》!」

「了解で御座る! 《風の大顎》!」


私とガタクが飛び掛かって来たゲジ・ゲジ達を切り殺していく!


ゲジ・ゲジ達は勢いを止めることなく私達に襲い掛かって来る!


よし、ここは新しく作った技を試してみるか。


「《炎の角》、《斬撃》!」


私はゲジ・ゲジ達に炎の斬撃を撃ちだす!


「《操炎》!」


私が操炎を使うと、炎の斬撃が複数に分裂する!


分裂した炎の斬撃がゲジ・ゲジ達を焼き切っていく!


「よし!」

「おお! まるで拙者の鎌鼬のようで御座る! このような技を編み出していたとはさすがは殿で御座る!」


実はこの二週間の間に私は操炎の訓練をしていたのだが、その時炎の斬撃も操れることに気がついた。


それから訓練を重ねて、炎の斬撃を分裂させることに成功したのだ。


本当に便利なスキルだ。


これからもどんどん新しい技を編み出すぞ。


私がそう考えていると、ゲジ・ゲジが私に飛び掛かって来る!


「《斬撃》!」


私は飛び掛かって来たゲジ・ゲジを斬撃で切り殺す!


(喰らうがいい、《斬撃》!)


ソイヤーが斬撃でゲジ・ゲジを真っ二つに両断する!


ゲジ・ゲジ達がソイヤーに襲い掛かる!


(くっ!)

(あぶない! えーいっ!)


スティンガーが尻尾を振ってソイヤーを襲って来たゲジ・ゲジ達を薙ぎ払う!


(ソイヤー、だいじようぶ?)

(大丈夫だ、ありがとうスティンガー…! スティンガー! 上だ!)


天井に居たゲジ・ゲジがスティンガーを襲う!


(《岩の鋏》! 死ねぇ!)


テザーが岩の鋏を使ってスティンガーを襲おうとしたゲジ・ゲジを両断する!


(テザーありがとー!)

(俺、礼はいらない、言う)




(《風の翅》! えーいっ!)


パピリオが風の翅でゲジ・ゲジ達を吹き飛ばす!


吹き飛ばされたゲジ・ゲジ達は地面や壁に激突し、倒れて動かなくなるが、何匹かは起き上がってパピリオに向かっていく。


(もーっ! 鱗粉が使えたら一発で終わるのにー!)

(仕方ないでしょう、このような場所で私達のスキルを使ったらご主人様達にも影響が出てしまうのですから…あら結構美味しいですわね)


カトレアは鎌で捕まえたゲジ・ゲジを食べていた。


(食べてないで戦って下さいよー!)




「オラァ!」

「ハァッ!」


私とガタクは殺到するゲジ・ゲジ達を切り殺していくが、ゲジ・ゲジ達は全く数が減らない、一体何匹居るんだ?


「ぬおおおおおおおおおおお!?」


私がそう考えていると、後ろからミミズさんの叫び声が聞こえた。


「ミミズさん!? どうしたんだ!?」

「後ろからも奴らが出てきたのじゃあっ!」

「何だって!?」


後ろを見ると、大量のゲジ・ゲジがこちらに向かって来ていた!


「くそっ、ミミズさん、バノン、今そっちに行くから…ちぃっ!」


私は後ろに行こうとするが、大量のゲジ・ゲジ達が邪魔をしてきて動けない!


「ぬおおおおおおお!? 来るなぁぁっ!」

「ミミズさん!」

(《氷の牙》!)


ミミズさん達に襲い掛かろうとしたゲジ・ゲジをリュシルが噛み殺した!


リュシルの牙は氷が纏われていて、まるで氷柱のようになっていた。


「おお、助かったのじゃリュシル」

(礼には及びません、それよりも私の後ろに下がって下さい、奴らを殺しますので)

「分かったのじゃ」


リュシルはそのままゲジ・ゲジ達を氷の牙でゲジ・ゲジをかみ殺していく!


リュシルの奴強いな、流石は魔獣王のしもべ。


「パピリオ、カトレア、テザー! お前達はリュシルの手助けをしてやれ」

(分かりました!)

(お任せをですわ!)

(俺、分かった、言う!)


パピリオ達が後ろに行き、ゲジ・ゲジ達を倒していく。


「ベル、闘志の鈴音を使ってくれ」

(分かりました、《闘志の鈴音》!)


リーン! リーン! リリーン! リリリーン! リリーン…


ベルの投資の鈴音を聞き、私の身体に力が湧いてきた!


「行くぞぉっ! 《炎の角》!」

「力が漲って来るで御座る! 《風の大顎》!」


私とガタクは同時に攻撃する!


「「《斬撃》!」」


炎と風の合体斬撃がゲジ・ゲジ達を両断する!


「よしっ! このまま一気に倒すぞ!」

「了解で御座る!」

(ぼくも頑張るぞー!)

(私もやってやります!)

 

私達はどんどんゲジ・ゲジ達を倒していった。












数十分後、私達の周りにはゲジ・ゲジ達の死体が散乱している。


「はぁっ…終わったぁ…」

「これで全部倒したで御座るな…」

(つかれたよー…)

(全くだ…)


後ろからリュシル達がやって来る。


(こちらも片付きました)

(何とかなりました)

(中々美味しかったですわ)

「儂らにかかればこのような奴ら簡単じゃったわ」

「俺達何もしてないだろうが」

「これでやっと移動できるな…しかしリュシル、お前が大樹海に来るときにこの洞窟を通った時もこんなにゲジ・ゲジ達がいたのか?」

(いいえ、前に通った時はこれ程の数は居ませんでした、しかしあの魔物達少し変でしたね)

「変って…どこがだ?」

「あの魔物、私が遭遇した時は私を見て直ぐに逃げていったのです、いくら数が多かったとは言え勝てない相手に戦いを挑むような魔物ではないはずですが…」

「成程、確かに…」


ゲジゲジは本来自分より大きな相手が近づくと猛ダッシュで逃げる虫だ。


例え大群でもその性質は変わらないはずなのだが…だがここは地球とは違うし、そう言う所は私の知っているゲジゲジとは違うのかもしれない。


(! ヤタイズナ様!)


私がそう考えているとリュシルが叫んだ。


「どうしたんだ?」

(前方より巨大な魔物がこちらに接近してきます!)

「何だって!?」


私達は前を向き戦闘態勢を取る!


ガサガサガサガサガサガサガサガサ…


ゲジ・ゲジより一際大きい足音が聞こえ、前方から巨大な生物がこちらに向かって来た!


「あれは!」


接近してくる魔物は体長3メートルはある巨大なゲジ・ゲジだった。


暗褐色の身体に胴節後部にある赤い紋、間違いない!


「オオゲジだ!」


オオゲジとはゲジの一種で簡単に言うと大きいゲジだ!


私はオオゲジに鑑定を使いステータスを見た。














ステータス

 名前:無し

 種族:ビックゲジ・ゲジ

 レベル:20/50

 ランク:B

 称号:支配者、ゲジ統べし者

 属性:地

 スキル:俊足、怪力鋏

 エクストラスキル:自己再生(小)













ビックゲジゲジ…相変わらず名前はそのままなのか。


ていうかゲジ統べし者って何!?


私は鑑定でゲジ統べし者の詳細を見る。





ゲジ統べし者:ゲジ・ゲジ種を統べし者に与えられる称号、全てのゲジ・ゲジ種はこの称号を持つ者の命令に逆らえない。





成程、さっきのゲジ・ゲジ達はこいつの命令で私達を襲ったのか…しかしこれで分かった事が一つある。


それは、こいつを倒せばもう終わりだと言う事だ!


「行くぞ! 《炎の角》! 《斬撃》!」


私は突進してくるビックゲジ・ゲジ目掛けて炎の斬撃を撃ちだした!

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