第169話 暗躍する者達Ⅵ
「……そうか、ディオスが討たれたか」
マモン森林の廃城、円卓の間にてブロストがバラス砂漠での戦いの報告を行っていた。
「はい、石も例の従魔使いが手にしたものと思われます」
「ビャハハハハハハハハハハハッ!! ザハクに続いてディオスの奴も遂におっ死んじまって、先生組も残すはお前一人になっちまったなぁゼキアよぉ?」
「……」
ビャハが笑う中、ゼキアは沈黙していた。
「ビャハハハハッ、ショックで声も出せねぇのかぁ?」
「……ビャハ、私は悲しんでなどいない」
「あぁ?」
「ディオスが討たれたのは奴が力不足だったからだ、それに奴も任務で死ぬかもしれぬ事は理解していたはず、そのディオスの死を悲しむことは奴を侮辱するのと同じことだ……だが」
ゼキアは拳を強く握りしめた。
「あの二人の仇は必ずこの私が取って見せる……必ず」
「ビャハハハハハ! 悲しんでんじゃなくて怒ってたのかよ」
「ビャハ、ゼキア、無駄話は止めよ」
「申し訳ありません、ギリエル様」
「ビャハハハ……」
「これで例の従魔使いは三つの石を手にしていると言う事になる……こうなれば仕方あるまい……全魔人族に戦闘準備を整えさせよ!」
「ギリエル様、もしや……」
ギリエルの言葉にゼキアが目を見開く。
「うむ、我ら魔人族全軍、ランド大樹海への進軍作戦を行う!」
「ビャハハハハハハハハハ! 遂にギリエル様が前線に立たれるんですね!」
「しかしギリエル様、よろしいのですか? この城を空けてしまって……」
「構わん、次の作戦にも必ず奴らが現れるはず……奴らの持つ石を全て奪い、魔人王様の復活を遂げねばならぬのだ! 良いか! これは我ら魔人族の総力戦となるであろう、命を懸けて遂行せよ!《総ては我らが主、魔人王様のために》!!」
「「「《総ては我らが主、魔人王様のために》!」」」
―ブロストの研究室。
「やっとギリエルがこの城から離れる時がやって来た……このチャンスを生かさなくては……ふふふふふ……」
「ジィィィィィィィィィィィ……」
ブロストが愉快そうに笑う中、円柱状の容器の中に浮かんでいるオ・ケラが鳴いた。
「分かっていますよ、お前には次も働いてもらわなくてはいけませんからねぇ……そしてあなたたちにもね」
ブロストはオ・ケラの容器の後ろにある二つの容器を見る。
「全ての石はこの私が手に入れる……見ているが良い愚かな魔王よ、我が大願成就は近い……」
ブロストは歪な笑みを浮かべながら、小さな容器に入った二つの魔封石を眺めていた。
―廃城、玉座の間にて、ギリエルが玉座に向かって跪いていた。
『ギ……ギリエ、ルゥゥゥゥゥゥー……』
玉座の間に謎の声が響き渡る。
「……ご安心下さい魔人王様、全ては貴方様の計画通りに動いております」
『せ、せか―世界は、我のォォォォォォォ……』
「はい、この世界は貴方様が手にすべきモノ、必ずや貴方様を復活させてみせます……総ては魔人王様のために……」
そう言って頭を垂れるギリエルの目の前には玉座に置かれている干からびたミイラの姿と、二つの石が埋め込まれた石板があった。
「第89回次回予告の道ー!」
「と言うわけで今回も始まったこのコーナー!」
「魔人族の奴等が本腰を入れる中、更に怪しい動きを見せるブロスト……奴の言う大願が分かる日も近いみたいだね」
「うむ、最後の魔封石を巡る戦いはどうなってしまうのじゃろうな……では次回予告を始めるぞ!」
「大樹海に戻って来た私達、魔植王がどこに居るのかを考え、行動する中で、新たな出会いが待っていた!」
「何? まさか新キャラが出てくるのか!?」
「それについては次回『大樹海の守り神』を見れば分かるよ!」
「「それでは、次回をお楽しみに!!」」
・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので、次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。
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