第114話 ドラン火山Ⅱ

前回までの三つの出来事!


「……ねぇ、あいつ何やってるの?」

「あ奴はたまにあんな風になるのじゃ、ただの独り言じゃから放っておけ」


一つ、私達はアルトランド王国で青のブロストによる王国侵略を阻止し、オ・ケラとの勝負に勝ち長き戦いに終止符を打った!


「ふーん、そうなのねー」

「だから放っておけと言っとるじゃろうが」


二つ、私達が会いに来た魔海王は何とアルトランド王国で歌姫として活躍していたのだ!!


「そう、スーパー歌姫レヴィヤ・ターンとしてね♪」

「ふん、どうせこのパターンじゃといつも通り儂関連何じゃろ?」


三つ、魔竜王に会いに行くためにドラン火山へ向かおうとしたら、何と魔海王が一緒に付いてきたのだ!!! 


「って儂じゃなくて魔海王じゃと!? おいコラヤタイズナ! 最後に儂の事を言うのが常套句になっていると言うのに、何故今回は魔海王なんじゃ!」

「まぁ仕方ないわよねー♪ こんな魚の餌みたいなのより、このスーパー歌姫レヴィヤ・ターンの方がインパクトがあるんだものー♪」

「誰が魚の餌じゃとお!? そう言うお主は歌姫なんかより蒲焼きの方が似合ってるぞこのウミヘビ女!」


ミミズさんの言葉を聞いて魔海王が歌姫がしてはいけないような表情を浮かべた。


「誰がウミヘビですってぇ!? 今度その呼び方したら、深海の藻屑にしてやるからね!」

「ああん!? やる気か主?」

「ああ!? そっちこそやる気?」


ミミズさんと魔海王が睨み合っている。


……とまぁそんなわけで超久々に私が好きな某特撮ヒーローのあらすじ風にまとめてみた。


私達は魔海王のしもべのクラゲのクーちゃんに乗り、ドラン火山近くへとやって来た。


しかし本当にデカいなー……標高どん位あるんだろうか。


私は魔海王の肩揉み係から解放されたバノンに話しかけた。


「バノン、バノンはこの辺出身何だよね? 何かドラン火山についての言い伝えみたいなものは無いの?」

「言い伝えか……そう言えばドラン火山には竜神様が居るとか言う言い伝えがあったな……」

「竜神様?」

「ああ、俺が生まれるよりもずっと昔、ドラン火山は毎日のように噴火していたらしいんだ、噴火のせいでこの辺の土地には火山灰が積もり、人が暮せるような環境ではなかったそうだ……だがある時、竜神様が現れた、竜神様は山頂に向かい、自らの身体で火山の火口を塞いだ、それ以降ドラン火山は噴火する事は無くなり、人々は竜神様に感謝を捧げ、ドラン火山周辺に暮らし始めたそうだ」

「へぇー……それじゃあその竜神様が魔竜王で間違いなさそうだね」

「だろうな、しかし昔は只のお伽話と思っていたが……その竜神様が実在していたとはな……しかもその正体が魔王とは……」

「ははは……しかし今回はクーちゃんがいて助かったな、あんな大きな火山、登るの大変だろうからね」


クーちゃんに乗っていれば山頂まで楽に行けるだろう。


私がそう思っていると、魔海王が話しかけてきた。


「悪いけど、クーちゃんはあの火山に近づけないわよ」

「えっ!?」

「あたしあの山に相当前に一度行ったんだけど、相当熱くてさー、クーちゃんが干からびそうになったのよ、だから今回あの山に登るときはクーちゃんはお留守番させとくから」

「そうですか……」


楽に山頂まで行けると思ったんだけどな……残念だ。


となると、いつも通り私、パピリオ、カトレア、カヴキがミミズさんとバノン、他のしもべ達を乗せて山頂まで登って行くわけか。


今回は魔海王もいるけど、まぁ大丈夫だろう。


「さて、それじゃあドラン火山の麓近くまではクーちゃんに連れて行ってもらおうか」

「そうじゃのう」


ドラン火山の麓に向かおうとした時、バノンが話しかけてきた。


「すまないんたが、ドラン火山に行く前に少しだけ故郷の町にある実家に顔を出したいんだが……良いか?」

「別に私は構わないけど……」

「儂も構わんぞ」

「好きにすれば? あたしはクーちゃんの上で待ってるから」


と言うわけで私達はドラン火山周辺にあるバノンの故郷、アイアドと言う町の近くで降り、町へと向かった。


町の入り口に着くと、数人の門兵が私達を警戒しながら近づいてきた。


「おいお前、その魔物達は一体……ん? お前まさか、バノンか!?」

「ん? おお! ゲンルか!?」


どうやら門兵の一人とバノンは知り合いだったようだ。


「久しぶりだな~、何年ぶりだおい!」

「十年ぶりだよ、それにしてもお前が門兵をやってるとはなー! 」

「はははは! それで後ろの魔物達は何なんだ?」

「ああ、俺の従魔だ」

「マジか!? お前従魔使いになったのか!? 商人をやってるんじゃなかったのか?」

「色々とあってな……それで町の中に入っても良いか?」

「ちょっと待ってろ、一応身分証明だけはしとかないとな……」


その後バノンと門兵が数分ほど話した後、町の中に入る事が出来た。


「おいバノン! 仕事が終わったら久しぶりに飲もうぜー!」

「おう! また後でなー!」


私達が町の中を移動していると、いつものように人々の視線が私達に集まっていた。


「お! バノン! 久しぶりだな―! 元気だったかー?」

「ようバノン! いきなり戻って来てどうしたんだ?」

「あ、バノンだ!」


しかしそれ以外にも、バノンの知り合いと思われる人物が何人かバノンに話しかけたりしていた。


「バノンってこの町だと結構有名なの?」

「あー……親父が結構有名だからよ、その息子の俺も自然と有名になってたんだよ」

「バノンのお父さんが?」

「ああ……っと着いたぜ、ここが俺の実家だ」


『鍛冶屋』


とシンプルな看板が目に入る建物に到着した。


ここがバノンの実家……


私達は扉を開けてバノンの実家に入った。


家の中は金属を叩く音が鳴り響き、室内には多種多様な武器が至る所に飾られていた。


「親父ー! 帰ったぞー!」


バノンが大声を発すると、金属を叩く音が途絶え、部屋の奥から一人の老ドワーフが出てきた。


「……」

「久しぶりだな親父、元気だったか……ごはっ!?」


老ドワーフが突然バノンの顔面を殴った!


「な、何すんだ親父!」

「そりゃこっちのセリフだバカ息子が! せっかくいい出来の武器が出来そうだったってのにお前が大声出したせいで手元が少し狂って曲がっちまったじゃねぇか!」


そう言うと老ドワーフはバノンに先が少し曲がった剣を見せた!


「そんな事で久しぶりに帰って来た息子の顔をぶん殴ったのかよ!?」

「そんな事だぁ!? 武器作りは俺の生き甲斐なんだぞ! それをそんな事なんて言いやがって……もう一度ぶん殴られたいのかこの馬鹿息子が!」

「上等だ! かかってきやがれ馬鹿親父が!」


バノンと老ドワーフが殴り合いを始めた。


「……バノンがあんな風になるの始めて見たね」

「そうじゃのう」

「どうする? ミミズさん」

「お互いに満足するまで殴り合わせればいいじゃろう」


私達はバノンと老ドワーフの殴り合いが終わるまで待つことにした。

















「第65回次回予告の道ー!」

「と言うわけで始まったこのコーナー!」

「バノンのお父さん、個性的な人みたいだね」

「そうみたいじゃのう」

「さて、話は変わるけどあと少しで7月、昆虫たちが沢山現れる時期だから楽しみだよ」

「作者もカブトムシやクワガタを早く取りたいとウズウズしとるみたいじゃぞ」

「今年は去年よりたくさん取れたらいいね、それでは次回『竜の名を持つ虫』!」

「「それでは、次回をお楽しみに!!」」


・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

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