第58話 王国への帰還
二度寝から目覚めた私は、遠征部隊と共にアメリア王国に帰還し、冒険者ギルドに向かった。
ギルドの中は冒険者と王国兵士達による宴でお祭り騒ぎになっている。
皆が勝利した喜び、生き残った喜びを嚙みしめている。
そんな中、私達はガタク達を外に待機させて、ギルドマスターの部屋に来ていた。
「やっと来たかい、待ってたよ」
「お祖母ちゃーん!」
ウィズがギルドマスターに抱き着いた。
「おおウィズや、怪我はないかい?」
「うん! ヤタイズナさん達のおかげで傷一つないよー!」
「それは良かったよ、ほら、ウィズの好きなパインの飴だよ、お食べ」
「わーい! おばあちゃん大好きー♪」
ギルドマスターがウィズに飴を与え、頭を撫でた。
「さて、まずは礼を言わせてもらうよ、あんた達が居なければ遠征部隊は全滅していただろうね」
ギルドマスターが私達に礼を言う。
「バーニャから聞いたよ、まさかサイクロプスがこの付近に現れるとはねぇ…しかしそいつを倒しちまったって言うんだから大したもんだねぇあんた達は」
「うん! ヤタイズナさん達は凄いんだよー!」
「ところでサイクロプスの死体の件なんだけど、本当に全部ギルドが貰っていいのかい?」
「はい、私達には必要がないので」
今回倒したサイクロプスの死体は全部ギルドに渡すことにした。
サイクロプスの死体は加工すればとても上質な素材になるらしいのだが、大樹海に持って帰るにしてもあんな大きな物持って帰るの面倒だし、なによりサイクロプスは食べられないらしいので持って帰る価値はゼロだ。
「今回の報酬はアメリア王国の美味しい食べ物でお願いします」
「そんなのでいいのかい? 全く、ウィズの言うとおりの奴だねあんたは」
「でしょー? ヤタイズナさんは大物なんだよー!」
「しかしあんた達の主の役をやっているバノンさん、今回の件で一躍人気者になったみたいだね」
「そうみたいですね」
そう、私達がサイクロプスを倒すところを遠征部隊の人達が見ていたらしく、私達の主と言う事になっているバノンが、私が二度寝している間に遠征部隊の皆から礼を言われまくったらしい。
特に門兵のゴルトはバノンの事を完全に英雄扱いしているらしい。
「何か複雑な気分だな…俺何もしてないのにいいのかな…」
「いいよ、バノンが居なければ私達は王国に入れなかったし、今回の遠征に参加しなかったら多分アメリア王国はとんでもない被害を受けていたと思うよ」
「その通りさね、あんたが居なければこの国は滅んでいたと思うよ」
「うん、バノンさんも結構凄いよー!」
「そ、そうか…」
バノンが照れくさそうに頭を掻いた。
その時、扉がノックされた。
「ギルドマスター、お客様です」
「客? 誰だい?」
「クラウス・ジーイヤー様です」
「クラウス? …通しな」
「かしこまりました」
扉が開き、爺やさんが入って来た。
「ウィズ様、ヤタイズナ様お久しぶりで御座います」
「お久しぶりです、爺やさん」
「爺やさんどうしたのー?」
「はい、ヤタイズナ様達がギルドにいると聞きまして、副ギルド長に案内してもらったのです」
「久しぶりだねぇ、クラウス、相変わらずしけた面だねぇ」
「お久しぶりですエマ様、そう言う貴方は小皺が増えたのではないですか?」
「はははっ、言ってくれるねぇ…その髪の毛を全部毟ってやろうか?」
「やれるものならやってみろ、…で御座います」
「ははははは…」
「ふふふふふ…」
爺やさんとギルドマスターがお互い黒い笑みを浮かべている。
…爺やさん何かキャラ変わってないか?
「ウィズ、これは一体…」
「うん、お祖母ちゃんと爺やさんは幼馴染らしいんだけど、昔からすっごく仲が悪いみたいなんだー、だから会うたびにいつもこんな感じになるんだよー」
「そ、そうなんだ…」
「失礼、ここに来た要件を忘れる所でした、実はヤタイズナ様達に用がございまして、城に来ていただきたいのです」
「城に? ああ、オリーブに私を呼んで来てほしいって言われたんですか?」
「いえ、今回は姫様は関係ないのです」
「それじゃあ一体何の用で?」
私がそう聞くと、爺やさんが話し始めた。
「実は姫様のお父上…つまり国王様がバノン様にお会いしたいと言っておられるのです」
「第28回次回予告の道ー!」
「さぁ今回も始まったこのコーナー!」
「次回はついにオリーブのお父さんとの初対面!」
「一体どんな奴なのかのう」
「それは次回『国王』を見れば分かるよ!」
「それもそうじゃのう」
「「それでは、次回をお楽しみに!!」」
・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。
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