第116話 カブトvsトンボ
「っ!?」
私は咄嗟に後ろに跳び、大鎌鼬を回避する!
(ちぃっ! 避けんじゃねぇっす!)
シルバードラゴンフライの周りに無数の大鎌鼬が発生し、再び私目掛けて撃ち放たれた!
私は空を飛び、大鎌鼬を回避するが、更に前方から大鎌鼬が私に向かって来る。
「《炎の角》、《斬撃》、《操炎》!」
私は炎の斬撃を撃ち放ち、操炎で炎の斬撃を無数に分裂させて、大鎌鼬を相殺させる。
(ふんっ! そんなちゃちぃ攻撃で自分の大鎌鼬と渡り合おうなんて甘いっすよ!)
シルバードラゴンフライの周囲に更に大量の大鎌鼬が発生、そしてまた私目掛けて撃ち放たれる!
「《斬撃》、《斬撃》、《斬撃》、《斬撃》!」
私は連続で炎の斬撃を撃ち放つ!
「《操炎》!」
そして操炎で炎の斬撃を分裂させ、大鎌鼬にぶつけて相殺させていくが、何個かの大鎌鼬を撃ち漏らしてしまった。
「くそっ!」
私は翅を広げて空を飛び、大鎌鼬を回避する!
無数の大鎌鼬はそのまま周りの建物や屋台に直撃、破壊して消滅した。
(鈍重そうな見た目のわりにすばしっこいっすね……なら更に数を増やすだけっすよ!)
シルバードラゴンフライは更に大量の大鎌鼬を発生させていく。
不味いな……流石にあれだけの数は炎の斬撃で相殺させるのは難しいし、避けるのも至難の業だ。
どうするか……よし、上手くいくか分からないが、あいつを油断させてみるか。
私はシルバードラゴンフライに話しかけた。
「おいお前、聞きたい事がある」
(あ? 急になんすか?)
「何故お前は私を殺そうとするんだ? それに見つけたってどういう意味だ?」
私の言葉を聞いたシルバードラゴンフライは怒りながら答えた。
(しらばっくれても無駄っすよ! 自分には分かってるんすよ……お前が自分を捨てた奴だって事を!)
「は!? お前を捨てた!? 私が?」
(そうっす! だから自分はお前を許さないっす! ぶっ殺してやるっす!)
……つまりこいつの捨てられし者って称号は私に捨てられたから付いたって事か?
と言う事はこいつは私の召喚した昆虫の卵から生まれたしもべと言う事だ。
でも私は昆虫の卵を捨ててなどいない。
戦闘中にエッグホームランで使用する事はあるが、ちゃんと全部後で回収している。
そもそも愛する虫達が生まれる卵を私が捨てるわけが……ん?
……何故だろう、何かを忘れている気がする……
私が考えていると、シルバードラゴンフライが動き出した。
(無駄話は終わりっす! これでお前を切り刻んで……)
(《風の翅》!)
(《花の鎌》!)
私の後方からパピリオとカトレアがシルバードラゴンフライを風の翅と花の鎌で攻撃した!
シルバードラゴンフライはその攻撃を難なく回避した。
(は、速いです~……)
(厄介ですわね……)
(ごしゅじんだいじょうぶー?)
(あの魔物、手強そうですね……)
(あんなにすばしっこいと自分は攻撃できねぇな……)
(総員! 攻撃態勢のまま待機であります!)
『『ギチチチチィィィィィィ!!』』
スティンガー達を見てシルバードラゴンフライが更に怒る。
(……なんすか、そいつらはお前のしもべっすか? ……そいつらは傍に置いているのに、自分だけはあんな……あんな薄暗い場所に捨てたんすか!)
……薄暗い場所?
(ますます許せねぇっす! お前みたいな最低野郎は絶対に、絶対にぶっ殺してやるっす!)
シルバードラゴンフライの言葉にスティンガー達が言い返した。
(そんなことないよー! ごしゅじんはさいこうのごしゅじんなんだよー!)
(そうです! ご主人さまは素晴らしいお方なんです! あなたなんかに殺させはしません!)
(ご主人様はとても強いお方ですわ! あなた如きに倒せはしませんわ!)
(同感ですね、あなたではご主人は倒せませんよ)
(その通りだ! お前なんかご主人の敵じゃねぇ!)
(魔王様と戦いたいのであれば、まず我ら全員を倒してからにするであります!)
『『ギチチチチィィィィィィ!!』』
(……ちっ、どいつもこいつもご主人様を信じてるって奴っすか? ……はぁっ、何かテンション下がったっす…)
そう言うとシルバードラゴンフライは周囲の大鎌鼬を消滅させた。
(自分がぶっ殺したいのはあくまでそいつだけ、他のには興味ないっす……今日の所は山に帰るとするっすかね……でも憶えとくっすよ、自分はまたお前の前に現れるっす、お前は自分が絶対に殺すっす!)
そう言うとシルバードラゴンフライはドラン火山がある方角へ飛んで行った。
「どうやら勝ったようじゃのう」
私の隣にいつの間にかミミズさんがいた。
「いや、あいつが自分から撤退しただけだよ……ミミズさん、あのトンボはどうやら私のしもべだったらしいんだよ」
「なぬ? それは本当か?」
「多分だけどね……ミミズさん、私って召喚した卵は全部回収してたよね?」
「ん? ああ、確かそのはずじゃが……それがどうした?」
「だよね……」
なら何であいつは私に捨てられたなんて言ったんだ?
私に捨てられた……薄暗い場所……
私はシルバードラゴンフライが言っていた言葉を思い返しながら、バノンの元へと向かった。
「第67回次回予告の道ー!」
「と言うわけで始まったこのコーナー!」
「結局あのトンボの事は詳しくは分からなかったね……」
「そうじゃのう、あ奴はお主の事を許さないと言っていたが……まぁとりあえず今回も次回予告を始めるかのう」
「次回、遂に私達はドラン火山へと向かう! そこで待ち受ける者達とは? それでは次回『登山』!」
「「それでは次回をお楽しみに!!」」
・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。
・ストックが尽きたのでこれからは週1回の更新となります。
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