第276話 廃城地下の激戦Ⅲ
『『あああああぁぁぁぁぁっっ!!』』
「《灼熱の斬撃》、《操炎》ッ!」
複数の灼熱の斬撃を操炎で更に分裂させ、迫りくる肉の根を焼き切り、道を作る!
「レギオン、アント達、走れぇ!!」
(了解、総員突撃ィィッ!)
『『ギチチチィィッ!!』』
私の指示でレギオン達が前進する!
「ビャハハハハ、無駄無駄ァ!」
ビャハが槍で肉の樹を叩くと、地面が割れ無数の巨大な肉の根が飛び出してきた!
『『あああああぁぁぁぁぁあああああああああっっっ!!』』
巨大肉の根の横薙ぎ攻撃がレギオン達を襲う!
(このまま突き進む! 全員跳べぇっ!)
『『ギチチチチィィィィィッッ!!』』
レギオンの命令を聞いたアント達は空中へ跳躍、肉の根の上に乗りそのまま肉の樹目掛けて走る!
『『あああああああっっ!!』』
無数の肉の樹枝がレギオン達に迫る!
(コンビネーション1だ!)
『『ギチチチィィィィ!!』』
レギオンの指示でガーディアント・レギオンが跳んで盾頭で肉の樹枝を防御!
『ギチチチィ!』
更に後ろからソーアント・レギオンがガーディアント・レギオン達を踏み台にジャンプして肉の樹枝に飛び乗る!
『『ギチチィィッッ!!』』
そこから更に他のガーディアント・レギオンもジャンプ、次々と肉の樹の枝の上を駆け抜けていく!
(はぁっ!)
そして最後にレギオンが肉の樹枝の上に乗り進んで行く!
「ちぃーっ! 意外とやるじゃねぇかアリ共!」
ビャハが舌打ちする中、肉の樹は根を動かしレギオン達を追撃しようとするが……
「《灼熱の斬撃》ッ!」
私がそれを斬り裂き妨害する!
「ビャハハハハハハハ!! ならこいつはどうだぁッ!?」
ビャハが槍で蜘蛛型魔道具を叩くと紫電が激しく走る!
『『ぎぃやぁぁぁああああああぁあぁぁあっっ!!』』
肉の樹の樹表の顔が苦しみ叫び、肉の根が割けた地面の一部を持ち上げ、私達目掛けて投げつけた!
「《灼熱の斬撃》、《操炎》!」
「《大鎌鼬》で御座る!」
(《斬撃》《斬撃》《斬撃》《斬撃》《斬撃》ィィッ!)
私、ガタク、ソイヤーが一斉に攻撃し、投げつけられた岩を次々と破壊して行く!
「ビャハハハハハハハハッ!! まだまだおかわりならあるぜェ!?」
ビャハが笑う中、巨大肉の根が地面をくり抜き、先程の数十倍はある大きさの大岩を放り投げる!
「チィッ!」
再び一斉に攻撃を繰り出すが、大岩はビクともしない!
流石に質量が違いすぎるか!
「ガタク!」
「承知で御座る!」
私の意図を察したガタクが私に近づき、脚でお互いの身体をガッチリと掴む。
「《暴風の大顎》!!」
ガタクの大顎に風が纏われ、そのまま私達の全身を覆う。
「やれぇっガタク!」
「応で御座る! はぁぁぁぁああああああああッッ!!!」
ガタクが風を操り私達の身体を高速回転させ、灼熱の角の炎が螺旋を描くその姿は、さながら炎のドリル!
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええっっ!!」
私達は超加速した状態で、迫りくる大岩に向かって突撃し、大岩の表面を穿つ!
「「おおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおっ!!」」
そのまま真っ直ぐに突き進み、遂に大岩を貫通した!
穿かれた部分から亀裂が広がり、大岩はバラバラに崩壊していく。
大岩の破片が肉の樹の枝と根を押しつぶしていく!
「ビャハハハハハハハハ! イイねぇ! その派手さ痺れるぜェェッ!」
「《灼熱の斬撃》!」
「《大鎌鼬》!」
回転力を失った私達は離れ、ビャハ目掛けて攻撃する!
「ビャハハハハッッ! おせぇんだよォッ!」
ビャハは槍を回転させ、飛んできた攻撃を全て弾き返す!
「この程度かァッ!? もっと楽しませろやァッ!」
『『あぁぁぁあああぁあぁああ!!』』
肉の樹が叫び、肉の樹の枝が私達を貫こうと迫る!
(《斬撃》《斬撃》《斬撃》《斬撃》《斬撃》ィィッ!)
ソイヤーが連続斬撃で肉の樹の枝を切り裂く!
『『ギチチチィィィィ!』』
更に幹までたどり着いたレギオンとアント達が肉の樹の枝を切って行く!
「ビャハハハハハハハハッ! さぁ、もう一段階祭りの熱を上げるぜぇ!」
再びビャハが蜘蛛型魔道具を刺激し、紫電が肉の樹全体を走り抜ける。
『『ぎぃぃあああああぁぁぁぁぁあああああああああっっっ!!』』
肉の樹が悲鳴を上げ全体が脈動し、樹の枝から根っこの先にまで硬質化された肉の棘が生え、一斉に射出された!
「《大鎌鼬》! はぁぁぁぁぁぁっ!」
ガタクは全方位に風の刃を放ち、襲い来る肉棘を薙ぎ払う!
(総員、回避行動!)
『『ギチチチチィィィィィ!!』』
レギオン達も素早く散開し、肉の棘に当たらないように幹の表面を駆けていく。
(えーいっ!)
スティンガーは先程砕けた大岩の破片を掴み前方において肉棘から身を守った。
(《斬撃》《斬撃》《斬撃》《斬撃》《斬撃》……ぐぅぅっ!?)
ソイヤーが連続斬撃で肉棘を捌いていたが、捌き切れなかった肉棘がソイヤーの胴部に刺さり、次々と肉棘がソイヤーの身体に突き刺さって行く!
(ぐああああああああああああっっっ!!)
「ソイヤー! ぬぅぅぅぅっ!」
ガタクがソイヤーを助けに向かおうとするが、大量の肉棘の対処に手一杯で動けない。
全身に肉棘が突き刺さり、大ダメージを負ったソイヤーは地面に向かって落下していくが、その間にも肉棘がソイヤーに迫る!
(仲間を肉団子になどさせんっ!)
そこにティーガーが物凄いスピードで肉棘を避けながら、肉の樹の根を次々と跳び移って行く!
(《岩石の大顎》!)
そしてソイヤーを岩石の大顎でキャッチすると、一気に地面に降下し着地、そのまま肉棘を掻い潜りながら地面を駆け抜けていく!
(す、すまない、ティーガー……)
(礼など必要無い、仲間を助けるのは当然の事だ)
「魔人、王様、ばんざっ!」
「ま、まじ、おざまっ!」
「魔人ぼうざばっ!」
黒装束魔人達にも肉棘は無差別に突き刺さって行く。
ガタク達が肉棘に対処し続けて1分が経過し、肉棘の射出が止まった。
「ビャハハハハハハハハッッ! まだ生き残ってるとはしぶてぇ奴らだぜ! だが、まだまだこれからだぜぇ!」
ビャハが三度魔道具を刺激する!
『『ぎぃああぁぁあぁぁあああああああああああああっ!!』』
紫電が走り悲鳴を上げる肉の樹に再び肉棘が生えていく!
『苦しぃィィィィィ……もう止めてくれぇェェ……』
『私達が、何をしたと言うのォォォォ……』
『ただ、平和に暮らしていただけなのにィィ……』
肉の樹表面の顔達が苦悶の表情を浮かべ、嘆く中、ビャハが笑いながら返答する。
「ビャハハハハハハハハッッ!! 理由なんてねぇよ! お前らエルフは魔人王様が生み出した命、それをどうしようが魔人王様の勝手だろうがァッ!」
『に、憎いィィィィィィィィ……』
『殺してやるぅゥゥ……』
『悪魔ァァァァ……』
「ビャハハハハハハハハ! 気持ちいい悲鳴だぜぇ……寧ろ感謝しな! 長く生きる事だけが取り柄のテメェ等の力が魔人王様の役に立ったっんだからなァァァ! ビャハハハハハハハハ……あん?」
高笑いを響かせていたビャハだったが、ある事に気付いた。
「……魔蟲王は何処だ? 肉棘を射出する前までは確かにいたぞ! 一体何処に行きやがった……?」
ビャハが私を探して周囲を見渡すと、地面に空いた小さな穴を発見した。
「まさか……!?」
ビャハが何かに気付いたその瞬間、肉の樹の根元から蒼い光が発せられると同時に私が地面から飛び出し、肉の樹内部に侵入、そのまま焼き切りながら上へと昇って行く!
「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおっっ!!」
『『『あああああぁぁぁぁぁあああああああああっっっ!!?』』』
肉の樹が悲鳴を上げる中、蒼炎が肉の樹全体を包んで行く。
「ビャハハハ、こいつはヤベェなぁ!」
ビャハは肉の樹から飛び降り、根を滑り降りて行く中、私は遂に肉の樹の頂上に到達、そのまま突き抜けた!
『『『ぎぃやぁぁぁああああああぁあぁぁああああああっっっ!!』』
真っ二つに裂け、断末魔を上げながら蒼い炎に焼かれながら肉の樹は崩れていく。
これで、魔蟲の流星の使用回数は残り7回。
私は降下し、肉の樹の前に着地した。
『あ、ああ……』
『これで……やっと、終われる……』
『もう苦しまなくていいんだ……』
肉の樹の顔が私を見た。
『『『ありがとう……』』』
そう言った後、肉の樹は完全に崩れ、灰となった。
「魔人王に利用された悲しきエルフ達……安らかに眠ってくれ」
肉の樹の残骸を見ながら、私は静かに祈りを捧げる私の元にガタクが降りて来る。
「殿、お見事で御座る!」
「ガタク達も良く頑張ったな、それよりビャハは何処に?」
「奴なら、あの奥の通路へと逃げて行ったで御座る」
ガタクが前脚で肉の樹があった場所の先にある通路を指した。
ここで戦わずにわざわざ逃げるとは……絶対罠を仕掛けているに違いない……
「それより殿、ソイヤーが負傷を……」
後方でティーガーとスティンガーがソイヤーに刺さった肉棘を抜いて介抱していた。
(命に別状はないだろうが、戦闘は厳しいな……)
(くっ……このソイヤー、一生の不覚……)
このまま負傷したソイヤーを連れて行っては危険だかと言ってここに置いておくわけにもいかない……
「「ギチィチュチュチュチュィィィィッッ!!」」
考えを巡らせる中、ビャハのペットの合成奇虫が私達の元へ突っ込んでくる!
奴め、あの肉棘の雨を回避していたのか!
「「ギチュチュチュィィィィッ!」」
合成奇虫がスティンガーへと襲い掛かる!
(もー! ほんとうにしつこいー!)
先程と同じ様にスティンガーと合成奇虫が取っ組み合う!
「魔人王様万歳魔人王様万歳ィッ!」
「「魔人王様万歳魔人王様万歳魔人王様万歳!!」」
更に生き残っていた黒装束魔人達も私達の方へと向かって来る!
(魔王様、此処は我等に任せ、奥へと進んでください!)
「何っ? しかしレギオン!」
(魔人王の復活まで時間が無い今、このような奴らに割いている時間はありません)
(そうだよー! こんなやつら、わたしたちだけでじゅうぶんだよー!)
(ソイヤーの事は私達が必ず守ります、敵は全て肉団子です!)
『『ギチチチチィィィィィ!!』』
「お前達……」
(し、師匠……師匠も行ってください……)
「ソイヤー、お主……」
(助けたい人が、いるのでしょう……?)
「……すまぬ……殿、参りましょう!」
「……分かった! お前達、絶対に死ぬんじゃないぞ!」
『『『了解!』』』
『『ギチチチチィィィィィッッ!!』』
スティンガー達を残し、私達はビャハの後を追って奥の通路へと進んで行く。
「――光が見える、出口だ!」
暫くの通路を真っ直ぐに進むと前方に光が見えてきた。
「恐らくはビャハが罠を仕掛けて待ち構えている筈だ……気を引き締めろよガタク!」
「了解で御座る!」
通路を抜けた先に出たのは、円形の開けた場所だった。
その形状は、まるで闘技場の様である。
「よぉ、待ってたぜぇ」
奥へと進むための通路の上で、ビャハは寝転がって私達を見下ろしていた。
「……随分と余裕そうだな、ビャハ」
私は罠を警戒しながらビャハに話しかける。
「ビャハハハハ、そりゃそうさぁ……ここで最初に戦うのは俺じゃねぇからなぁ」
「何?」
「どういう事で御座るか!」
「ビャハハ……これから分かる」
ビャハは笑いながら起き上がり、声高らかに喋り始めた。
「レディースエ~ン、ジェントルメ~ンッ! 祭りを盛り上げてくれるスペシャルゲストの登場だぁぁっ!」
そう言ってビャハが指を鳴らすと、ビャハの真下の通路からナニカが飛び出した!
私達が構える中、ソレは空を羽ばたきながら、ゆっくりと地面に降りた。
降りて来たソレは人の身体に青白色の甲殻、背中からは一対の三角形にとがった前翅に後方に伸びて尾状になっている後翅が特徴的な大きな翅を持っている。
両肩部から生えている4本の腕は二の腕の先から赤く染まり指は三本、額からは二本の触角が生え、真っ白な長髪に目は真っ黒な複眼。
目の前にいるのは紛れもなく虫人、しかも私は以前にもあの翅と赤い腕を見た事がある。
そして、ガタクも。
「……来たんだね、ガタク」
「……ファレナ殿」
そう、私達の前に現れたのは、完全な虫人へと変異したファレナだった。
「第110回次回予告の道ー!」
「と言うわけで始まったこのコーナー!」
「廃城地下でビャハが率いる黒装束魔人に合成奇虫、更には肉の樹などの敵を倒し奥へと進む私とガタク、だがそこに立ち塞がったのは、虫人となったファレナだった!」
「ガタクとファレナ、こやつらの結末はどうなってしまうのじゃ? 気になる所じゃのう……」
「それでは次回『悲しき復讐者』!」
「「それでは、次回をお楽しみに!!」」
・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので、次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます