第275話 廃城地下の激戦Ⅱ
「魔人王様万歳魔人王様万歳ィッ!」
「《灼熱の角》!」
ハサミムシの尾に変異した右腕を振るう黒装束魔人の攻撃を避け、胴体を灼熱の角で貫く!
「ま、魔人王様万歳ィィッ!」
血反吐を吐きながらもハサミムシの尾で攻撃しようとする魔人を火力を上げ一瞬で炭化させる。
「《大鎌鼬》で御座る!」
ガタクが大鎌鼬で向かって来る魔人達を切り刻んでいく!
「「魔人王様万歳魔人王様万歳魔人王様万歳!!」」
(《斬撃》《斬撃》《斬撃》《斬撃》《斬撃》ィィッ!)
大鎌鼬によって手や足を失いながらも突っ込んでくる黒装束魔人達をソイヤーが連続斬撃で仕留めていく。
(えいやーっ!)
スティンガーが尻尾での横薙ぎ攻撃で魔人達を叩き飛ばし、接近してきた敵は鋏で身体を掴み骨を砕きそのまま敵の方へ投げつける!
(《岩石の大顎!》)
ティーガーは巨大な岩の大顎で黒装束魔人達を一気に挟み潰した!
「魔人王様万歳魔人王様万歳!」
蜂の翅を生やした複数の魔人が上からティーガー目掛けて弓矢を放つが、ティーガーの甲殻に弾かれ、傷一つ付けられていない。
(そんな事でこの私を肉団子にできると思うなよ!)
ティーガーは岩石の大顎を解き、黒装束魔人を踏み台に跳躍し大顎で脚を掴んで他の魔人に投げつけて地面に落下させた!
「「魔人王様万歳魔人王様万歳魔人王様万歳!!」」
(ガーディアント・レギオン部隊、隊列を組め!)
『『ギチチチチィィ!!』』
レギオンの指示でガーディアント達が横一列の陣形を組んだ。
(突撃ィィッ!)
『『ギチチチチィィ!!』』
ガーディアント達が突撃し、黒装束魔人達を次々と轢き飛ばしていく!
「魔人王様万歳魔人王様万歳!」
空から翅付き魔人がガーディアント達の頭上を通過してレギオンへと向かう!
(ソーアント・レギオン部隊、迎撃せよ!)
「ギチチチ!」
ソーアント達が大顎でもう一匹のソーアントの大顎を挟み、そのまま翅付き魔人目掛けて投擲!
「ギチチチィィィィッ!」
そのまま翅付き魔人の首を両断した!
「よし! このまま蹴散らすぞ!」
私達は黒装束魔人達を倒しながら徐々にビャハの居る肉の樹へと近づいて行く。
「ビャハハハハ! 派手にやるねぇ! だがお楽しみはまだまだこれからだぜぇ? ……行け!」
ビャハが指を鳴らすと、背後から何かが飛び出し、私達の元へと落ちて来る!
私達は咄嗟に後ろに下がると、落下物は黒装束魔人達を押し潰して着地した。
「何だ……こいつは?」
「「ギチィチュチュチュチュィィィィ!!」」
あれは……ヒヨケムシの頭部に胴体と脚はサソリモドキ、そして腹部は反り返りその先にウデムシの胴部が丸々くっ付いている!?
余りにも奇怪な虫の登場に私は一瞬唖然としてしまう。
「ビャハハハハハハハハ!! 俺様のペットをちょっとばかし改造してやったのさぁ、お前らに殺されちまったもう一匹の死骸も残っていたからなぁ、結構面白い姿になっただろう? ビャハハハハハハ!」
「「ギチィチュチュチュィィィ……ギチィ!」」
(な、なにー? ぼくをみてるんだけどー……)
「「ギチィチュチュチュチュィィィィ!!」」
合成奇虫がスティンガーの姿を視認すると、怒り狂ったように叫び、スティンガーへと突進する!
(うわー!? この~っ!)
合成奇虫のヒヨケムシの鋏角がスティンガーを襲うが、スティンガー両方の鋏で鋏角を受け止めた!
(おかえしだー!)
スティンガーが尻尾の毒針を合成奇虫に突き刺そうとする!
「「ギチィチュィィ!」」
それを合成奇虫は腹部のウデムシの鎌状の触肢を一瞬で展開し、スティンガーの尻尾を挟み捕った!
(いったー!? この、はなせー!)
「「ギチュチュチュィィィィ……!」」
「ビャハハハハハハハハ! その蠍はそいつらの大事な子を殺してるからなぁ? 狙われるのも仕方ねぇなぁ、ビャハハハハハハハハ!」
「《灼熱の斬撃》ッ!!」
私は楽しそうに笑っているビャハ目掛けて灼熱の斬撃を撃ち放つ!
「ハハハハ……ハッハァァッ!」
だがビャハは即座に槍を構え灼熱の斬撃を弾いた!
「おいおい、人が笑っている時に攻撃なんてつまんねぇことすんなよなぁ?」
「うるさい! お前に時間を割いている余裕はないんだ! その先に進ませてもらうぞ!」
私は前脚で肉の樹の後ろに見える通路を差す。
あの先に魔人王の骸とギリエルがいるはずだ。
「ビャハハハハハ! 良いじゃねぇか、どうせこれが最後なんだ、思う存分楽しもうぜぇ……」
そう言うとビャハは懐から小さな蜘蛛の形の道具を取り出した。
あれは、魔竜王やガタクを操った魔道具……!
「さぁ、更に祭りを盛り上げるぜぇ!」
そう言うとビャハは蜘蛛型魔道具を肉の樹に取り付けた!
蜘蛛型魔道具から紫電が発生、肉の樹全体へと流れていき、地面に張り巡らされた肉の根が蠢き始めた。
そして、肉の樹の表面部に浮かび上がっている無数の人の顔の口が開いた。
『あ、ああ……あああああああああああああああああ!!』
『ぎゃああああああああああっっ!!』
『苦しぃィィィィィ!!』
『助けてぇェェェェェェッ!』
無数の顔から悲鳴が上がり、肉の樹全体が脈打ち始める。
「これは……」
「何と悲しき叫びで御座るか……」
「ビャハハ!! いい声だろぉ? 懐かしいぜぇ……俺と兄ちゃんがこの樹を造るときに実験体にしたエルフ達の悲鳴……いつ聴いても最高だなぁ! ビャハハハハハハハ!!」
「兄ちゃんだって? 確かバロムの話では、この樹を造ったのは……まさか!?」
「ビャハハ、ご察しの通りだ……俺とギリエル兄ちゃんは血を分けた兄弟なのさ」
「馬鹿な!? 魔人族は人造生命体、義兄弟にはなれても、正真正銘の兄弟などありえないはずだ!」
「ビャハハハハハ、信じようが信じまいがどうでもいい事だ、それよりもこっちだ……さぁ動け! 肉の樹よぉっ!」
ビャハが叫ぶと、肉の樹が地中から大量の根が伸び、肉の樹の巨体を持ち上げ動き始めた!
『に、憎いィィィィィィ……!』
『殺してやる、殺してやるぅぅ……っ!』
『家族を……恋人を返せェェェェェェ……』
『悪魔どもめぇぇぇぇぇぇっ!!』
肉の樹は怨念の声を発しながら、私達の元へとゆっくりと近づいて来る。
「さぁ! ショータイムの始まりだぁ!」
『『『あああああああああああああああああああっっ!!』』』
肉の樹の根の一部が私達目掛けて襲って来た!
「《灼熱の斬撃!》」
「《大鎌鼬》!」
(《斬撃》《斬撃》《斬撃》ィィッ!)
私達は迫りくる肉の根を斬り落としていくが、数が多く捌き切れない!
「チィィッ!」
私達は翅を広げ空を飛び、肉の根を回避する!
(総員一時撤退だ!)
『『ギチチチィィィィ!』』
(動く肉塊とは面妖な……肉団子にしても動きそうだ!)
レギオン達は地面を走って逃げる中、肉の根は黒装束魔人達をも攻撃、その身体を貫いていた!
「「ギチュチュチュィィィィ……!」」
(いいかげんしつこいー……!)
スティンガーと合成奇虫が一進一退の攻防を行う中、巨大な肉の根が黒装束魔人達を薙ぎ倒しながらスティンガー達の元へ迫っていた!
(っ!? やっばい……どりゃーー!!)
「「ギ、ギチュチュチュィィィィッ!?」」
肉の根に気付いたスティンガーはヒヨケムシの鋏角を離し、合成奇虫ごと尻尾を思いっきり振り回した!
(にくのかたまりをくらえー!)
そして合成奇虫を迫ってきた肉の根にぶち当てた!
「「ギ、ギチュチュチュチュィィィィィィィィィィィィッ!!?」」
合成奇虫は叩き飛ばされ、衝撃でスティンガーの尻尾を離し、そのまま壁に飛んでいき激突した。
(よっ、とりゃー!)
スティンガーは肉の根に巧みに取り付き、そのまま跳び下りて難を逃れた。
「ビャハハハハハハハ! もっともっと暴れろォォッ! 高みの見物を決めながらの殺戮は最高だぜぇ! ビャハハハハハハハハハッッッ!!」
「くそっ! いくらなんでも滅茶苦茶だ! こんな所でてこずっている場合じゃないってのに……!」
こうなったなら仕方が無い……使うしかないか!
「ビャハハハハハハハハハッッッ!! さぁやれぇ、肉の樹ィィッ!」
『『あああああぁぁぁぁぁあああああああああっっっ!』』
無数の肉の樹の根が私達に迫る!
「来るぞ、全員気合を入れろ!」
『『了解ッ!!』』
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