第138話 不死鳥伝説を追えⅠ
―大樹海に戻って早2日。
私はバラス砂漠に向かう準備を済ませ、今回連れて行くメンバーを決めていた。
今回のメンバーはスティンガー、ソイヤー、テザー、カトレア、ティーガー、ベル、レギオンとソーアント5匹、ガーディアント5匹、そして……
「おーい! ドラッヘーっ! 居るなら返事をしてくれー!」
私は最後のメンバーを探して巣から少し離れた場所を歩いていた。
「ドラッヘー! ……あ、あんな所に……ドラッヘー!」
(……)
私は岩の上でグリーンローカストを食べているドラッヘを見つけ、声を掛けた。
(……うっさいすね、つーか何すかそのドラッヘって?)
「何ってお前の名前だよ、良い名前だろ?」
ドラッヘとは、私がシルバードラゴンフライに付けた名前で、ドイツ語で竜を意味する言葉だ。
(知らないっす、そもそも使い捨ての駒に名前なんていらないって前にも言ったはずっすよ)
「だからお前は使い捨ての駒なんかじゃないってば……」
(ふん、……で何の用っすか?)
「バラス砂漠に向かうためのメンバーにお前を入れたんだよ、出発前の最後の確認をするから来てくれ」
(はぁ? 何で自分が行かなきゃいけないんすか? 他の優秀な奴でも連れて行けば良いじゃないっすか)
「そんな事言わずに来てくれよ、お前の力が必要なんだ」
(……しょうがないっすね)
ドラッヘは空を飛び、巣へと向かって飛んでいった。
「まったくあ奴は相変わらずお主に反抗的じゃのう」
「ミミズさん、いつの間に」
いつの間にか私の隣にミミズさんがいた。
「ヤタイズナよ、いい加減あ奴に上下関係をはっきりさせておくのじゃ、しもべに舐められていては立派な魔王になぞなれんぞ、ここは力でねじ伏せて……」
「落ち着いてよミミズさん、とりあえずはドラッヘが私のいう事を聞いてくれただけでも私は今の所満足だよ、信頼は時間をかけて手にしないとね」
「お主は本当しもべには甘いのう……そう言えばエンプーサの奴は連れて行かんのか? あ奴が居れば大抵の魔物は楽に倒せるじゃろうて」
「いやー……エンプーサは性格に問題が……それにあの巨体を連れて行くと悪目立ちするし……」
「それは確かにのう……」
その後、私はミミズさんと話しながら巣に戻り、出発前の最終確認を行う。
「水と食料はこれだけあればいいな」
「砂漠に水は必須じゃからのう、……昔砂漠を移動していたら干からびそうになってのう……危なかったわ……」
ミミズさんは遠い目で昔の事を思い出していた。
そう言えば、夏にはミミズが干からびている光景をよく見たなぁ……
(ねぇねぇごしゅじんー)
スティンガーが私の元に来た。
「ん? どうしたスティンガー?」
(これからいくさばくってどんなところなのー?)
(それは私も気になっていました)
(俺、砂漠の事知りたい、言う)
スティンガーの他にソイヤーとテザーも私の元に来た。
「砂漠って言うのは、んー……なんて言えばいいかな……そうだ、砂は分かるだろ?」
(うんしってるよー、さらさらしたじめんのことでしょー?)
「その砂がたくさんある場所でとても暑い場所なんだ、スティンガーと同じスコルピオン種が棲んでいる場所でもあるんだ」
(ぼくとおなじしゅぞくがいるのー? いまからいくのがたのしみになってきたー♪)
「さて、そろそろ出発するけど皆準備は良いか?」
(もちろんだよー♪)
(準備万端です!)
(俺、直ぐに出発できる、言う)
(カトレアも準備出来ましたわ)
(私も直ぐ出発出来ます)
(問題ないです)
(我ら全員何時でも動けるであります!)
『ギチチチチチィィィィィィィ!!』
(……準備出来てるっす)
「よし、それじゃあバラス砂漠に向けて出発だ! ガタク、今回も留守の間を頼んだぞ」
「お任せ下さいで御座る! 殿、いってらっしゃいませで御座る!」
私達はバラス砂漠へ向けて、大樹海を旅立った。
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