第15話 六大魔王

「あれ? ここは…」


目が覚めると巣の中にいた。


「やっと目を覚ましたか」

(ごしゅじんおはよー♪)

(ご主人さま、おはようございます)

(おはようございます主殿)

「おはよう…私は確か超突進を使用してそのまま眠ったはずだけど…」

「うむ、お主はあの後三日も寝ていたのだぞ」

「え、そんなに寝ていたの私!?」

「うむ、あやつとの戦いで使い果たした体力を取り戻すのに時間がかかったのじゃろう」

「そうか…そう言えばあのクワガタはどうなったの?」

「ああ、その事なんじゃが…」

「たのもーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」


ミミズさんが喋ろうとしたら外から大声が聞こえてきた、私は外に出ると、そこにはクワガタがいた。


「クワガタ! まさかまた決闘しにー」

「おお! 会いたかったで御座るよ殿!」

「殿!?」


いきなりクワガタが私を殿と言ってきた。 


そして頭を下げて頼み込んできた。


「お願いで御座る! 拙者を殿の部下にしてくだされ!」

「……はい?」


突然の事で理解することが出来なかった。 それを見かねてミミズさんが説明してくれた。


「こやつ、三日前からずっと殿に合わせてほしいといってずっとこの調子なのじゃ…儂が話を聞こうとしたが殿にしか話したくないと言ってのう…」

「そ、そうか…で、何で私の部下に?」

「はい! それは殿こそが拙者が仕えるべきお方なのだとわかったからで御座る!」


いや、だからそれが解らないんだよ! 


「お願いで御座る! 何卒拙者を殿の部下にして欲しいで御座る、殿に一生の忠義を捧げるで御座る!」

「うーん…ミミズさんどう思う?」

「儂はいいと思うがのう…戦力増強は大切なことじゃし…それにこやつを訓練に使えばスティンガー達のレベルアップに役立つじゃろうしのう」

「だよな…わかった、お前を部下にしてやる」

「本当で御座るか!? ありがとうで御座る!」

「よし、お前に名をやる! 今日からお前の名はガタクだ!」

「承知したで御座る! これからよろしくお願いするで御座るよ殿!」

「じゃあ早速だけど、スティンガー達に稽古をつけてやってくれ」

「わかったで御座る!」


ガタクにスティンガー達の稽古を任せた後、私はミミズさんに話しかける。


「ミミズさん、私、ガタクと戦った時に条件を達成してスキルを獲得したんだけど…」

「すまん、言い忘れていたがスキルは一定の条件を達成することで手に入るのじゃ」

「言い忘れてること多すぎてもう呆れてきたよ私…」

「本当にすまん…まぁちょうどいいしお主にスキル獲得の事を説明しとくかのう」


ミミズさんがスキル獲得について説明し始めてくれた。 


スキルを獲得する方法いくつかあるらしく、主な獲得法は条件を満たす事だそうだ。 


例えば属性耐性のスキルを獲得する条件は風属性攻撃を一定量喰らうことらしい。


他にも、最初から私のようにスキルを持って生まれる者がいるらしい、そして私のようにミミズさんから譲渡できる例はほとんどないらしい。


ミミズさん曰く。


「儂が魔王だから出来た事なのじゃ!」


とまたも誇らしげに言っていた。

 

なるほど…つまり角攻撃と昆虫の鎧はレベルアップが条件だったのか。 


レベルを上げていけばいろんなスキルが使えるようになるのか…これは早くレベルアップしまくって進化しないとな。


「そう言えばミミズさん、最初に出会ったときに言っていたセリフ覚えている?」

「セリフ?」

「ほら、世界を滅ぼす存在、六大魔王の一人とかなんとか」

「うむ、カッコ良かったじゃろ?」

「いや、微妙だったけど…」

「何じゃとぉ!? 儂が一生懸命考えたセリフだったんじゃぞ!」

「まぁそれは置いといてさぁ…そもそもの話、六大魔王て何?」

「そう言えばそれも説明せずに魔王を受け継がせたのぅ…ちょうどいい機会じゃ、教えてやろう!」


ということで。


「第二回魔王への道! 六大魔王編!!」 


と再び始まったミミズさんの授業。 何故か稽古中のガタク達も授業に参加していた。


「さて! まずは六大魔王とは何かについてじゃ。 六大魔王とはかつてこの世界に人間が生まれてくる前からこの世界に君臨している者たちなのじゃ」

「え、じゃあミミズさん今何歳?」

「3億は超えていたかのう」

「マジで!?」

「うむ、そして儂の他に5体の魔王がいる、儂らはそれぞれ特別なスキルを一つ持っていたのじゃ」

「それって私がミミズさんから貰った昆虫召喚のことだよね?」

「うむ、他の六大魔王も儂と同じ召喚スキルを持っていてそれぞれが掌る生物を召喚できたのじゃ」

「なるほど…ミミズさんは魔蟲王だから昆虫を召喚できるわけなのか、他の魔王はどんな奴だったの?」

「うむ、魔獣王、魔海王、魔鳥王、魔竜王、魔植王じゃ」


ふむ…つまり魔獣王が獣、魔海王が海の生物、魔鳥王が鳥、魔竜王が竜、魔植王が植物を召喚出来るということか。


「六大魔王は仲が悪かったの?」

「いや…普通じゃと思うぞ?…魔獣王とは一緒に酒を飲んだりしてたのう」

「その魔獣王は今何してるか知ってるの?」

「いや…勇者に倒されてから一切会ってないのう…今頃酒でも飲んでいるのではないかのう…」


ミミズさんが少し懐かしそうに空を見ていた。


「すまんすまん、つい昔を思い出してのう…儂らはそれぞれ好き勝手しとったんじゃが…人間が生まれてからいろいろ面倒になってのう…儂らを魔物と呼び討伐しようとする輩が現れ始めたのじゃ」


ミミズさん達は討伐に来る人間達を返り討ちにしていたらしいのだがそのうち面倒になり、召喚したしもべに影武者をやらせたらしい。 


そして影武者達は人間に討伐され人間達はミミズさん達のところに来なくなったらしい。


面倒事が消え、それぞれが召喚した魔物たちを使い住処を作らせそこで平和に暮らしていたらしい。 


ミミズさんはこのランド大樹海の王として君臨し、楽しく暮らしていたらしい。 


しかし、前にも話してくれた千年前に起こした国を滅ぼした件で勇者に倒され、そして現在に至るということらしい。


「まぁ自業自得と言えば自業自得だよね」

「うむ、それを言われたら何も言えんのじゃが…まぁとにかくこれが六大魔王についてじゃ」

「まぁ大体のことはわかったけど…」

(はなしがながくておもしろくなかったー)

(私もですー)

(同じくです)

「そもそも何の話か理解出来なかったで御座る!」

「おぬしらはさっさと訓練に戻らんか!」


ミミズさんの言葉でガタク達は渋々修行に戻っていった。


「さて、話も済んだしお主も特訓してもらうぞ」

「ああ、わかったよ…ところで私が寝ている間に卵は孵化しなかったの?」

「うむ、全然生まれてくる気配がないのう…」


私とミミズさんは巣の中にある昆虫の卵のことを考える。 


三日たっても孵化しないとは…一体どんな奴が生まれてくるのか…


「まぁ考えても仕方がない。手に入れたスキルを確認することから始めるかのう」


ミミズさんに言われ、私は手に入れたスキルを使用してみる。 


まず角攻撃。


このスキルは角で相手を突く時の威力が上昇するスキルらしい。 


そして昆虫の鎧は昆虫系魔物の防御力が上がるスキルのようだ。


「うむ、では今から一人で森を探索してくるのじゃ。」

「わかった、じゃあ行ってくるよ。」


私は一人で森の探索に向かった。

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