第199話 大樹海、炎上Ⅰ
「アメリア……!? それって!」
「うむ……あのアメリア王国の小娘達は、アドニスの子孫と言うことじゃ……」
「おいおい……意外な繋がりが発覚しちまったじゃねぇかよ……」
ミミズさんの言葉に、バノンが目を丸くして驚いていた。
私も驚きだ……まさかミミズさんとアメリア王国にそんな関係性があったとは……
「バノンがアメリアの話をした時に、何か聞き覚えのある国名だと思うとったがのう……」
「……ちょっと待ってくれミミズさん、つまりミミズさんが人間達と戦争を行った時に勇者を召喚したのは……」
「うむ、アドニスの子孫達に違いあるまい……しかし滑稽じゃな……記憶を書き換えられ、知らずにアドニスの子孫達と争いをしていたとはな……」
「ミミズさん……」
「あ奴の妻であったリリウムは……儂を、アドニスを死なせてしまった儂を恨んでおったのかのう……?」
「……」
空を見上げ、悲しげにそう言ったミミズさんに、私は何も言えなかった。
しかし……なんて悲しい真実なんだ……友を、記憶を失い共に歩もうとした人間達と争ってしまったなんて……
本来の姿からハーピーの姿に戻った魔鳥王が私達に近づく。
「新たな魔蟲王、魔蟲王の記憶を書き換えた者の正体は分かりましたか?」
「いいえ……結局ミミズさんの記憶わ書き換えた者が誰かも分からずじまいか……魔鳥王、『あの光景』が一年以内に起きるんですよね?」
「ええ、間違いありません」
「……貴女の見た光景は、再びミミズさんがアメリアを破壊してしまうと言うことなのではないでしょうか」
私の喋った推測に、ミミズさんが身体を震わせた。
「……可能性はありますね、あくまで可能性ですが……」
「何故じゃ! 何故儂が再びあの国を、アドニスの国を破壊せねばならんのじゃ!」
「落ち着いてよミミズさん、魔鳥王の言う通り可能性の一つを言っただけだよ」
「とにかく、今はその事に議論をしている場合ではありません……魔植王、魔封石は何処に?」
『安心してください魔鳥王……私の持つ魔封石はこの身体の地下にある神殿に安置されています……今その入り口を開き……っ!?』
魔鳥王と魔植王が話す中、突如魔植王の身体である老木が騒めき始めた!
「これは……!?」
「どうしたのじゃ魔植王!?」
『私のしもべであるボタニック・モンスターがとても苦しんでいるのを感じます……それだけでは無い、この北の森の木々たちの苦しみも……!』
「苦しみ……?」
「お、おい! あっちを見ろよ!」
バノンの言葉を聞き、指さす方角を見ると、遠くから黒煙が上がっているのが見える。
「あの煙……火事か……!?」
「ヤタイズナ! あっちからも煙が上がっておるぞ!」
右の方角からも黒煙が上がっている。
……いや、右だけじゃない、森の至る場所から黒煙が上がっている!
「これは……明らかに人為的なモノですね……」
「……そうか、奴らが来たのか……!」
魔鳥王の言葉に、バロムが拳を強く握りしめる。
「まさか……魔人族がすでにこの大樹海に!?」
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