第142話 不死鳥伝説を追えⅤ

 巨大ミミズの頭部には大きな水晶玉のような眼が4つあり、口の部分には無数の歯が生えている。

 私は巨大ミミズに鑑定を使い、ステータスを見た。











 ステータス

 名前:無し

 種族:モンゴリアンデスワーム

 レベル:89/150

 ランク:A

 称号:捕食者、大食漢

 属性:地

 スキル:砂漠適性、毒の息吹、脂肪の鎧、砂球

 エクストラスキル:砂嵐、穴堀の超人












 モンゴリアンデスワーム……確か巨大なミミズやイモムシのような未確認動物、いわゆるUMAだったな……


「キシィキシィ!」


 モンゴリアンデスワームが現れた瞬間、イエローファットテールスコーピオン達は一目散に逃げて行った。


「キシャアアアアアアア!!」


 モンゴリアンデスワームは逃げるイエローファットテールスコルピオン達目掛けて、口から液体を吐き出した!


「キ、キシィィィィィ!?」

「キシシィィィィィィィィィィ!?」


 液体が掛かったイエローファットテールスコルピオン達は苦しみだし、ひっくり返って痙攣していた。

 あれが毒の息吹か……喰らったらひとたまりもないだろうな……


「キシャアアアアアアア!! キシャアアアアアアアアアアアア!!」


 モンゴリアンデスワームは狂ったように毒の息吹を周囲に吐きまくる!


「皆、あの液体に触れるんじゃないぞ!」

(わかったー!)

(了解です!)


 私はしもべ達に指示を出し、ミミズさん達が隠れているテントに向かう。


「ミミズさん、バノン!」

「どうしたヤタイズナ、何やらすごい声が聞こえたがあ奴らは倒したのか……って何じゃああっ!?」

「あんな化け物、10年前は居なかったぞ!?」

「驚くのは後にして、早く私の背に乗ってくれ!」


 私はミミズさん達を背に乗せて空を飛んだ!


「キシャアアアアアアアアア!!」

(うわー!? こっちに来たよー!?)

(ならば、喰らえ《斬撃》!)


 ソイヤーが斬撃でモンゴリアンデスワームを攻撃する!


 斬撃はモンゴリアンデスワームに直撃するが、モンゴリアンデスワームの身体には小さな傷しか出来ていない。


(私の斬撃が通用しないとは……!)

(《岩の鋏》ぃっ! 死ねぇ!)

(《岩の大顎》!)


 テザーとティーガーがモンゴリアンデスワームの身体に攻撃するが、岩の鋏も岩の大顎も体にめり込むが、そのままはね返されてしまった!


(くそがぁっ!)

(何て身体でしょうか……!)

(総員、新しく覚えたスキル、《酸攻撃》であります!)

『ギチチチチィィィィィィィィ!!』


 レギオンの命令でアント達が口から酸を吐き、モンゴリアンデスワームを攻撃した!

 しかし酸攻撃はモンゴリアンデスワームの身体を少し溶かしただけで、あまりダメージは入っていないようだ。


(《混乱の音色》が全く聞いていませんね……)

(《花の鎌》も聞いていませんわ……)

(こんな化け物相手にどうしろって言うんすか……)


 しもべ達の攻撃がことごとく通用しないとは……しかし何であんなに暴れているんだ?


「ヤタイズナ! 奴がこっちに来るぞ!」

「っ!」

「キシャアアアアアアアアア!」


 考えていると、モンゴリアンデスワームが私目掛けて突っ込んで来た!


「くぅっ!」


 私はさらに高く空を飛び、モンゴリアンデスワームの突進を回避する!


 モンゴリアンデスワームはそのまま地面に潜り、姿を隠した。


「皆、飛べない者を持って空を飛ぶんだ!」

(分かりました!)

(承知しました!)

(了解ですわ!)

(……分かったっすよ)


 皆が飛べないしもべ達を持ち、空を飛んだ。

 何処だ……奴は何処から来る……


「キシャアアアアアアアアア!」


 私が周囲を警戒していると、私の真下からモンゴリアンデスワームが現れた!


「ちぃっ! 《炎の角》!」


 私はモンゴリアンデスワームの突進を避けながら、炎の角でモンゴリアンデスワームを攻撃した!


 モンゴリアンデスワームの身体には大きな火傷が出来るが、致命傷には至っていない。

 くそっ、なんて分厚い身体なんだ……なら今度は炎の角・槍で……


「キシャアアアアア!」


 そう考えた時、モンゴリアンデスワームはジムシのように身体を丸め、回転し始めた!


「な、何だ!?」


 モンゴリアンデスワームは徐々にスピードを上げて行く!

 モンゴリアンデスワームの高速回転により、周囲の砂を巻き上がり、巨大な砂の竜巻が発生した!


「こ、これがエクストラスキル、砂嵐か!?」

(うわー!?)

(何つー風っすかぁあああああああああ!?)

「スティンガー、ドラッヘ!」


 スティンガーとドラッヘが砂の竜巻に巻き込まれてしまった!


(くそがぁぁぁぁぁっ!?)

(きゃああああああああっ!?)

(なんとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?)

(主様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?)

(うわぁぁぁぁぁぁっ!?)

(飛ばされるでありますぅぅぅぅぅぅぅぅ!)

『ギチチィィィィィィィィィィィィィ!?』

「お前達っ!」


 砂の竜巻はどんどん大きくなり、他のしもべ達も巻き込まれてしまった!


「くそっ、今助けに行くぞ! ミミズさん、バノン、しっかり掴まっていてくれ! 《炎の角・槍》!」

「お、おう!」

「分かったのじゃ!」


 私は炎の角・槍を使い、砂の竜巻の内部へと突入した!


「くぅっ……!」


 内部は風の勢いが凄く、少しでも気を抜けば吹き飛ばされてしまう程だ。

 物凄い風だが……エンプーサの死神の暴風刃に比べればまだいける……


「ぬおおおおお……ぬ? ヤタイズナ! 下から何か来るぞぉ!」

「!?」


 ミミズさんの言葉で下を見ると球体状の物体が私目掛けて飛んで来た!

 私は身体を捻らせて回避し、真下を見た。


 下では高速回転するモンゴリアンデスワームの周囲に砂が集まり無数の砂球が作られていた。

 そしてそのまま私目掛けて大量の砂球が飛んで来る!


「《斬撃》!」


 私は炎の斬撃を撃ち放ち、操炎で分裂させようとしたが、炎の斬撃は砂と風によって消滅してしまった!


「くそぉっ!」


 私は無数の砂球をぎりぎり避け続けるが、ミミズさんの巻き付いている前胸部の角に砂球が当たってしまった!


「ぐほおっ!? あ、しまった離れてしまっ……ぬおおおおおおおおお!?」


 砂球が当たった拍子にミミズさんが角から離れてしまい、私から離れてしまった!


「ミミズさん!」

「ヤタイズナ! 前っ!」


 バノンに言われて前を見ると、特大の砂球が私に迫って来ていた!


「しまった! 気を取られて……ぐはあああああああああっ!?」


 回避するのが遅れてしまい、私は特大砂球をもろに喰らい、吹き飛ばされてしまう!


 そのままの勢いで砂の竜巻を突き抜け、地面に墜落する。


「お、おいヤタイズナ!?」

「く、ぐぅぅぅぅ……」


 くそっ、もろに喰らったせいで視界がぼやける……身体も上手く動かない……

 私は何とか身体を起こし前を見ると、竜巻の中からモンゴリアンデスワームが出てきてこちらに向かって来る。


 竜巻は徐々に力を失いながらも、そのままどこかへと移動していた。


「キシャアアアアアアアアア!」


 モンゴリアンデスワームが私目掛けて突き進んでくる!


 くそっ……この状態じゃ空を飛んでもバランスが取れない……


「ヤタイズナ、しっかりしろ!」

「キシャアアアアアアアアアアアアアア!」


 モンゴリアンデスワームは大口を開け、そのまま突き進んでくる!

 くそっ、こんなところで……


「うわあああああああああああああ!?」


 バノンが悲鳴を上げ、もう終わりかと思ったその時だった。


 シィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!


 何処からか謎の音が聞こえてきた。


「キシャ!? キシャアアアアアアアアア!?」


 謎の音を聞いたモンゴリアンデスワームは急停止して苦しみだし、そのまま地面に潜り逃げて行った。


 た、助かったのか……でもこの音は一体……

 私は地面に倒れる。


「おいヤタイズナ! 大丈夫か……!? な、何だお前ら!?」


 私は驚くバノンの声と、私達を取り囲む、鳥の面をした謎の集団の姿を見た後、気を失った。















「第78回次回予告の道ー!」

「と言うわけで超久しぶりに始まったこのコーナー!」

「と言うわけで突然現れたモンゴリアンデスワームによって意識を失ってしまった私、そして謎の集団の正体とは?」

「とまぁ色々と気になるところじゃが、次回は大樹海にいる連中の話になるぞ」

「それでは次回、『ガタクとファレナ』!」

「「次回をお楽しみに!!」」


 ・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

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