第118話 登山Ⅱ

「全くお主は……何もせずにただ待っている事すら出来ぬのか」

「じっとしてるの苦手なのよ私、それにあれは暇つぶしに歌ってたら向こうから集まって来たのよ、私が集めたんじゃないし」

「なら最初から歌わなければ良いじゃろうが!」

「それじゃあ私が退屈じゃないのよ!」

「……」


 魔海王のゲリラライブが終わった後、私達はクーちゃんに乗り、ドラン火山の麓に向かっている。


「ヤタイズナ、あいつらはまだやってんのか?」

「バノン、うん、かれこれ30分は口論してるよ……良く飽きないよね……」

「同感だ……まぁああしてくれていると、魔海王にこき使われずに済むから楽だけどな……」

「それはともかくとしてバノン、あとどれくらいでドラン火山の麓に着くの?」

「このスピードなら、あと二時間もしない内には着くと思うぜ」

「そうか……準備しておかないとな……」

「ああ!? やんのかお主!?」

「ああ!? そっちこそやる気!?」


 私が気を引き締めている中、またもミミズさんと魔海王は言い争いをしていた。









 ―二時間後。

 私達はドラン火山の麓に到着した。


「遂に着いたな……」

「今からここを登るのか……面倒じゃな」

「じゃあクーちゃん、しばらくこの辺りで大人しくしててね♪」

「クーちゃん、しばらくの間昆虫の卵の事を頼んだよ、それじゃあ皆行こうか」


 私の角にミミズさんが巻き付き、前胸部にバノンを乗せる。

 パピリオがスティンガーを掴み、魔海王とベルがカトレアの背中に乗った。


 そしてカヴキがレギオン達をアルトランド王国に向かっていた時と同じやり方で掴んだ。


「おい魔海王、お主自分で飛べるのじゃから、カトレアに乗る必要ないじゃろうが」

「良いじゃない、私楽できる手段があるなら即利用する主義なのよ」

「お主と言う奴は……」

「まぁまぁ……よし、出発だ!」

((はーい♪))

(分かりましたわ)

(了解です)

(合点でさぁ)

(了解であります!)

『『ギチチチチィィィィィィィ!』』


 私達は空を飛び、山を登り始めた。


「まだあまり熱くないね」

「そうじゃな……魔海王、前に来たときもこれぐらいの熱さじゃったのか?」

「ええ、でも中腹辺りから温度が高くなってたからその辺から気を付ければー?」

「成程、中腹辺りからか……」



 その後、私達は順調にドラン火山を登って行き、遂に中腹付近へと差し掛かった。


「うっ……凄い熱気だな……」

「うむ……熱いのう……」

「汗が止まらないぜ……」


 中腹付近に到着してから急に温度が上昇し始めた。


「皆、大丈夫か?」

(ぼくはだいじょうぶだよー)

(私もまだ平気ですー)

(大丈夫ですわ)

(はい、平気です)

(平気でさぁ)

(異常はないであります!)

『ギチチチチィィィィィィ!』


 しもべ達はまだ大丈夫のようだ。

 魔海王は……心配する必要は全然ないようだ。


 私達はそのまま山頂へ向けてどんどん進んで行った。













 ―そして、登り始めて数時間後。


 私達は遂に山頂付近へと到着した。


「す、凄い熱さだね……」

「う、うむ……熱すぎるのう……」


 山頂付近は辺りに熱気が漂い、中腹付近とは比べものにならない程熱かった。




(あつーい……)

(くらくらしますねー……)

(冷たいものが食べたいですわね……)

(熱い……です……)

(この暑さはやばいでさぁ……)

(異常、アリであります……)

『ギチチチチィィィ……』


 流石にしもべ達もこの熱さには応えているようだ。


「この程度で情けないわねー、ちょっと熱いだけじゃない」


 その中でも魔海王は平然としていた。

 流石六大魔王、私の角に巻き付いたままぐったりしている元魔王とは大違いだ。


 私達は魔竜王が居ると言う火口付近へと移動を開始した。


「! おいアレを見ろよ!」


 バノンの声を聞き前方を見ると、少し離れた場所に白マントの集団の姿が見えた。


 やはり居たか……そしてあの格好、色以外ザハクの部下達と瓜二つだ。

 魔人軍の奴らで間違いないようだ。


「どうするのじゃ、ヤタイズナ?」

「そうだな……とりあえず、カトレアのスキルで奴らを引き寄せて……」


 私達が作戦を考えていたその時!


(《大鎌鼬》!)

「っ!?」


 突然背後から無数の風の刃が襲って来た!


「《炎の角》、《斬撃》、《操炎》!」


 私は分裂させた炎の斬撃で無数の風の刃を相殺した!


(まさかこんな所で会うとはっすね……)

「シルバードラゴンフライ!? 何故ここに!?」


 そう、私達を攻撃してきたのはバノンの故郷で遭遇したあのシルバードラゴンフライであった。


「おい、何だ今の音は?」

「向こうから聞こえたぞ!」


 騒ぎを聞きつけ、白マントたちが私達の元に向かって来た。

 くそっ、面倒なことになったな……


(あの時の続きっす……今度こそぶっ殺してやるっす!!)


 シルバードラゴンフライが私目掛けて突進してきた!


「やるしかないか……《炎の角》!」


 私は炎の角を使い、突進してくるシルバードラゴンフライを攻撃した!













「第67回次回予告の道ー!」

「と言うわけで始まったこのコーナー!」

「ドラン火山山頂で再び行われるシルバードラゴンフライとの戦い! 白マントの集団も乱入し、大混戦に! そして遂に明らかになる私とシルバードラゴンフライの関係とは何なのか? 次回カブトvsトンボⅡ!」

「「それでは、次回をお楽しみに!!」」


 ・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

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