第43話 我慢の限界

「うぅ…」


私は今、自室のベットでふて寝しています。


ヤタイズナさん達がこの国を出てもう一ヶ月経ちます。


ここしばらくはウィズから貰ったカブトムシさんのぬいぐるみ(命名ヤタイズナさん)を抱きしめて我慢してたけどもう駄目……我慢できない。


「ヤタイズナさんに会いたいよぉ…」


もう駄目、我慢の限界。


ヤタイズナさんに会いたい。


ヤタイズナさんと話したい。


ヤタイズナさんに触りたい。


ヤタイズナさんに……


ああ、駄目、ヤタイズナさんへの想いが止まらない…


ヤタイズナさんの事を考えていると、扉がノックされた。


「お姉ちゃん! 私だよー!」

「…どうぞ」


ウィズが扉を開けて部屋に入って来る。


「お邪魔しまーす…ってどうしたのお姉ちゃん、全然元気ないけど」

「うう…ウィズぅ!」


私はベットから起き上がりウィズに抱き着きました。


「わわっ!? どうしたのお姉ちゃん!?」

「ウィズぅ…ヤタイズナさんに、ヤタイズナさんに会いたいのぉ…」


ヤタイズナさんに会いたいという気持ちをウィズに話すと目から涙が流れてきてしまいました。


「お、お姉ちゃん!?」

「ぐすっ…あのね、ひっく…もう我慢できないの…ぐすっ…ヤタイズナさんに会いたくてしかたないのぉ…」


駄目、涙が止まらない。

ウィズが困ってる、泣き止まなきゃいけないのに。

涙が止まらないよぉ…


「う、うぅぅ……」

「お姉ちゃん、落ち着いて、ヤタイズナさんに会いたいんだよね?」

「ぐすっ……うん」

「だったら任せて! 私がヤタイズナさんの所に行ってまたお姉ちゃんの元に来てほしいって頼んでみるよー!」

「ぐすっ……え?」

「もー、お姉ちゃんヤタイズナさんに会いたいんならもっと早く行ってくれればいいのに、そうすれば私がすぐ動くのにー」

「だって、ウィズを困らせちゃうと思って…」

「何言ってるの! むしろ嬉しいよー! だってお姉ちゃんが私を頼ってくれてるんだよー?」

「…本当?」

「本当だよー!」

「で、でもこれ以上ウィズに迷惑を掛けられない…」

「お姉ちゃん」

「な、なに?」


「確かに私はちょっと頼りがいがないかもしれないけど、大好きなお姉ちゃんのためなら何だって出来るんだよ? だからね…」


ウィズが私を抱きしめる。


「もっと私を頼ってくれてもいいんだよ? お姉ちゃんが笑顔になってくれるだけで、私は幸せだから」

「ウィズ…」

「だから私に任せて! 絶対またヤタイズナさんをお姉ちゃんに会わせてあげるからー!」

「…ありがとう、ウィズ」

「お礼はヤタイズナさんを連れてきてから言ってよー!」

「ふふ、そうね」

「よーし! 早速準備してヤタイズナさんに会いに行くぞー! すぐ戻るから待っててねお姉ちゃん!」


ウィズはそのまま外に向かって走って行った。


「…本当にありがとう、ウィズ」


私は窓の外を見る。


ああ、ヤタイズナさん。


大好きな貴方に早く会いたいです。


会ってもう一度言いたい。









―貴方の事が大好きですと。













「第15回次回予告の道―!」

「はい、今回はあの不届き者が主役だったわけじゃが…」

「オリーブ、あなたの気持ち心に響きました」

「お、ついに気付いたか」

「そこまでカブトムシの事を好きでいてくれるとは…私、感動の涙で前が見えませんよ!」

「…全然気づいておらん…」

「さて、それじゃあ次回予告を始めましょう!」

「次回は再び奴が現れるぞ!」

「奴って…まさかオ・ケラ!?」

「いや、今回は奴ではない」

「それじゃあ一体誰?」

「それは次回のお楽しみじゃ! では次回『東西大決戦』!」

「「では、次回をお楽しみに!」」

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