第86話 カブトvsエレファスゾウカブトⅡ

ヤタイズナとガタクがザハクと戦っている頃、スティンガー達は縛られている魔獣王の元に到着していた。


(魔獣王様!)

「ぐぅぅ…リ、リュシルか…」

(待っていてください、今お助けします! 《氷の牙》!)


リュシルが氷の牙で魔獣王を縛っている鎖を攻撃するが、鎖には傷一つ付かない。


(そんな…)

(えーい!)


スティンガーが尻尾で鎖を攻撃する!


(なにこれー! かたすぎー!)

(《斬撃》!)

(《岩の鋏》!)


ソイヤーとテザーも鎖を攻撃する!


(駄目だ、傷一つ付かない…)

(俺、これ硬すぎる、言う)

(柱の方も攻撃しましたけどビクともしません…)

(どうすればいいのかしら…)

(困りましたね…)

「これは困った事になったのう」

「こんな物見たこと無いぜ…」

(あれー!? ひじょうしょくとバノンいつのまに?)

「地面を掘ってここまで来たのじゃ、それよりも魔獣王、大丈夫か?」

「うぅ…ミミズさん…俺の事は後で良い、今は娘を…娘を助けてくれ…」

「…分かった、おいお主ら! 魔獣王を助けるのは後じゃ! 奴らに捕まっているあの子狼を助けに行くぞ!」

(でもごしゅじんはまじゅうおうをたすけろって)

「魔獣王の言葉を聞いとらんかったのか? それにあ奴だったら絶対に子狼を助けに行くはずじゃ、…それに、奴らの方からやって来たみたいじゃしな」


前方から、複数の魔人がミミズさん達に向かって来ていた。


「よし、では全員戦闘開始じゃ! 儂とバノンは地面に身を隠しておくからよろしくなのじゃ!」

(…ひじょうしょく、たたかわないくせにえらそう)

(元より非常食殿の事などあてにしてないから問題ないだろう)

(そうですよね)

(俺、同感、言う)

(全くですわ)

(その通りですね)


スティンガー達は魔人達との戦闘を開始した。


「…しかし、何じゃさっきから感じるこの奇妙な気配は…何か儂に近しいモノを感じる…」


ミミズさんはヤタイズナ達が戦っている方角を見た。


「向こうで一体何が起きているのじゃ?」















「ぐあああああああああああああ!?」


私はザハクの伸びる角攻撃をもろに喰らってしまい、後方に吹き飛ばされ、地面に激突した!


「ぐ、ぅぅぅ…」


私は身体を起こし、ザハクを見る。


まさか角が伸びるとは…よし、身体は少しへこんだが、まだ十分動ける。


「ギュオオオオオオオオオオオ!」


ザハクが私目掛けて再び伸びる角で攻撃してくる!


「くっ!」


私は横に跳び伸びる角を回避する!


「ギュオオオオオ!!」


伸びる角は先程と同じように曲がり、私に向かって来る!


「《炎の角》!」


私は炎の角で伸びる角を受け止める!


「く、ぐぅぅ…」


お、重い…


「ギュオオオオオオオオオ!!」

「ぐああああああああああっ!?」


私は力負けして弾き飛ばされてしまう!


「ギュオオオ!」


伸びる角が弾き飛ばされた私の身体に巻き付いた。


「ギュオオオオオオオオ!!」


ザハクはそのまま伸びる角を振り下ろし私を地面に叩き付けた!


「がはぁっ!?」

「ギュオオオオオオオオオオオ!」


ザハクは何度も何度も地面に私を叩き付けていく!


「ぐっ…がっ…」


地面叩き付けられるたびに私の身体は傷つき、ヒビが入っていく。


「殿ぉっ! 今お助けするで御座る! 《風の大顎》!」


ガタクが風の大顎で伸びる角を攻撃する!


伸びる角には一線の傷が出来たが浅く、ダメージは与えられていない。


「まだまだ! 《斬撃》、《斬撃》、《斬撃》、《斬撃》、《斬撃》!!!」


ガタクは連続斬撃で伸びる角を攻撃していく!


「ギュオオオ!」


ザハクはガタク目掛けて岩の槍を撃ちだした!


「こんなもの!」


ザハクは風の大顎で岩の槍を破壊していく!


「ギュオオオオオオオオオオオ!」


ザハクは伸びる角で捕らえていた私をガタク目掛けて投げ飛ばした!


「殿!? くっ!」


ガタクが私をキャッチする。


「ギュオオオオオオオ!!」


その隙を狙いザハクが伸びる角でガタクを攻撃する!


「しまった!」


ガタクは伸びる角を回避しようとするが、回避できず、伸びる角を喰らってしまった!


「ぐはぁっ!?」


ガタクは吹き飛ばされ、衝撃で私は地面に落ちた。


「ぐぅぅ…」


くそっ、ダメージが大きすぎる、身体が…


「ギュオオオオオオオオオオオ!」


ザハクが伸びる角で私を攻撃する!


「ちぃっ!」


私は空を飛び伸びる角を回避する!


このままじゃ勝ち目はない、どうすれば…


「殿ぉっ!」


私が考えていると、ガタクが何かを挟んで私の元に飛んでくる。


あれは…昆虫の卵!?


「これを…お受け取り下さいで御座る!」


ガタクが私目掛けて昆虫の卵をぶん投げた!


エッグホームランならあの硬い甲殻も貫通できるはず。


もうこれに懸けるしかしかない!


「うおおおおおおおおお!」


私はガタクが投げた昆虫の卵をザハク目掛けて打ち出した!


昆虫の卵は高速回転しながらザハク目掛けて一直線に飛んで行く!


「行っけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

「ギュオオオオオオオオオオオ!」


ザハクは伸びる角を地面に叩き付けた!


その反動でザハクの身体が宙に跳んだ!


「なっ!?」


昆虫の卵は跳んだザハクの下を通過し、そのまま地面に突き刺さった。


「避けられた…はっ!?」


ザハクが跳躍し、私の真上に来た!


そのままザハクが落下してくる!


不味い、回避できな…


ザハクは私にのしかかり、そのまま地面落下した!


「ぐあああああああああああ!?」


ザハクの全体重を乗せたのしかかり攻撃を受けた私は大ダメージを受けた!


「が、はぁっ…」


身体が…動かない…


「ギュオオオオオ…」


ザハクが空を飛び、再び私の真上から落ちてくる。


駄目だ…もう、動けない…私の第二の人生は、ここで終わるのか…


あ、今の私は虫だから虫生か…はは…


「殿ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


次また生まれ変わるなら…今度も昆虫が良いなぁ…


そう私が思った瞬間、ザハクが私の真上に落ちた。

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