第261話 明日に進む者達Ⅰ
――四日後、アメリア王国、王城中庭。
「――皆さーん、お菓子とプラチナコーンを持ってきましたよー」
オリーブがメイド達と共に大量のお菓子と、焼きプラチナコーンを運んできた。
メイド達が地面に布のシートを広げ、そこにお菓子とプラチナコーンが置かれる。
「さぁ、どうぞ召し上がってください♪」
オリーブの言葉を聞くと同時にしもべ達が一斉に動き、お菓子とプラチナコーンに群がった。
(もぐもぐ……やっぱりプラチナコーンはおいしいねー♪)
(同感だな! 一口食べたらもう止まらん!)
(このゼリーも美味しいですー♪)
(俺、おかわり、言う!)
(やみつきになりますわね……)
(プラチナコーンの絶妙な甘さの汁がたまんねぇぜ)
(肉団子が一番ですが、偶にはこういうのも悪くはありません!)
(ああ……この幸せを曲にして演奏したいです……)
(……美味いっすね……本当に)
(全員、今後に備え英気を養うぞ)
『ギチチチィィィィィ!!』
全員がプラチナコーンとお菓子を夢中で食べている。
そして……
「はい、ヤタイズナさん……あーん」
「あ、あーん……」
「美味しいですか?」
「もぐもぐ……はい、とっても」
「良かった♪ さぁ、どんどん食べてくださいね……あーん♪」
私はオリーブに美味しいお菓子を食べさせてもらっている。
気恥ずかしいが、オリーブの好意を断る理由も無い。
「かーっ! 全く初々しい事この上ないのう! まだ戦いは終わったわけではないのじゃぞ、気を引き締めんか!」
「……そう言うミミズさんも、自分の分はしっかりと確保して食べてるじゃん」
私の気が緩んでいると言うミミズさんはプラチナコーンと菓子が乗った皿を一つを独占して食べまくっていた。
「そ、それとこれとは別じゃ! この皿の食い物は儂のモノじゃ! 誰にもやらんぞ!」
「必死過ぎんだろ……」
そう言いながらバノンがミミズさんの隣でプラチナコーンを食べている。
「でもまぁ、ちょっとぐらい気を緩めてリラックスしとかねぇと、勝てる戦にも勝てねぇぜ?」
「それはそうじゃが……」
「バノンの言う通りだよ、魔鳥王達が定めた日程まであと十日……今はゆっくり休んで備えるべきだよ」
――四日前、魔鳥王の言葉に絶句した私達はすぐに魔鳥王に詳細を聞いた。
「どういう事じゃ!? なぜまだあの未来が視えておるのじゃ!?」
「……ミミズさん、そして新たな魔蟲王……あの石碑の予言は覚えていますね?」
「確か……『混沌なる魔蟲生まれし時、総ては喰らい尽くされる』……でしたよね?」
「ええ、そして今回ブロストは魔蟲の宝珠をミミズさんを使い力を取り戻させ、この国を破壊する……それこそが混沌の魔蟲であると考えていましたが……どうやら私はとんだ失態を犯したようです」
「とんだ失態?」
「ええ……あの予言と今回の出来事は、似て非なるモノ!」
「何ですって!?」
「何じゃとぉ!?」
魔鳥王の言葉に私達は驚愕する。
「アメリアに残された予言された通りアバドンは行動を起こした……そして同時に私の予言の通りにも動いていたように見えていたのです」
「成程……つまりアバドンの行動があまりにも予言通り過ぎて、私達が勘違いしたと言う事ですね!」
「そういう事です、私としたことが初歩的なミスをしてしまいました……」
「アバドンめ……なんと忌々しい上にややこしい行動を……」
「だからあのこの未来視は現在進行形で存在し続けているのです……」
「魔人王の復活が迫る中、無視できない問題が残っていると言う事ですね……」
「ならばこそ、早急に奴らの拠点を攻めこむべきということじゃな! バロム、勿論奴らの居場所は分かっておるのじゃろう?」
「ああ……この大陸の最南端に位置する森林地帯、マモン森林だ……あの大規模な地下室を動かせるはずが無いから場所は変わっていないはずだ」
「よし! ヤタイズナよ、儂らでマモン森林に攻め込むぞ! 今のお主ならあのギリエルにも勝てるはずじゃ!」
「待ちなさい」
魔鳥王が翼でミミズさんを引っ叩いた!
「な、何をするんじゃ魔鳥王!?」
「冷静になりなさいミミズさん……奴らがその事を予見していないと思いますか?」
「確かに……あのギリエルが対策をしていないわけが無い……恐らく森林には罠や伏兵を忍ばせている可能性がある」
「それに敵の兵力が分からない現状、私達だけ言っても返り討ちにある可能性も考えないと駄目だよミミズさん」
「ぬぅ……それはそうじゃが……だが時が経てば経つほど魔人王復活の時間を与えることになるのじゃぞ?」
「それについては考えがあります……二週間だけ時間をください」
「二週間じゃと? 一体何をするつもりじゃ?」
「魔人王の力は強大、もし復活すれば弱体化している私達では止められないでしょう……だから、『彼等』を集めます」
「彼等って……もしかして!」
「そう、各地に点在する魔獣王、魔海王、魔竜王の元へ向かい、彼等の記憶を取り戻し全員で魔人族を殲滅します!」
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