第70話 大樹海探索・夏の陣

私は今ミミズさんと共に南の森を散歩中だ。


ミーンミンミンミー…


ワシャワシャワシャ、シャワシャワ…


蝉達が大きな声で鳴いている。


蝉達を鑑定してみると、ミンミンシケーダとベアシケーダと言う名前らしい。


シケーダとは英語で蝉と言う意味だ。


しかし相変わらずそのまんまな名前だな…


しばらく歩いているとミミズさんが話しかけてきた。


「そう言えばヤタイズナよ、新しいスキルが手に入ったのじゃろう? どうじゃ使い心地は?」

「ん? ああ、『操炎』の事? 結構良いスキルだよ」


クルーザーとの戦いの後手に入れたエクストラスキル操炎、これは名前の通り炎を操るスキルだ。


最初はどういうスキルかよく分からなかったがこのスキル、正確には『自身が生成した炎を自由に操る』スキルらしい。


昨日試しに炎の角を使用してから操炎を使用した。


すると面白い結果になった。


角全体に纏っていた炎が角の先端に集まったのだ。


一点に集まった炎は通常の炎の角よりも火力が強く、強力だった。


しかし一点に集中しているのでいつものように相手を焼き切る事が出来ない、どうするか…


しばらく考え込んだ私は、槍のように突けばいいのではと言う考えに至った。


試しに近くの岩で試してみた。


炎を一点に集中させた炎の角で岩を突くと、炎の角は岩を溶かして岩を貫通した。


私の思った通り、一点集中型の炎の角は突き技に適していた。


この操炎を使えば技のレパートリーが増えるだろう。


しかし一点集中型炎の角って言いずらいな…安直だが槍のように攻撃する炎の角だから、炎の角・槍(ランス)何てどうだろうか?


私がそう考えていると、頭に声が響いた。


《条件を達成しました、スキル:炎の角からスキル:炎の角・槍が派生しました。》


派生? よく分からないがさっき命名した炎の角・槍がスキルになったぞ? どういう事だ?


その後色々試してみたが、今は一点集中型の炎の角以外は何もできていない。


「…そう言うわけで今は新しい技を編み出すために頑張ってるよ」

「なるほどのう」

「そういえばミミズさん、今話した通り炎の角と操炎を使って編み出した炎の角・槍がそのままスキルになったんだけど、どういう事?」

「ん? 派生スキルの事か? 派生スキルは特定のスキルを特定の条件下で使えば手に入るスキルじゃ」

「…初耳なんだけどさ、もういつものお約束的な感じになってるけど、また言ってないとか?」

「その通りじゃ!」


ミミズさんがエッヘンと胸を張って言った。


…ガチでしばき回そうかなこのミミズ。


「つまり今回は炎の角を操炎を組み合わせることが派生スキルの条件だったって事?」

「そう言う事じゃ、恐らくまだほかにも派生スキルの条件があると思うから頑張るのじゃぞ」

「ああ、頑張るよ」


その後私達は森の中を歩いていると、ある物を発見した。


「うおおおお…」


私は木の幹にある物を見て目を輝かせる。


木の幹には全長1メートルはある蝉の抜け殻があったのだ。


大きいなー、こんなのが地球に居たらギネス確定だろうなー。


私は目を輝かせながら木に登り、壊さないように角でそっと蝉の抜け殻を取り、地面に降りる。


間近で見ると本当に大きいな…これだけ大きいと細部がどうなっているか虫眼鏡を使う必要も無いな、お、こいつはベアシケーダの抜け殻だな。


私が抜け殻を隅々まで見ていると、ミミズさんが呆れたような顔で私を見る。


「そんな物取ってどうする気じゃ?」

「どうするって決まっているじゃないか、持って帰るんだよミミズさん」


蝉の抜け殻を集める、夏の楽しみの一つだよなー。


辺りをよく見ると所々にシケーダの抜け殻がある。


よーし沢山取るぞー!


「…本当、お主のそう言う所だけは理解できんわ」


後ろでミミズさんが何か呟いているが、私は気にせずに蝉の抜け殻取りを続けた。
















「いやー大量大量、沢山取れたよー」


私は角で大量の蝉の抜け殻を近くにあった大きな葉っぱに包み、巣に持ち帰っている所だ。


いやーやっぱり夏って良いなー、虫は沢山いるし、蝉の抜け殻はあるし、樹液も出てるし、さっきこの身体で樹液を舐めてみたけど凄く美味しかった! 


やっぱり虫にならないと分からない事もあるんだなー、明日はもっと南の森を探索しよう。


「本当に嬉しそうじゃなお主…まぁ良いか…ん?」


ミミズさんが突然止まった。


「どうしたのミミズさん?」


「…あっちから妙な気配がするのじゃ」

「あっちって…巣の方角!? まさか!?」

「うむ、何か良からぬ事が起こっているかもしれん、行くぞヤタイズナ!」

「分かった!」


私とミミズさんは急いで巣に向かった。


しばらく走り、巣の近くまで来ると、ガタクの声が聞こえた。


「何者で御座るか! 名を名乗るで御座る!」


どうやら誰かがガタクと対峙しているようだ、私は急いで巣に向かった。


巣に着くと、ガタクと他のしもべ達全員が臨戦態勢に入っていた。


「ガタク! 何があったんだ? って何だこの冷気は…」

「殿! お戻りになられたで御座るか、実はつい先程、突然奴が現れたので御座る!」


私は前を見る。


そこには、全身に冷気を纏った、全長二メートル程の白狼が佇んでいた。


















「第35回次回予告の道ー!」

「さあ今回も始まったこのコーナー!」

「夏の大樹海を満喫したと思ったら、突然現れた謎の白狼! 一体何者なのだろうか…」

「分からん…まぁどうせ次回を見れば分かる事じゃしそんなに考えなくても良いじゃろう」

「それでは次回『北からの使者』!」

「「それでは、次回をお楽しみに!!」」


・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

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