第2話 出会い
私はとても興奮している。
なぜなら、神が私の最後の願いを聞き届けてくれていたからだ!
そう。あの時意識が薄れゆく前に言った言葉。
「今度生まれ変わるなら人間ではなく昆虫がいいなぁ……」
あの言葉を聞き届けてくれたに違いない!
しかも私が一番好きなカブトムシにしてくれるとは、嗚呼……ありがとうございます神様!
自分の身体を再度見てみる、やはりカブトムシだ。
しかも日本のヤマトカブトムシ! 私の好きなカブトムシランキング一位の種類だ! ちなみに二位はヘラクレスオオカブトだ。
あのフォルムも素晴らしくカッコイイがやはり私は日本のカブトムシが好きだ。
あの無骨ながらまとまったフォルムが私のハートを射止めたのだ。
しかし、少しおかしな点がある。
カブトムシは、卵→幼虫→蛹→成虫という完全変態昆虫だ。
卵から成虫が直接生まれるなどありえない。 もしいたら今頃学会は大騒ぎだ。
この事から私が普通のカブトムシではないことは明白だ。
そもそもここはどこだろうか……
その思った時だった。
「……い……」
ん?
何か聞こえたような……
「……おい……」
やはり何か聞こえたぞ?
左右を見てみるが、やはり誰もいない。
空耳かな? と、おもっていたとき。
「……お前の後ろじゃ」
後ろ? 振り返ってみたが誰もいない。
あれ、おかしいな? と思っているとまた声が聞こえる。
「もっと上じゃ」
上?
私は声に従って上を向いた。
そこには巨大な岩があった。
いや、それは岩ではない、巨大な蛇のような生物だった。
私はこの生物を知っている、ミミズと呼ばれる生物だ。
だが、このミミズは私の知っているミミズとは違いすぎる、あまりにも大きすぎるのだ。
ミミズはカブトムシより全長は長いが、これほど大きいミミズが存在するわけが無い、さらに頭部が三つに分かれているのだ。
それぞれの頭が左右に五つの眼を持っていてその眼は赤い水晶玉のように輝いている。
最後に牙が無数に生えて、その姿はまるで三つ首の龍のようだ。
その姿を見た私は驚愕し、動けなかった。
「……やっと気付いたか、全くさっきから見ておったが、やっと生まれたと思ったらいきなり叫びおって……ちょっと引いたぞ」
とミミズの化け物は喋ってきたので私はミミズの化け物に質問した。
「キュ……キュイキュキュー?」(あの……どちらさまでしょうか?)
そう聞くと、ミミズの化け物は高笑いをしながらこう言った。
「フハハハハハハハハハハハ!! よくぞ聞いたな小さき者よ! 儂こそはこの世界に破滅をもたらす存在! 六大魔王が一体、魔蟲王ヤタイズナである!!」
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