第147話 サソリとトンボと空飛ぶ少女Ⅳ
―魔人族の拠点。
「ブロスト! ブロストは何処だ!」
調査から戻って来たディオスが、ブロストを探し回っていた。
「おやディオス、戻ってきましたか……どうでした、成果はありましたか?」
「ああ、お前の言うように東側を探した結果、廃墟を発見した」
「ほお、このような砂漠に廃墟ですか……で内部はどのようになっていましたか?」
「それがその廃墟に入って行く者達がいたのだ、一人は腕が翼になっている少女、残りはスコルピオン種の魔物とドラゴンフライ種の魔物だ、そしてそのスコルピオン種の魔物は例の従魔使いの従魔と特徴が一致していた」
「なんと、と言う事は……奴らもこの地に来ていると?」
「ああ……このままでは奴らにあの石を奪われてしまう……なので数人の部下に監視を任せ、戦力を集めるために一旦戻って来たのだ、でビャハの奴は何処に行った? まさかと思うが……」
「ええ、ビャハなら暇つぶしに行きましたよぉ」
「やはりか! ビャハめ任務を何だと思っているのだ! ……仕方ない、ブロスト、貴様の部隊と連携して従魔使いを叩くぞ」
「分かりました、では出発の準備を急ぎましょう」
「よし、では1時間後に出発する! 全員準備しろ!」
そう言ってディオスは自らの部隊の元に向かった。
「……」
ディオスが居なくなると、背後からブロストの部下が現れた。
「ブロスト様、ビャハに廃墟の事を伝えますか?」
「伝えておきなさい、奴にも働いてもらわないといけませんからね」
「分かりました」
部下が消えると、ブロストは微笑を浮かべ、懐から水晶を取り出した。
「彼等にはもっと働いてもらわないとねぇ……我が大願成就のための道具として」
―一方その頃、私達は集落を出て約束の地に向けて移動していた。
「ウモウ、このまま真っ直ぐでいいのか?」
「はい、その通りです」
約束の地までは鳥羽マント……ウモウと数人の屈強な鳥面男達が案内してくれている。
ウモウ達はサンドバードと言うダチョウに酷似した生き物に乗っている。
「このままスムーズに約束の地まで行ければ良いが……ん?」
右前方に何か生き物が大量に群がっている光景をが見えた。
あれは確かイエローファットテールスコルピオン……何かと戦っているのか……!
気になって少し高く飛んで確認すると、イエローファットテールスコルピオンの群れの中心で戦っている生物の姿があった。
「あれは……カトレアにテザー!?」
そう、イエローファットテールスコルピオンと戦っていたのは、私のしもべであるカトレアとテザーだったのだ。
「ミミズさん、バノン、私から降りてくれ!」
「何? どうしたんじゃ急に?」
「カトレアとテザーを見つけたんだ! イエローファットテールスコルピオンに襲われているから助けに行かないと!」
「何だって!? 分かった直ぐに降りる!」
私は地面に降り、バノンとミミズさんを降ろし、急いでカトレアとテザーの元に飛んで行く!
(《花の鎌》!)
「ギシィィィ……」
「ギシシィ……」
(《岩の鋏》! 死ねぇぇっ!)
花の鎌で動きが止まったイエローファットテールスコルピオンを、テザーが岩の鋏で挟み殺す!
(まったく……あと何匹いるのかしらね、面倒で仕方ありませんわ)
(俺、同感、言う)
「ギシシシシィィィ!」
「ギシシシシシィィィィィ!!」
イエローファットテールスコルピオンがカトレアとテザーに飛び掛かる!
「《炎の角》、《斬撃》!」
「ギシャア!?」
「ギシシィッ!?」
(この攻撃は……御主人様!)
(俺、ご主人と会えた、言う)
私の姿を見て、カトレアとテザーは喜んでいた。
「カトレア、テザー、無事て良かった……お前達だけか?」
(はい、ご主人様と他の仲間を探して砂漠を移動してたらこいつらに襲われたのですわ)
(俺、こいつら沢山いて面倒、言う)
「ギシシィィィ!」
「ギシシシィィィィィ!」
「とりあえず話はこいつらを倒してからにするか! 《炎の角・槍》!」
私に飛び掛かって来たイエローファットテールスコルピオンを二匹同時に串刺しにする!
(御主人様と一緒ならこの程度の奴らには絶対負けませんわ!)
(俺、カトレアと同意見、言う!)
数分後、私達は全てのイエローファットテールスコルピオンを倒し終わった。
(御主人様、再会できてカトレアはとても嬉しいです)
(俺、超嬉しい、言う)
「私もお前達と再会できて嬉しいよ、これで残るしもべはスティンガーとドラッヘ、ベルとレギオンにアント達か……皆無事でいてくれよ……」
カトレアとテザーと再会、合流した私達は約束の地に向けて再び移動を開始した。
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