第91話 暗躍する者達Ⅲ

―マモン森林、廃城、円卓の間。











「…遅い! ブロストめ、またも遅刻とは…円卓会議を何だと思っているのだ!」

「ビャハハハハハハッ! あいつが遅いのはいつもの事じゃねぇかよぉ、いちいちそんな事で怒ってんじゃねぇよ、ディオスぅ」

「奴の事だ、どうせいつもの研究をしているのであろう」

「…」


しばらくすると、円卓の間の扉が開き、ブロストが入って来た。


「青のブロスト、ただいま来ました」

「遅いぞブロスト! 何をしていたのだ!」

「いや申し訳ない、研究に熱中してしまいまして」

「ビャハハハハハ! 今度はどんな物を作ってたんだぁ?」

「新しい魔道具の研究を少々」

「そんな物を作る事がこの会議よりも大事だというのか!」

「落ち着くのだディオス、全員集まったのだ、良いではないか」

「しかしゼキア!」

「…静かにしろ」


今まで黙っていたギリエルが騒ぐ4人を制する。


「今回お前達を集めたのは、ザハクの事についてだ」

「任務に向かったザハクがどうかしたのですか?」

「…ザハクが討ち死にしたのだ」

「何と、ザハクが…」

「これは驚きですねぇ…」

「馬鹿な!? ザハクが…ザハクが討ち死んだなど…」

「ビャハハハハハハハハッ! デカい口叩いてたくせに死にやがったのかよあいつ! 笑えるぜ」


ビャハが大笑いしているとディオスが円卓を叩き激怒した。


「ビャハ! 貴様同胞の死を笑うとは何事だ!」

「ビャハハハッ、使えねぇ奴を使えねぇって言って何が悪いんだぁ?」

「貴様…!」

「静かにしろと言っている!」


ギリエルがビャハとディオスを一喝した。


「も、申し訳ありません」

「ビャハハ…すみません」

「しかしギリエル様、ザハクはあの宝珠を持っていたはず、あの力を使って敗れたと言う事は…魔獣王の捕縛は失敗したと言う事ですか?」


ゼキアがギリエルに質問した。


「…つい先程ザハクの部隊の生き残りたちが戻って来た、彼らの報告を聞いたところ…ザハクを討ったのは、例の赤き一本角の魔物だそうだ」

「何ですって! 例の従魔使いのドワーフがレイド大雪原に!?」

「ビャハハハハハハ! またかよ!」

「アメリア王国周辺から姿を消したと思っていましたが、よもやあの場所にいるとはねぇ…」

「…と言う事はギリエル様、奴らは魔獣王の存在を知っていたと言う事でしょうか?」

「うむ、二度に渡って我らの計画の邪魔立てした事、もはや偶然とは言えぬ…それにあの力を使ったザハクを倒したのであればもはや放っておくわけにはいかぬ…ディオス、ランド大樹海とその周辺の再調査、及びレイド大雪原周辺の調査を行え」

「仰せのままに」

「ブロスト、お前は例の侵攻作戦を実行に移せ」

「了解しました」


ギリエルは懐を漁り、青色の珠を取り出した。


「この宝珠を持っていくがいい」


ブロストはギリエルから青の珠を受け取った。


「ありがとうございます、このブロスト、魔人王様のために任務を必ず成功させて参ります」

「うむ、…《総ては我らが主、魔人王様のために》」

「「「「《総ては我らが主、魔人王様のために》」」」」
















「ふふふふ…」


円卓会議が終わった後、ブロストは廊下を歩きながら、手に持った宝珠を見て笑みを浮かべていた。


「これさえあれば…」

「これさえあればなんなんだぁ?」


ブロストが前を向くと、壁際にいつの間にかビャハがいた。


「ビャハ、何の用ですか? 私は侵攻作戦の準備で忙しいのですが」

「忙しいねぇ…ビャハハハ!」

「…何がおかしいのですか?」

「忙しくなるのは作戦の準備じゃなくて研究の方じゃねぇのか?」


ビャハの言葉を聞き、ブロストは一瞬不愉快そうな表情になったが、すぐに元の表情に戻った。


「それはどういう意味ですか?」

「さて、どういう意味だろうなぁ? ま、せいぜい頑張るんだな、ビャハハハハハハハハ!!」


そう言うとビャハは、笑いながらブロストの後ろを通り過ぎていった。


「…ビャハめ、相変わらず何を考えているか分からない奴だ…まぁ良いでしょう、今はこれの事に集中するとしましょう」


ブロストは、そのまま自らの部屋に向かって歩いて行った。

















「第49回次回予告の道ー!」

「さぁ今回も始まったこのコーナー!」

「次回は再び私達サイドに戻るよ!」

「うむ、次なる舞台はアルトランド王国! そこで待ち受けるものとは!」

「それでは次回『新たなる旅の始まり』!」

「「それでは、次回をお楽しみに!!」」


・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので、次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

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