第128話 故郷への帰路Ⅱ

アイアドを出発して八日目、私達はアルトランド王国の近くまで戻って来た。


「やっとアルトランド王国まで戻って来たね」

「そうじゃのう、ここまでは楽な旅じゃったのう」

「さて、それじゃあこの辺で降りるわよ、あんた達との旅もここで終わりよ」


クーちゃんが地面に着陸し、私達はクーちゃんから降りて行く。


「魔海王、ここまでありがとうございました」

「そのくーちゃん、中々良い乗り心地じゃったぞ」

「別に礼なんていらないわ、まぁ今回の件を活かして新曲を作るから、完成したらあんた達に聴かせてあげるわ、楽しみにしていなさい♪」

「はい、分かりました」

「さて、それじゃあ久しぶりにガーベラに会いに行こっと♪」


そう言って魔海王はクーちゃんに乗り、アルトランド王国へと向かって飛んで行った。


「新曲かぁ……楽しみだねミミズさん」

「儂は歌とかどうでもいいがのう」


魔海王と別れた私達は、ランド大樹海に向けて飛び立った。












―アルトランド王国から飛び立ってからの道中、特に何の問題も起こることも無く、順調に大樹海へと進んで行く。


「うーん……」


そんな中、私はある事で悩んでいた。


「どうしたヤタイズナ? さっきから悩み続けているようじゃが……」

「何か考え事か?」


私の前胸部に乗っているバノンと、前胸部の角に巻き付いているミミズさんが悩んでいる私の事を気にして話しかけてきた。


「うん、実は……あいつの名前を考えていたんだ」


私は、私の隣を飛んでいるシルバードラゴンフライを見た。


「あ奴の名前?」

「うん、あいつは私のしもべになったからね、良い名前を付けようと思っているんだ……5個ぐらいまで候補を絞ったんだけど……どれにしようか悩んじゃってさ、お前だってカッコイイ名前が良いだろ?」


私はシルバードラゴンフライに話しかけた。


(……別に名前なんて何でもいいっすよ、使い捨ての駒に名前が必要とは思は無いっすけど)

「使い捨ての駒なんかじゃないよ、お前は私のしもべだ」

(同じようなもんっすよ)


そう言ってシルバードラゴンフライは後ろの方に移動し、私から距離を取った。


「何じゃあ奴感じ悪いのう……ヤタイズナ、ああいうのは立場を分からせてやるのが一番じゃぞ」

「まぁまぁ……あいつだって少し複雑なんだよ」


あいつからしたら私はあいつを捨てた最低な奴だしな……仕方あるまい。


徐々にあいつと話をして、信頼を得ないとな。


そのためにも、まずはあいつの名前を考えないと……どれにしようかな……


私は再びシルバードラゴンフライの名前について考えながら、空を飛び続けた。











―二週間後。


私達は遂にランド大樹海に帰って来た。


「遂に大樹海に戻って来たね、ミミズさん」

「うむ、懐かしき故郷じゃ!」

「色々とあったよな……」

(わーい♪ ひさしぶりのふるさとだー♪)

(この木々を見ると、帰って来たって実感わきますねー♪)

(久しぶりに樹海の獲物が食べられますわ)

(巣に戻ったら帰って来た記念に一曲歌いましょう♪)

(あっしは生まれてまだ日は浅いですが、やはり故郷ってのは良いもんでさぁ……)

(このレギオン、任務を終えて帰ってきたであります!)

『ギチチチチチィィィィィィィ!!』


スティンガー達も大樹海に戻ってこれて嬉しそうだ。


私達は巣に向けて移動を開始した。


私は周りの木々を見渡す。


「この感じ……久しぶりだなー……」


ガタク達は元気にやっているかな? 久しぶりに会えると思うと嬉しくなって来るな……


「……ん?」


巣まであと少しの所まで来たところで、変な音が聞こえた。


「何じゃ? この音は?」

「これは……風切り音?」


私がそう思ったその時、謎の衝撃波が木々を切り倒しながら私目掛けて飛んできた!


「っ! 《炎の角》!」


私は咄嗟に炎の角で衝撃波を打ち消した!


「ヤタイズナ!? 大丈夫か!?」

「うん、でも今の衝撃波って……」

「恐らく斬撃じゃろうな……」


やっぱり……しかもあの大きさの斬撃、前に見覚えがある。


「斬撃が飛んできた先には巣が……」

「何かやな予感がするのう」

「急ごう、ミミズさん!」


私達は急いで巣へと向かった。






「よし、この茂みを通れば……」

「ぐあああああああああああああああ!?」


叫び声が聞こえた後、私達の元に巨大な物体が飛んできた。


「ガタク!?」


そう、飛んできたのは私のしもべのガタクだった。


ガタクはそのまま木にぶつかり、地面に落ちた。


「ガタク! 全身傷だらけじゃないか……一体どうしたんだ!?」

「と、殿……お戻りになられたので御座るか……申し訳ありませぬ……突然奴が現れて……」

「奴?」

「やっと来たか、待ちくたびれたぞ」


私は聞き覚えのある声を聞いて、私は前を向いた。


そこに居たのは…全長3メートル、緑色と白の鮮やかな迷彩模様の巨大蟷螂だった。


「久しぶりだなヤタイズナ、貴様と戦いに来たぞ」

「東の、森王……!」















「第73回次回予告の道ー!」

「と言うわけで今回も始まったこのコーナー!」

「東の森王が久しぶりに本編に出てきたね」

「本当凄い久しぶりじゃのう……104話振りぐらいじゃったかのう?」

「うん、しかし奴が現れたからには、激戦は必死!」

「うむ、ヤタイズナよ、今度こそ奴に勝利するのじゃ! それでは次回『カブトvsニセハナマオウカマキリⅡ』!」

「「それでは、次回をお楽しみに!!」」


・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る