第109話 守りし秘密Ⅱ
私達はガーベラ王妃達に連れられ、城の一階へと移動した。
ガーベラ王妃は階段近くにある銅像に近づき、銅像の頭を押した。
すると銅像が右に移動し、銅像が元々あった場所の下に階段が出現した。
「隠し階段……」
「さぁ、行こう」
私達はガーベラ王妃を先頭に私達は階段を下りて城の地下へと進んで行った。
そしてしばらく進んでいると、目の前に巨大な扉が見えた。
「着いたぞ、ここだ」
「ここに魔海王と王妃が知り合いの理由、そしてブロストがこの国を襲った理由が……」
ガーベラ王妃達が扉を開け、私達は中に入った。
「これは……」
部屋に入った私達が見た物は、蛇のような生き物が描かれた巨大な壁画だった。
「ガーベラ王妃、この壁画は一体……」
「ああ、これは……」
「私の姿を描いた物よ」
「魔海王の?」
この壁画に描かれている生き物は魔海王だったのか……
「しかし、何で壁画に魔海王が?」
私が疑問に思っていると、魔海王が胸を張って喋り始めた。
「それはこの私がこの国を作った張本人だからよ!」
「はいぃ!?」
「何じゃとぉ!?」
魔海王がこの国を作った!?
私が驚いていると、ミミズさんが魔海王に詰め寄っていた。
「人間の国をお主が作ったじゃと!? どういう事じゃ魔海王、説明しろ!」
「アンタが勇者にやられて死ぬ前の話よ……ほら、私達影武者仕立ててそれぞれ好きな場所で住んでいたでしょ?」
「うむ、そうじゃったな」
「それで私はこの辺りの海の底に沈んでた廃墟に棲み始めたんだけど、ある嵐の日に私の頭上に船が沈んできたのよ、私は戯れにその船を助けてやったんだけど、そしたらその船に乗っていた人間共が私の事を海神様とか言って崇拝して来てねー、そのまま海の近くに住み着いて小さな国を作ったのよ」
「その国が、今のアルトランド王国なんですね」
成程……魔海王がこの国を作ったと言うのはそう言う事だったのか。
「そう、そしてこの壁画はその時の国王が私への感謝を忘れないためにとか言って作った物なのよ、まぁそれで私はその王に壁画を作ったご褒美として、私が持っていた綺麗な石をプレゼントしたのよ」
「綺麗な石?」
「ええ、そしたらその王ったら大喜びしてね、私の壁画にその石を取り付けたのよ、目の部分に窪みがあるでしょ?」
魔海王が指差した場所を見ると、確かに何かがはめ込めそうな窪みがあった。
「本当だ、でもそのはめ込まれている石が無いんだけど?」
「ブロストが持ち去ったのだ」
ガーベラ王妃は悔しそうに拳を握りしめていた。
「奴がこの国を襲った理由はこの国に代々伝わっていた秘宝だったのだ……すまないレヴィヤ……私が不甲斐無いばかりに、君がこの王国の初代国王に与えた秘宝を奪われてしまって……」
「いいわよ別に、それに秘宝って言ったってあの石は廃墟の中で見つけて拾っただけだし、そんなに大事ってわけじゃなかったしね」
「……それにしても、何でブロストはそんな物を狙ってたんだ?」
「さぁのう……」
「それで話し戻すけどさ、私は初代国王の時から、新しい国王になる度にしきたりとかでその国王と王妃が私に挨拶に来てたのよ、それで十年前にそこにいる国王と一緒にガーベラがやって来たのよ」
「成程……それで二人は知り合いになったと言うわけか」
「ああ、初対面の時はとても驚いたよ」
「ふふっ、良く言うわね、全然動じて無かったじゃない……それで話してみると面白い奴でねー、私気に入って月に一回ぐらい人の姿に化けてガーベラの部屋に訪問してるのよ……最初の訪問の時は何故か剣を向けられたけど」
「当たり前だ、いきなりテラスから現れたら誰でも侵入者だと思い剣を向けるだろう」
「それでいつも話をしてるんだけど、ある時暇つぶしに歌を歌ってみたらガーベラが超褒めてくれてさ、その時にガーベラが提案をしたのよ、祭りの最後に国民達に歌を披露してみたらどうだって」
「レヴィヤは性格はともかくその歌は本当に素晴らしいからな、国民達にも聞かせたかったのだ」
「ちょっと、性格はともかくって何よ!」
「本当の事を言っただけだろ」
「全く……で、祭りの最後に歌を歌ったら大人気になってね、それからずっと祭りの最後に歌を披露してたらいつしか呼ばれるようになったのよ、歌姫ってね♪」
魔海王が決めポーズを取った。
「……成程、それにしても傷ついた国民のために歌うなんて、魔海王は優しい魔王なんですね」
「は? 何の事?」
魔海王は私の発言にキョトンとしていた。
「え? いや今日歌ったのは傷ついた国民達のためですよね?」
「そんなわけないじゃなーい、あんた何言ってんのよー」
魔海王はケラケラと笑っていた。
「私は私が歌いたいから歌ってるの、今日のために色々と準備とかしてたのに中止なんて許せるわけないでしょ? あー! それにしても私の舞台を延期にさせやがった奴本当に許せない、もし出会ったらぶち殺してやるわ!」
「……」
「……すまない、レヴィヤは自己中心的でな……」
「ま、そうじゃろうと思ってたがな……」
……本当、六大魔王って一癖ある奴ばっかりだなー……そう言えばあの壁画に描かれているのが魔海王って事は本来の姿はウミヘビっぽい見た目なのかな?
そう言えばまだステータスを見て無かったな……鑑定しておくか。
私は魔海王に鑑定を使いステータスを見た。
ステータス
名前:レヴィヤ・ターン
種族:リバイヤサン
レベル:500/500
ランク:S
称号:魔海王、魚介の召喚士、歌姫
属性:海
スキル:魅了の歌声、変化(人)
エクストラスキル:魔海の水砲、魔海の水柱、魔海の水槍、水の盾、魔海の鱗、水属性耐性Ex
ユニークスキル:魚介召喚、魔海の渦潮
性格はともかくステータスはやはり凄いな。
変化(人)……これで人の姿に化けていたのか。
「全く……昔から変な奴だったが、千年経って余計に変になりおってからに……」
「何よ、アンタは昔から全然変わらずにお堅いわねー……カルシウム足りて無いんじゃない?」
「はぁっ……まぁ良い、魔海王、お主に聞きたい事がある」
「何よ急に」
「ミミズさん、魔海王に何か聞くの?」
「うむ、次の目的地になる場所をな」
目的地?
「お主ならあ奴の居場所を知っているはずじゃろう?」
「あ奴って……あいつの事?」
「そうじゃ、六大魔王の一体、『魔竜王』の居場所を教えて欲しいのじゃ」
「第61回次回予告の道ー!」
「と言うわけで始まったこのコーナー!」
「今回は魔海王について分かったね」
「そうじゃな、……まぁ相変わらず変な奴じゃったがな」
「失礼ね、変な奴って何よ変な奴って」
「魔海王!? 何故ここに居るのじゃ!?」
「ふふーん、スーパー歌姫☆レヴィヤ・ターンに不可能は無いのだ♪」
「全く説明になっておらんぞ!?」
「そう言うわけで今回はこのレヴィヤが次回予告をしちゃうぞ♪ レヴィヤから魔竜王の居場所を聞き、ヤタイズナ達は新たなる場所へと旅立つ、果たしてこれからヤタイズナ達に待ち構えるモノとは!? 次回『新たな地へ』♪」
「おのれまたしてもこのコーナーを乗っ取られてしまった……だが覚えておくのじゃぞ、このコーナーの主役は儂じゃと」
「それでは次回をお楽しみに♪」
「最後まで言わせろやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。
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