第7話 虫愛づる姫君
ランド大樹海、東近辺にある国家のひとつ、アメリア王国。
この国は緑豊かな国として名を知られており主に農業が盛んな国である。
しかし、1年程前より魔物が急激に活性化を始め、周辺国家は魔物の被害に遭いアメリア王国にも被害が及んだ。
この事態を治めるため、アメリア王国は古より伝わる勇者召喚の儀を行うことを決めた。
そして一ヶ月ほど前、この国に4人の勇者が召喚された。
勇者の力により魔物たちはアメリア王国周辺から消え、平和が戻った。
それから一ヶ月程が経ち、アメリア王国城の庭園に一人の少女が蝶と戯れていた。
そこに一人の老執事がやってきた。
「姫様! ここにおられましたか、勝手に外に行かれては困りますぞ!爺にも立場というものが…」
「もう、うるさいわよ爺や!ちょうちょさんが逃げたじゃないですか」
少女の名前はオリーブ・アメリア。 アメリア王国の姫である。
「姫様…いい加減虫と戯れるのはやめた方がよろしいかと思いますが」
「その話は聞き飽きました。それで、何の用ですか?」
「はい、国王様が姫様に話があると探しておりまして…」
オリーブはまたかと思いため息をついた。
「私は今お父様とは会いたくありません、どうせまた、勇者様と結婚しろとかでしょ?」
「姫様…なぜ勇者様との結婚が嫌なのですか? 勇者様はこの国の英雄、断る理由は無いではないですか」
「いくら英雄だとしてもいきなり見ず知らずの人と結婚なんて私は嫌です! それに…」
「それに?」
「好みじゃありません」
そう、全然好みのタイプではないのだ。
周りの女性達は勇者様を見ただけで黄色い声を上げるが、あれのどこがいいのだろうか? 確かに顔立ちは整っている、だが歓声をあげる程のものなの? と私は思いました、しかしお父様は勇者様の一人を気に入り、娘を嫁にくれてやると言ったのです! 何言ってるのですかこの人!? と心で思いました。
しかも勇者様も満更でもない感じでした、私は結婚は嫌だと言ったのですが勇者様の婚約者になってしまいました…
嫌だと言っているのになぜ婚約者!? と私はその時心の中で叫びました。
「私は部屋に戻ります。お父様には会いませんからね!」
「ひ、姫様!? お待ちください!」
私は爺やを無視して部屋に向かいました。
すると、向かった先には4人の人影が…
「あら? オリーブ姫じゃない、どうしたのこんなところで?」
勇者様たちでした…なんてタイミングの悪い人達でしょうか…
「こ、これは綾香様、それに他の皆様も」
「おはよう姫様、いい天気だよねー」
「お、おはようございます姫様…」
そう、この方たちが勇者様達です…右から橘綾香様、森山海斗様、渡辺瑞樹様、そして…
「おはようオリーブ、今日も綺麗だね」
…この爽やかな感じの人が私の婚約者の鳳悠矢様。
「お、おはようございます悠矢様、今日はどうしてこちらに?」
「王様に呼ばれてね、西の方で魔物が暴れているので討伐に言ってくれと言われてね」
「そ、そうですか、頑張って来てくださいね」
「ああ! すぐに魔物を倒して君の元に帰ってくるよ!」
と言って悠矢様は颯爽と走り出しました…そんなに早く帰ってほしくないですけど。
「ちょ!? 待てよ悠矢!」
「そ、そんなに急がないでくださいよ~」
「まったく…ごめんなさいねオリーブ姫、あいつあなたと結婚する気満々で…」
「い、いえ、綾香様が謝ることは…」
「でも、あなたは悠矢と結婚したくないんでしょう? 何とかしてあげたいんだけど、あいつ昔から人の言うこと聞かなくて…」
「綾香! 何してるんだ、早く行くぞ!」
「わかった、すぐ行くわ!…じゃあオリーブ姫、またね」
「あ、はい! いってらっしゃいませ綾香様」
勇者様達は魔物討伐に出発しました。
綾香様は私の悩み事などを言える数少ない人物です。
悠矢様とは幼馴染だそうで彼の暴走をよく止めたりしてくれています。
私は部屋に戻り、テーブルにある本を開きました。
その本は様々な昆虫の絵が載っている昆虫図鑑と呼ばれる本です。
そう、私は昆虫が大好きなのです! 私は一番好きな昆虫のページを見る。
それはカブトムシと呼ばれる昆虫。
私が子供の頃、城の庭の木にこのカブトムシが止まっていたのです。
そのままカブトムシはどこかに飛んで言ってしまいまいたが…あの時見たカブトムシを私はいまだに忘れられません。
私はため息をつきました。またあのカブトムシを見たい…そう思いながら私は天井を見上げました。
その頃、ヤタイズナとミミズさんは…
「何で三日一回何だよ!? せめて五回にしろよ!」
「まだ言うかぬしは!? それ程強力なスキルなのだとなぜわからんのじゃ! このたわけ!」
「何だと!? もう我慢できん! 叩き潰してやる!」
「ああん!? やる気かぬし!? 儂元魔王じゃよ!?」
「(笑)だけどなぁ!?」
「(笑)いうなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
まだ口論してたとか……
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