届かない
その日の5時間目体育の授業がやってきた。兵士を育成する東一にとって体育は重要な科目であるため、5.6時間目には必ず体育が入っているのだ。
まぁ、俺にとってはただの後片付けをするだけの人間なので俺にとっては重要でも何でもないんだけど。
……だが今回は違った。
「おーいお前ら! 今回は1組と合同訓練だ! この練習でお前たち7組の力を見せつけてやれ!」
周りがどよめく。合同訓練なんてめったにあるものではない。さらにあの桃鈴才華と練習できると聞いた男子達はみんなやる気を出している。
「こんにちはー!」
1組が来た。いの一番に声を上げたのはやはり才華である。
「どうも」
それに続き、まるで絵に描いたような金髪のイケメンが挨拶をする。
あの男の名は
「2時間の間よろしくお願いしまーすね?」
才華がみんなに挨拶をする。それにつられて俺や周りのクラスメイトも挨拶をした。
「よし今回は1対1のタイマンをしてもらうぞ! 勝敗は、上半身が床についたときで良いだろう。」
三井先生が今回の訓練の説明をする。なんとも前よりによって対人戦か、俺はもちろん組む相手がいないので居残りになるだろうな……
と、そんな時だった。
「ねぇ、伸太くん」
ぞっとする。君の悪い位甘ったるい声色、体が震える、汗が出る、俺がゆっくりと振り返るとそこには……三山がいた……
「僕たちで組まないか?いつも遊んでる仲じゃないか〜〜」
俺は一瞬、理解できなかった。こいつが俺と組む理由なんて――――
「へぇ〜三山君、伸太と知り合いなんだぁ〜」
…………あ、そういうことか……
「そうなんですよ!いつも遊んでてさ!今度僕ん家でゲームする予定なんですよ!」
才華の前での好感度上げ、俺と組む理由なんてそれの1つにつきる。
「やめてよ……」
「……ん? 何か言った?」
話で盛り上がる2人その中に俺の姿はなく。どんなに目で助けてと叫んでも才華に届く事はなく。
「それで伸太くん転んじゃってね? それでね? それでね?」
「あははは! なにそれおっかしー! も〜伸太! あんまり三山君に迷惑かけないようにね!」
ピーッ!
三井の笛が鳴り響いた。
「よし! まず第一試合を始める! まずは……お前らだ!」
俺の気持ちなんて知らず。
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