楽しい楽しいお祭りの終わり 不信の棺
「……何のためにこんなことをしているのかしりませんけど……まぁ、あなたの目的が果たせそうでよかったです」
「ああ……まぁな」
袖女には俺の素顔は見せていない。今の俺の顔は藤崎剣斗になっているので、これを見せたらいろいろめんどくさそうだったからだ。
(今はこの兎女のスマホがあれば……相手の全てが筒抜けだ)
俺は兎女のスマホを操作し、今回の件に関連してそうな物を探す。
「あ、そうだ……お前にもまだ手伝ってもらうぞ」
「……まぁいいですよ」
(……ほう)
「二つ返事で了承するんだな? 神奈川への裏切り行為だと思うんだが」
「今ごろなに言ってるんですか……私がいやだって言っても無理矢理連れて行くでしょ」
「わかってるじゃないか」
袖女とは既に深い付き合いだ。物事がとんとん拍子で進んでいって本当に助かる。
(……お)
そんな話をしていると、組織と兎女のものらしきメールを発見した。
「……ほう」
その内容は、やはりというか、ある意味以外というべきか――――
――――
その日の夜、東京市内にあるとある料亭。
「「かんぱーーい!!!!」」
「か……かんぱい……」
料亭のとある1室、そこでは2人のスーツを着た男と、よそ行き用の服を着た小さな女の子の計3人が、テーブルを囲み、豪勢な料理の上で乾杯をしていた。
「んぐっ、んぐっ……ぷはーっ!! 最高ですなぁ! "内務大臣"どの!!」
「ええ! まったくです!!」
その2人のスーツを着た男とは、何を隠そう、内務大臣と外務大臣だ。何やら今日は何かが成功した日らしく、2人とも珍しく上機嫌だった。
「いやー、しかし! 大成功でしたなぁ、あの作戦は! さすがは内務大臣殿だ! 頭の出来が違う!!」
「ふふふ……そんなに褒めないでください、と言いたいところですが……今回ばかりはうまくいきすぎて自分でも驚いています。もう少し褒めても構いませんよ?」
2人の大人が年甲斐もなくはしゃいでいる。こんな日は本当にめったにない。
「それもこれも! すべては君のおかげだ! 感謝するぞ!
「……は、はぁ」
はしゃいでいる2人の横で、気まずそうにしている女の子。彼女の名前は能寺小道のうじこみちと言うらしい。
2人がはしゃいでいる理由は、彼女にあるようだ。
「そんなにかしこまらないでください。あなたのスキル、『強制憑依』がなければこの作戦は成立しなかった……内務大臣と外務大臣に感謝されているんです。もっと誇っていいんですよ」
スキル名 強制憑依
所有者 能寺小道
スキルランク master《マスター》
スキル内容
血と肉を使い、特定の人物1人を指定して別の人物に魂を入れ替える。特定の人物のパワーによって血と肉の必要量は変化する。
内務大臣にそう言われ、彼女はペコペコと頭を下げる。どうやら逆効果だったらしい。
2人はこれを見て、おだてるのが逆効果だと判断したらしく、彼女を無視して2人で話し始めた。
「しかし、彼女もよくやりましたね。1ヵ月と言う短い期間で憑依先を発見し、始末までしてしまうとは……」
そう言いながら、内務大臣は外務大臣にスマホの画面を見せる。
そのスマホの画面には、『田中伸太の始末に成功。今日中に帰還します』と書かれたメッセージが記載されていた。
「くくくっ……それにしても、本当にうまくいきましたなぁあの作戦は……そうだ! あの作戦の内容をもう一度振り返ってみると言うのは!!」
「ん……悪くない案ですね……では、脳寺さんにも聞かせてあげましょう!! 私の完璧な作戦を!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます