楽しい楽しいお祭りの終わり 不信の棺 その2

「ことのはじまりは、田中伸太指名手配が決まった日の夜に始まりました――――」


 そう言って、内務大臣は得意げに自分の計画を話しだした。





 ――――





 あの会議が終わった後、私はすぐさま彼女――脳寺小道さんに連絡を取ったのです。





『……はい、脳寺ですが』


「すみません。こんな夜遅くに……内務大臣をやっている者なのですが、脳寺小道さんはいらっしゃるでしょうか」


『あらまぁ! 少しお待ち下さい……小道ー!! 内務大臣から電話だよー!!』


 そこからドタドタとした音とともに、息を切らしながら脳寺小道さんが電話に出る。


『はぁ……はぁ……すいません。少し遅れました』


「いえいえ、構いませんよ……それよりも、少しお願いがしたいのですが」


『はぁ……お願いですか……』


「はい…… 1人いるんですよ。入れ替えて欲しい人間が……」


『あ……入れ替えるんだったら少し待って欲しいです。練習したいので……』


「ええ、少し位なら問題ありませんよ」





 しかしそれだけでは役不足……私は更なる準備を進めたのです――――





 次の日。


「いい人は用意してくれましたか?」


「ああ。内務大臣の希望には沿っていると思いますぞ」


 私は事前に、外務大臣に1つお願い事をしていました。


「内務大臣のお望み通り……体が入れ替わった田中伸太を探し出し、始末できるような、そんな兵士が、な……」


 外務大臣はそう言いながら、うさぎの耳が付いた女性兵士の写真を渡してきた。


「背丈的にも高校生に見えなくもありません。高校生に偽装させるもよし、スキルの『うさぎ足』で高速移動して探し出すもよしなうってつけの人材ですよ」





 こうして、私の田中伸太処分作戦は、始まりを告げたのです……





 ――――





「あとは彼女が田中伸太を見つけ次第、同盟を結んでいる神奈川に連絡し、チェス隊に応援を扇げば……」


「チェックメイト……と言うわけですな」


「ち、ちょっと外務大臣!! 決めゼリフをとらないでください!!」


「いやぁすいません! ついつい!!」


 2人ともハイテンションのまま、お互いにふざけあう。脳寺小道は2人のテンションに合わせられず、あたふたしていた。


「それにしても……彼女はまだ帰って来ないのですかな?」


「そういえばそうですね……彼女にもこれまでの疲れを癒してもらいたいのですが……」


 内務大臣はそう言いながらスマホをチェックする。彼女が帰ってこないことに、少し不信感を覚えているようだ。


「いやぁ内務大臣はお優しい!! 部下を大事にする心と厳しさを持ち合わせてらっしゃる!!」


 ここぞとばかりに笑みを浮かべ、外務大臣が内務大臣をおだてていく。内務大臣も同じように笑みを浮かべ、楽しそうに返事をした。


「いやぁ、それほどでも――――「まったくだ。本当に優しい」――――へ?」







「その優しさを……もっと周りに向ければよかったのにな」

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