一発逆転の策
は? ……は? ……は?
『馬鹿なっ……! 一体どういう……』
ありえない。ウルトロンが東京派閥に渡されるのは、もっともっと後のはずだ。そもそもマスコミがいなくなった後に、秘密裏に渡される手はずだったはず。なのに、このマイクから聞こえる大きな声はなんだ?ウルトロンの贈呈?
(……一体どうなってるんだ)
「……おいハカセ、ウルトロンが東京派閥の手に渡るのは、もっと後なんじゃなかったのか」
俺は、焦る気持ちを抑えながら、ゆっくりとスチールアイに向かって問いかけた。
『わ…わからん……じゃが、1つ言えるとしたら……』
『今回の出来事は……東京派閥が神奈川派閥に指示した可能性が大きい、と言う事だけじゃ』
「……」
正直、俺もそう思っていたところだ。
理由としては、ウルトロンをマスコミの前で得られるメリットは、東京派閥の方が大きい。
東京派閥に対する世間の評価、神奈川派閥との協力関係、他にも挙げればキリがないが、マスコミに見せれば、一番得をするのが東京派閥なのである。
逆に神奈川派閥にとっては、マスコミに見せる事はなんらメリットではない。神奈川派閥はただ渡すだけであり、何もとは言わないが、そこまでメリットがあるとは到底思えない。
……つまり、前倒しになったウルトロンの贈呈は東京派閥の考えと言う可能性が高いということだ。
『……とりあえず今は戻るのが先決じゃ、そんなところに居ては、いつどんな目に合うかわからんぞ?』
「……わかってるよ」
だが、戻ったところでどうなると言うのだ。もう一度潜入するなどほぼ不可能。これ以上のチャンスは見込めない。
……もう死ぬしかないのか。
何かないのか?……潜入するタイミング……ウルトロンを奪える絶好のシチュエーションは……何か……何か……
…………潜入?
「……閃いた」
ある……あるぞ。ウルトロンを奪えるタイミングが。
本当に簡単なことだったんだ。潜入なんて小難しいこと考えない。非常にシンプルで、かつ簡単な方法。
『……何か策があるのか?』
ハカセも俺のつぶやきを聞いていたようで、閃いたと言う言葉に反応した。
「ハカセ……」
「下がダメなら……上からだよ」
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