無理矢理連れて行く

 遅刻VS気絶の戦いは、引き分けという形で終了した。


 今考えると最高にばかばかしい。あんなことをしている暇はないというのに、袖女の前でムキになってしまった。


 そんなこんなで、今は袖女が残してくれていた夜ご飯を食べている最中である。


 ちなみに何故か袖女も俺が帰るまで待ってくれていた。さっさと先に食べればよかったのに。


(今日は牛丼か……)


 奇しくもコンビニで購入したレシピと被ってしまった。が、牛丼と言えば男子の大好物。俺も例外ではなく、牛丼は大の好物だ。朝も昼も夜も牛丼でも構わない。


 これは明日の昼ご飯にしよう。そう思った。


「……ん? なんですかそれ?」


 袖女がテーブルの角に置いてある牛丼に反応する。レジ袋に入っているので、一目では牛丼だと視認できないようだ。


「ああ、牛丼だよ。今日夜ご飯はないと思ったか……ら……?」


 俺が言葉を放ったその瞬間、袖女の方を見てみるとびっくり、袖女の背中からどす黒いオーラが溢れているではないか。


「あー……そうですかそうですかー……」


「おう。まぁ、お前が待っていてくれていたおかげで、これは明日の昼ご飯になりそうだ」


 俺が言葉を返すと、袖女のどす黒いオーラがさらに強くなった。まぁ、袖女のご飯を食べると言っておきながら、コンビニの牛丼なんてものを買ってきたのだから、その怒りも当然だと言える。


 だが、それに構っている時間はない。


「いいから早く食べ終われよ。この後、訓練所に行くんだから」


「そうですか、そうです――――え?」


 お前には、やってもらいたいことが山ほどあるんだから。









 ――――









 その後、牛丼を食べ終わった俺と袖女は、運動できる服に着替え、訓練所に来ていた。


「……で、こんな夜遅くに何を教えてくれるんですか?」


 袖女が言葉で俺に早く教えろと催促してくる。こんな深夜に訓練するとは思っておらず、早く終わらせたいと思っているのだろう。


「安心しろ、お前の要領が良ければすぐに終わる」


 俺はそう言いながら、持ってきたメモ帳の中の1ページを千切り、ボールペンでやるべきことを書き込む。


「お前……これをマスターしてもらう」


 その内容とは……


「……マジですか」


「ああ、大マジだ」


 袖女には一刻も早く、オーラの回転を全・身・で行ってもらう。

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