楽しい楽しいお祭りの続き 2日目の総括
「……ふぅ」
俺はあの後、場所を移動し、人気の少ないビルの屋上で休んでいた。
(思えば激動の二日目だったな……)
体育祭の無理やりな出場に始まり、何といっても騎道兄弟との連続バトル。俺のふりをした偽黒ジャケットの登場。今日1日だけでも、手に入れた情報は限りなく多いだろう。
そして、それと同時に……
「失ったものも……かなり多かったな」
そう言いながら、失った左腕に目を向ける。
その左腕は止血を済ませてはいるものの、確かになくなっていた。
それに耳介も、片方うまいこと切り取られている。
(……明日、出られるかどうか……)
俺の姿を見た騎道兄弟は2人とも戦闘不能にしたので、藤崎剣斗1人がピンポイントで文化祭への入場禁止にはならないだろうが、これを見られてしまえば最後、文化祭に関与できなくなるのは間違いない。
(情報は得たが……犯人を決定づけるものは出ていない……)
……と、そんなところに……
『……ギリギリじゃったな』
「ああ、まったくだ」
ハカセのスチールアイが現れた。
いつも通りどこから現れたのかわからないが、その口ぶりから、騎道兄弟との戦いを見ていたらしいハカセが声をかけてくる。
「……見ていたなら、助けてくれてもよかったんじゃないか?」
『ワシのスチールアイがあの戦いに乱入したところで、たいした力にはなれんよ』
「……まぁな」
確かに鉄の玉一つ味方になったとしても、たいした優位性を撮ることはできなかっただろう。
『それに……』
『一対一の勝負に乱入されるのは……伸太のポリシーに反するじゃろ?』
「……そうだな」
さすがはハカセだ。俺のやりたいことを心でも読んでいるかのように察知してくれている。伊達に1番長い付き合いではない。
「一応聞くんだが、俺の手に入れた情報は聞くか?」
『いらん。オヌシの手に入れた情報は既に把握しておる。言葉に出すだけ時間の無駄じゃ……ワシも少し考えてみるわい』
ハカセはそう言った後、別れの言葉を告げ、スチールアイはどこかへ行ってしまった。
(ハカセでも、まだ犯人を把握しきれてないのか……)
もうこの怪我では体育祭に出場できないだろうし、このまま2日目はとんずらさせてもらうとしよう。
(俺も……いろいろ考えてみるか)
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