対抗策
とにかく、まずはあの出所の分からない衝撃から見破らなければならない。
今わかっていることは2つ。あの攻撃は拳から出ているわけではないことと、至近距離でないと発動しないこと。
情報が少なすぎるが、とりあえずこれらの情報を整理し、何とか穴を見つけなければならない。
(とりあえず、近づかせなければこっちのもんだ!)
俺はエリアマインドを発動させ、自分の近くにある1番大きな石を中に持ち上げる。
(狙いを定めて……)
「……いけっ!」
おじいさんの脇腹めがけて石を発射し、ダメージを与えにかかる。対しておじいさんは俺の予想通り、石がぶつかる瞬間に跡形もなく消え失せた。
(これも厄介なんだよなぁ)
今まで、目の前で敵が消えたり、目にも止まらぬほどの超スピードで動かれたことは何度もあった。だが、基本的には気配とタイミング、あと単純に目が慣れることで、何とか対応することができていた。
しかし、このおじいさんの瞬間移動は気・配・もタ・イ・ミ・ン・グ・もない。
何を言っているかわからないと思うが、本当にこの言葉が正しいのだ。瞬間移動や超スピードで動いている敵の場合、普段なら点と点が線で移動しているような気配をなんとなく感じとれるのだが、このおじいさんにはそれがない。点と点の間にあるはずだった移動するための線が全く感じられないのだ。
故に、おじいさんには、100パーセント確実にヒットする不意打ちがあるようなものであり、戦場においてこれ以上のアドバンテージは存在しないと言っても過言ではない。
……しかし、どんなものにも対抗策があるように、この完璧な不意打ちを行えるスキルにも、対抗策は存在する。
(行くぞ!!)
おじいさんが消えた瞬間、俺は片方の足の裏に反射を発動させ、その足で思いっきり地面を踏みつけた。
それにより地面が大きく隆起し、俺を中心に砂の塊や小石がそこら中に散らばり、砂ぼこりが発生する。その中で俺はゆっくりと目を閉じ、砂や小石の散らばる音に集中する。
そう、俺が思いついた対抗策とは、砂や小石がものにぶつかる音を見極め、柔らかいものにぶつかった音がしたタイミングでその方向に拳を発射するというもの。
ただ、俺は耳が良くなるスキルを持っているというわけではない。正直言って人並みだ。だが、絶対にできないわけでもない。ならやる価値はある。これが失敗したとしてもある程度の情報が入手できれば御の字だ。
(おっと、集中集中……)
見極めるのだ。些細な音の違いを。
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