幕間 その後

「……」


 会議が終わった後、4人の内の1人の男が真っ白な廊下を降りていた。

 顔からは機嫌が悪いと言うことを明確に表しており、近寄りがたいオーラを醸し出していた。


「〇〇さん。〇〇さん」


「……む、あなたは…」


 喋りかけたのは1人の男。もちろん、4人のうちの1人である。


「あなたのような方が……なぜこの私に? もうすでに会議は終わっていると思いますが」


「いえいえ…… 1つ聞きたいことがございまして」


 呼び止めてきた男は、ゆっくりと語りだす。


「今回の話……実際どう思います?」


「どう……とは」


「今回の話……正直、あなたは田中伸太がこんなことできると思います?」


(…………)


 そういったところで呼び止められた男ははっとした表情になる。


「確かに……ただの"器の精神安定剤"ごときがそんなことできるはずないか……」


「でしょう? 前の事件もですが今回の事件、明らかにおかしい点がいくつかあります。」


「いくつか……とは?」


 そうやって、呼び止めた男は語りだす。


「まず監視カメラです。明らかにおかしい。誘い込むために地下の扉のロックは事前に外していましたが……監視カメラまで電源を落としてはいません……となると……」


「内通者、もしくは……内部に詳しい人間が田中伸太についていると言う事か……」


 そういった男はじっくり考えだす。そしてもう一つ浮かんだ疑問を目の前にいる男にぶつける。


「だが…… 1つ疑問が残りますぞ? いくら監視カメラをなんとかできたといっても、奴1人でレベルダウンを壊滅まで追い込めるとは到底思えない。侵入したのは、監視カメラに映っていないだけで1人ではなく2人なのでは?」


「その可能性はありません。監視カメラの切れる前の画像を見ても彼1人しかいませんでしたし、その後に騒動になった警察に対しての虐殺も彼1人しかいませんでしたしね」


「だったらどうし「考えれるのは……彼自身が新たな力を手に入れた……と言うことです」……」


 その言葉に、言葉をさえぎられた男は言葉を失ってしまったようだ。


「"外務大臣"……今回の事件……ただの事件とは到底思えません……我々も気合を入れた方がいいかもしれませんね」


 外務大臣、そう言われた男は意を決した表情で、もう1人の男に向き直す。


「そのようですな……"内務大臣"殿?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る