幕間 怒りの〇〇

 まただ、またこの会議だ。この会議がこのペースで行われるなど、今までにないことである。それだけ今起きていることが重要だということがわかる。


「くそっ! くそっ! くそっ!」


 私はガンガンと地面を叩く。その様子が私の心境を表現していた。


「今はそんなことをしている場合ではない。非常事態が起きた今だからこそ、我らが冷静になるべきだと思うが?」


「そんなことはわかっている!!!!」


 私は頭を悩ませる。


 なんていっても、レベルダウンが壊滅したのだ。東京派閥を支えた最大戦力。30年の歴史を持つ最強の軍団。

 それが壊滅したと周りにバレれば、すぐにでも他の最大派閥の耳に入るだろう。


「おい〇〇、神奈川のあの件、承諾した方がいいかもしれんぞ」


「……今はその方が賢明か」


 屈辱だ。東京派閥があんな小僧1人にいいようにされるとは、最初からhyperランクの連中を送っておいたほうがよかったと後悔する。


「"彼女"は無事なのか?」


「無事だ。さすがにB1だけでは奴らも判断できなかったようだ」


「……そうか」


 それならば、まだ東京派閥の全てが破壊されたわけではない。それだけでも朗報だった。


「では、神奈川との件は決定でよろしいですね?」


「かまわん」


「異論はありません」


「仕方があるまい」


 他の3人が反応する。異論は無いようだ。


「では……神奈川から来ているあの子にもそう伝えます」


「ああ……それはいいんですが……レベルダウンの壊滅によって空いた戦力はどうするんですか?」


「何を言っている? そのためのあやつらの訓練だろう?」


「……なるほど。それならば安心ですね」


 今回の会議ももうすぐ一まとめしそうだ。


「それでは……今回の事件の犯人、田中伸太の処遇ですが……」


「殺せ」


「……一応、理由を聞いても?」


「やつはもはやただの小僧ではない。れっきとした大犯罪者だ。そんな奴に情けなどかけている暇は無い」


「……他の方はそれでよろしいですか?」


 他の2人も首をうなずかせる。


「では……今回の事件の犯人、田中伸太は見つけ次第、殺害処分で決定しました。兵士たちにも、そう伝えます」


 今回の議題はひとくくりしたようだ。


「では……今回の会議を終了します」

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