ショーは派手でなくてはいけない

「あぁぁぁ…………」


「……よーやっと理解できたか」


 全く、国のお偉いさんは頭が固くて困る。これだから世界はよりよくならないんだ。


「さて、そろそろかな……」


 種明かしは終わった。後は止めを刺すだけだ。


 俺は食器を2人に向かって放とうとすると……



「やめて下さい!!」



 俺と外務大臣の間に、1人の女が割って入った。



「……あ?」



 その女は確かに俺も確認していた。しかし、隠れて話を聞いていたところ、こいつはあの2人に利用された側。


 そんなわけで、とりあえずは後回ししていたのだ。


「……何の真似だ」


「これ以上……」


 その一言で何となく察した。



「これ以上残酷なことをする必要はないでしょう!! もうこんなことやめて下さい!!」



 こいつも……敵だ。



「……どけ」


「どきません!」



 俺の言葉に対し、目の前にいる女は即答する。強情な女だ。盗み聞きしているときはそんなイメージはなかったのだが。


「そいつは俺をこんな体にした張本人だ。もちろんお前も同罪だが……やられたらやり返す。それのどこに問題がある?」


 やられたらやり返す。それは自然のルーツであり、きれいごとだけでは通用しないこの世の中を表す言葉だ。やり返さなければ舐められる。戦わなければ食われるだけだ。


「それは……それでも! この人たちは東京派閥を平和にしてきました! その恩恵を受けてきた人間として、見殺しになんてできません!!」


「理想論だな」


(典型的な綺麗事を吐く奴だな……こういうのとはどうしても相容れない)


 そういう人間は相手が悪だと信じて疑わない。ある意味、社会に溶けきった人間が1番人間らしくないのかもしれない。


(ボディーガードは全員殺したが、いつ助けが来るかわからないからな……できるだけ早く、最低でも内務大臣と外務大臣だけでも……)


 と、思ったその時……





「それに……そもそもあなたが罪を犯したからこうなったんでしょ!! いじめなんて小さな理由で!!」





 その言葉を聞いた瞬間、俺の体は。



「……ぴゃ?」



 女の四肢を、引き裂いていた。





「……それを」





「お前らが言うな」

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