第260話 推薦

「陳宮、曹操軍で使えそうな若者達を見繕って来たぞ。」

俺が曹操軍内をウロウロすると曹彰の直参に入ろうとアピールする者が多すぎた為に、俺はあえて囮となり、張遼に将として使えそうな者達を探してもらっていたのだ。


「武将としては郭淮、郝昭、典満か。

この3人は引き受けてくれそうか?」

「問題ないな、それと俺の息子の張虎も入れてくれるか?」

「張虎くんもか?」

「そうだ、曹彰の軍を作るのはいいがこちらに情報が入らないのは危険だからな、張虎には俺達とのパイプ役をやらせるつもりだ。」

「場合によっては人質になる可能性もあるが?」

「曹彰なら大丈夫だと思うが、そうなったら息子といえど切り捨てる、息子の為に仲間を危険に晒すつもりは無い、張虎もそれは理解している。」「そこまで覚悟させる必要は無いと思うが・・・」

「息子も武人として育てた、一度任務につく以上、覚悟はさせてある。」

張遼の教育は厳しい物であり、その子張虎は武人として育てられていたのだ。


「わかった、まあ俺から推薦するだけで曹彰が断るかも知れないからな。」

「お前からの推挙を断る訳がない。」

張遼の言う通り、曹彰は俺が推挙した全員をそのまま受け入れる。


「曹彰、俺が言うのもなんだが、断ってもいいんだよ。」

「何を言うんですか、先生が僕の為に選んでくれた人達じゃないですか、断ったりしません。」

曹彰は目を輝かせている。

どうやら自分の軍を持つことにかなり興奮している様子が見て取れた。


「曹彰、嬉しいのはわかるが浮足立つような事は無いように、大将の浮ついた心は部下に伝わるからね。」

「あぅ、わかってはいるんですが・・・」

曹彰自身自覚はあるようだが、心がはしゃいでしまうのだろう。


「やれやれ、曹彰もまだまだ子供だな。

まあ、暫くは私が指導するから実際曹彰の自由に活動するのはまだ先の事だよ。」

「わかってます先生ご指導よろしくお願いします。」

曹彰は元気に頭を下げていた。

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