第161話 進軍
俺は袁譚軍を破ったあと、南下を始める、黄蓋には感謝と章武を守る必要が無くなった事を伝え、臨淄まで戻ってもらうことにした。
その際多額の謝礼を南皮に蓄えてあった財貨で支払ったのであった。
「さて、行きますか。」
俺は全軍を上げて南下していく、南皮には兵士を残していなかった。
「陳宮様、南皮を捨てるのですか?」
陸遜は不思議そうに聞いてくる。
「ここは飛び地になりそうだからね、ここを守る為に死んだら意味が無い。」
俺は南皮から食料と財貨を持って南下していた。
これだけ奪えば当分南皮から兵が動く事は無いだろう。
「申し上げます、西平昌に敵軍が集結している様子にございます。」
「西平昌・・・ということは高順も無事に渡河に成功したんだな。」
「はっ!袁尚軍を破り、渡河に成功したとの報告も来ております。」
「そうか、なら高順に伝令を、西平昌に向かい進軍するように伝えてくれ。
まあ、高順なら向かって来ているとは思うけどな。」
「かしこまりました、ただちに参ります。」
伝令は高順に向かい走っていく。
「陳宮様、此度の戦は何処までやるのですか?」
陸遜は気になった事を質問してくる、これまでの戦は大勝利である、このまま撤退しても充分な戦果になるであろう。
「西平昌にいる兵士を倒して平原を手に入れるまでかな、そうすれば黄河を渡りやすくなるからね。
それに平原が落ちれば、曹操も袁紹に優位に立てるはずだ。」
「それはそうですが・・・」
陸遜は西平昌に集まる兵の数を気にしていた、偵察によると当初から4万はいたようだが、袁譚、袁尚軍の敗残兵を吸収して再び7万からなる軍へと回復していた。
「兵は数じゃないさ、一度恐怖を覚えた兵士は簡単に復帰は出来ないからね、さあ俺達も進軍しようか。」
俺達は西平昌にいる審配軍を叩く為に進軍するのであった。
その頃、西平昌では生き延びた袁譚と袁尚が再び喧嘩をしていた。
袁尚は死んていればよかったのにと思いつつ、此処ぞとばかりに袁譚を責立てる。
「袁譚兄上!全軍を引き連れて南皮に向かい、あろうことか敗戦してくるなどいったいどういう事か!」
「うるさい!お前こそ同数の兵士相手に防戦すら出来ないとは恥ずかしいと思わないのか!」
「御二方様、落ち着きください、我らが争えば敵に利するだけにございます。
今大事なのは一丸となり敵に当たる事にございます。」
「審配!お前はどちらの味方なのだ!」
「そうだ審配!戦下手な兄上に軍は任せられんよな、ここは将器に溢れる俺が指揮を取るべとハッキリ申せ。」
「なんだと!お前のどこに将器があるのだ!
審配、袁家の未来を思うなら、俺に任せるべきだ!」
審配としては若い二人のどちらにも軍を任せたくない、余裕のある戦ならまだしも、敗戦したあとである、兵の士気は低く、難しい難局に袁譚、袁尚の二人が対応出来るとは思えなかった。
「ここはわた・・・」
「「審配!どちらを選ぶのだ!」」
二人は審配の言葉を遮り、どちらに預けるか聞こうとする。
どちらを選んでも選ばれなかった方に恨まれる、かと言って自分が指揮を取るとも言える雰囲気でも無かった。
「ならば、こうしましょう、現在7万の軍があります、御二方には3万を率いてもらい、左翼に袁譚様、右翼に袁尚様が布陣していただきます。
そして私が1万て中央に布陣し、戦況次第で加勢致すということではどうでしょうか?」
「ふむ、相手は2万程度、3万あれば勝てるな、よかろう、審配の策を取る。」
袁譚は8万を率いて負けたことを既に忘れているのか3万で勝てると言い出す。
「おや、負けたくせに偉そうですな、まあ審配に援護してもらえれば勝てるのではないでしょうか?」
「援護がいるのはお前の方だ!」
「まあまあ。戦の前です、争いはお控えください。」
「「ふん!」」
二人共不機嫌そうに部屋から出ていく。
「こんな状態で勝てるのか・・・」
審配には不安だけが溜まっていくのであった。
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