第122話 身内で会話に
「曹清、いったいどうなっているのだ?」
曹操は曹清を呼び出し問いただす。
「申し訳ありません、私の不徳の致すところです・・・」
翠嵐との会話により、自身の行いを自覚してしまった曹清は陳宮に対しての裏切り行為を恥、それ以来陳宮に捨てられるのでは無いか、そればかり考え、震えがとまらない。
「曹清、それでは不貞は事実なのか・・・」
曹清の姿に曹操最悪の事態だと考える。
「不貞はしてません!」
「だが・・・」
「私がしてしまった事で誤解を招いているのは事実です、ですが私は陳宮様を裏切ったりしてません!」
「俺としては信じてやりたいが・・・」
曹操もすぐに噂を調べたが、そこにあったのは曹清と夏侯充の距離を詰めていく話であり、先日、匂いを付けて帰ってきた事が決定的となっていた。
「本当なんです!私は陳宮様しかいないんです!」
曹清が泣きながら釈明するものの、世間はそうとらえないだろう。
噂の中には美男美女の曹清、夏侯充を褒め称える物が多く、中には夏侯充が陳宮から救い出した、曹清が真実の愛に目を覚ましたなど、反対方向に肯定的であった。
今否定をしたところで受け入れる者は少ない、逆に引き裂かれた愛などと言われそうな雰囲気を持っていた。
「父上、そのような物の事はどうでもいい、それよりこれから如何にするかを話し合いましょう。」
曹彰の曹清を見る目はゴミを見る目であった。
先生と慕い、軍略についてのみならず、武芸を張遼に指導を頼むなど、子供の自分のわがままを誠意を持って行ってくれた。
徐州に向かう時には既に裏切っていたというのにだ。
「曹彰!それは誤解なの!曹彰の口から陳宮様に説明してほしいの!」
曹清は藁をも掴む気持ちで曹彰に頼む、今陳宮と繋がっているのは自分ではなく曹彰なのだ、その事に悲しみを覚えるがそれどころでは無い、何としても誤解を解かないと。
「俺の口から?何を言ってやがる、身体から男の匂いを漂わせて帰ってきたと伝えろと言うのか?
これ以上先生を侮辱するなら斬るぞ。」
曹彰の目からは明らかな敵意を感じる。
「違うの!話を聞いて!」
「父上、今後について話すならこの痴れ者に用事はありません、先生と縁を持つのなら妹の曹憲に嫁いで貰えばいいのです。」
「曹彰、あなた!曹憲はまだ10も来てない子供ですよ!」
「縁を持つだけならいいでしょう、今から先生のところで過ごせばいらぬ虫に目移りすることも無いでしょうから。」
曹彰の言葉には曹清への拒絶がハッキリとしていた。
「曹清、少し席を外せ、曹彰と話がある。」
「お父様!私は決してしてません!」
「わかっている、だがな、男にそれを確かめるすべがないのだ、一度疑われた以上信じきれんだろう。
仮に今お前が身籠っていた時、その子が誰の子か議論せねばならん。」
曹操に子供の事を言われて曹清は反射的にお腹を抑える、仮に子がいたとしたら間違いなく陳宮の子だ。
曹清自身はハッキリと言える。
言えるのだが、陳宮にとっては・・・
会っていない時に出来た子供・・・
私には男の噂がある・・・
産まれてきた我が子が陳宮に疑いの目で見られる、見られてしまう。
曹清は想像してしまったのだ。
「いやぁぁぁぁーーー!」
曹清はお腹を抑えて座り込む。
自分の中にいたのは陳宮だけだ、それを疑われるなんて!
曹清は悲しみから発狂してような声を上げるのだった。
「違う!違うの!私はしてない!信じて!!」
「誰か曹清を別室に卞を呼んでくれ。」
取り乱した曹清に侍女を呼び、別室に連れて行ったあと、曹清の支えとして妻の卞氏を呼ぶ、妻なら曹清のケアを頼める。
せめて落ち着くまでは卞氏に任せるべきであろう。
曹操は曹清を信じていない訳では無い、だが今の状況は・・・
曹清に同情するのであった。
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