第282話 劉備軍と劉表軍
新野が落城する中、夏口では劉表、劉備軍合わせて八万と孫権軍七万の戦は始まっていた。
「攻めかかれ!」
主君自ら指揮を取る孫権軍の士気は高い、連日の猛攻に劉表は下がり気味となり、劉表軍を率いていた蔡瑁は既に江夏での篭城を視野に入れていた。
「諸葛亮、このままだと劉表軍は負けてしまう、何か良い策は無いのか?」
劉備は激戦続く中、猛攻を受け切る堅い防陣を敷いた諸葛亮を更に評価していた。
「劉備様、真の好機はすぐに訪れます、今は守りを堅め、耐えしのぐ時にございます。」
諸葛亮は落ち着いた声で劉備に語りかける。
「我等は耐え凌いでいるが劉表軍の蔡瑁殿は孫権の猛攻に耐えきれそうに無いぞ。」
「ふむ・・・ならば少々早いですが策を進めますか。
劉備様、蔡瑁殿に策を授ける機会を作ってもらえませんか?」
「わかった、すぐに手筈を整えよう。」
劉備は蔡瑁に使者を出し、すぐに面会する手配が整う。
「劉備殿、何やら策があるようだが、言ってみよ。」
蔡瑁は劉備が口を開く前に質問してくる、その様子からも切羽詰まったことがよくわかった。
「蔡瑁殿、私の軍師諸葛亮から説明してもらいます。
諸葛亮、蔡瑁殿に説明を。」
「蔡瑁殿、孫権の勢いは強いのは何故だとお考えでしょうか?」
「それはかつて攻め込んで来た孫権の父、孫堅を討ったからであろう。
まったく攻め込んで来ておいて討たれたから仇討ちだと言うのは片腹痛いわ!」
「誠に。
ですが、その気性が孫権の隙となります。」
「なに?」
「蔡瑁殿は程々の所で江夏に向い篭城していただきます、孫権軍の主力は江夏に迫る事でしょう。
ですが、我々は江夏に篭城したかに見せかけ、北の安陸方面に向い兵を伏せます。
それと黄祖殿には我等より先に密かに西の雲杜方面に向かい同じく兵を伏せます。」
「ただの伏兵ぐらいで孫権を倒せるのか?」
「いえ、もう一つ策を用います。
攻城戦において孫権は周瑜に指揮を委ねる事でしょう。
そして、城にかかりきりになっている時に黄祖殿が雲杜にて旗を上げ孫権に向かってもらいます。
まだ若く気性の荒い孫権の事です!親の仇である黄祖殿を見つければ血気に逸り黄祖殿を討とうと自ら兵を指揮し向かう事でしょう。
そして、そこを我等劉備軍が叩きます。」
「面白い策やも知れんな。」
蔡瑁は諸葛亮の言葉に聞き入っていた。
「蔡瑁殿、いかがだろう、諸葛亮の策を用いてみますか?」
「うむ、このまま篭城するだけというのも面白くない、孫権を討ち取る策を実行しようではないか。」
蔡瑁は諸葛亮の策を用いることを決め、段取り通り江夏へと向かうのだった。
そこには劉備の旗も存在しており、あたかも江夏に向かっているように見えていた。
「さあ、劉備様、お早く向かいましょう。」
「これで勝てるのか?」
「勝てます、この戦は・・・
劉備様の天下はここから始まるのです。」
諸葛亮の自信有る笑みを劉備は信じるのだった。
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