第184話 三者面談
「陳宮殿、今回はしてやられたな。」
「勝敗は兵家の常にございます。」
俺は袁紹に声をかけられ無難に話す。
「袁紹、俺を飛び越え陳宮に話しかけるな。」
「ふん、俺はお前には負けていないぞ、曹操。」
「よく言うな、陳宮は俺の娘婿だ、陳宮の勝利は俺の勝利という事になる。」
「よくもまあ、フシダラな娘を当てつけて言えるものだな・・・
まあ良い、それより、捕虜交換が済んだ今、停戦後の領土について話し合おうか。」
曹操にしても袁紹にとってもこのまま戦を続ける余裕は無い、捕虜交換を機に停戦の運びとなっていた。
「平原と鄴から以南を頂こうか。」
「欲をかくな曹操、それほどの範囲は守れまい、黄河流域といったところだろう。」
袁紹の言う通り、曹操軍が全軍をあげて来ているからこそ袁紹を鄴に押し込めているのである、曹操本軍が少しでも下がれば維持できない戦線であり、曹操自身もいつまでも鄴にいるわけにもいかない、袁紹の落とし所は妥当なものであった。
「わかった、わかった、それで停戦期間はどうする?」
「一年でどうだ?」
「わかった、それで良かろう、陳宮もいいか?」
「俺も問題無いな。」
「ならば袁紹、一年の停戦とする。」
ここに袁紹との停戦がなる、だがこの停戦は互いに次の戦いまでの準備期間という認識であった。
「陳宮殿、袁尚と袁譚が世話になった。」
話も終えたところで袁紹が礼を言う。
「彼らが捕虜として私の所に来たのは縁があったのでしょう。」
「それでもだ、曹操の元に送っていればどうなったか想像もつかん。
五体満足で帰って来れただけでも僥倖なのだ。」
「曹丕様の一件がありますので、それは致し方ない事かと。」
「だからこそ、礼を言う。」
「袁紹、それを言うぐらいなら、俺の息子をやった事に謝罪はないのか?」
「攻めてきた軍を撃退しただけだ、捕まり方が違うであろう。
・・・だが、親としては少々申し訳ない事をしたとも思う。」
袁紹は曹操に対して謝る気は無い。
「曹操、俺の下に入る気はないか?」
「お前の天下などお断りだ。」
「強情な奴め、次の戦は負けんぞ。」
「よく言うな、次も俺が勝つ!」
曹操と袁紹、互いに引けないものがあるが、その様子だけ見ると長年の友という感じを受けるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます