第246話 曹操命令をくだす

「夏侯淵に鄴を任せる、一軍を率い高幹を滅ぼすのだ。」

曹操は夏侯淵に正式に命令を降す。

「わかった。」

曹操は主力を夏侯淵に任せる。

「郭嘉は夏侯淵に帯同して補佐をしろ。」

「かしこまりました。」


「賈詡は馬騰と同盟に向け調整、程昱は劉表の調査を。

荀彧は内政に集中しろ。」

曹操は信頼する軍師達に指示を出していく。


命令が降るたびそれぞれが礼をして拝命していく。


「陳宮、お前は袁尚を滅ぼせ。」

「お任せを。」


俺が命令を受ける横から曹休が曹操に進言する。

「曹操様、陳宮殿の下には袁煕がいるとうかがいました、曹丕様の無念を晴らす為にも引き渡しを求めるべきでしょう。」

「曹休殿、曹丕様が恨みに思うのは理解しますが、私は自分の所で保護した者を引き渡すつもりはありません。」

「陳宮殿!それは曹操様の命令があったとしても拒否するおつもりか!」

「そうです、たとえ曹操の命令でも拒否します。」

俺の答えに曹休がにやりと笑う。

「曹操様の御命令でも無視をすると!それは反逆ではないのですか!」

曹休は周囲に聞こえるように反逆を強調して喋る。

「たとえ反逆と言われようとも俺は考えを変えるつもりは無い。」

「多少戦功があったことで増長したか!この者を捕らえよ!」

曹休は自身の部下でもある近衛に俺の捕縛を命じる。


「待て!」

だが、曹操がそれを許さない。

「陳宮を捕まえる必要は無い。」

「曹操様!陳宮殿は曹操様の御命令を聞かぬと堂々と言い放ちました、これを咎めねば他の者の示しがつかないというものです。」

「袁煕を差し出せという命令を出したことは無い、よって陳宮に反逆の意図は無い!」

「しかし、袁煕は袁家に連なる者、処分を御命令なされていたはず、それを陳宮殿が破っているのです。」

「確かに以前そのような命令を出したが、その時と状況が違う、曹休命令に忠実なのは美徳でもあるが世の中には臨機応変という言葉もある。」

「くっ・・・わかりました。」

曹休は苦々しい表情を見せるが曹操の命令に従う。


「曹操、申し訳ない。」

俺は曹操に頭を下げる。

「構わん、それに曹彰から話は聞いている。

皆よく聞け、今回の鄴攻略は袁煕があっての物であった。

その功績により、袁煕を助命する事とする。」

曹操は曹彰より、鄴攻略の方法を詳しく聞いており、その中で袁煕の話も聞いていた。

此処で感情のまま袁煕を罰すれば陳宮との関係は悪化するだけだ、それならば助けることにより、恩を与えるべきだろうという判断をくだしていたのだった。


後日、袁煕が許された事を許昌で知った曹丕は激怒するのであった。

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