第247話 曹彰の妹
曹操家中に命令がくだり慌ただしく動く中、俺は兵を休める意味もあり、少しのんびりしていた。
「先生に紹介したい者がいるんです。」
そんな折、曹彰が俺の所にやってくる。
「紹介したい者?誰かな?」
「曹憲、先生にご挨拶しなさい。」
「は、はじめまして、曹彰お兄様がお世話になっております。
妹の曹憲ともうしましゅ・・・」
曹彰が連れてきたのはまだ7〜8歳ぐらいの少女だった。
「これははじめまして、曹彰の先生を務めさせてもらっている陳宮です。
曹憲様、立派なご挨拶をありがとうございます。」
俺は頑張って挨拶をしたのだろう、恥ずかしそうに曹彰の服の裾を持つ曹憲の前に腰を落とし優しく声をかける。
「あ、ありがとうございます。
あ、あの、曹彰お兄様から陳宮様は歴史に名を残す英雄だとお聞きしたのですが・・・」
「そんな事は無いよ、私は非才の身で頑張っているだけです。
英雄というのは曹操みたいな奴の事を言うんです。」
「でもでも、お父様も言ってました、陳宮は凄い奴だと、今回も大手柄を上げたとか。」
「今回の手柄は曹彰の物だよ、見事に総大将を勤め上げ、鄴攻略という難題をこなしたのですから。」
「あ、あの詳しく聞きたいです。」
曹憲は目を輝かせて話してくれるようにお願いしてくる。
「先生、俺も先生の話を聞きたいので一緒に聞かせてもらえないですか。」
俺は時間もある事だし、曹彰の質問に答えるような感じで今回の鄴攻略の見解から始まり、今後の戦略などを話していく。
「・・・おっと、曹憲様には退屈な話ですね。」
俺は曹彰の質問に答えるあまり、詳しい戦略になっている事に気付く。
「大丈夫です、凄く面白いです!」
だが曹憲は食いつくように話を聞いていた。
「曹彰、曹憲様は戦略について勉強したりしてるのかい?」
「ええ、父上が書いた孫子の兵法書を読んだりはしてましたが、ここまで理解しているとは知りませんでした。」
「陳宮様、続きを教えてください♪」
「そうです、先生。僕も知りたいです!」
曹彰、曹憲に急かされるように俺は長い時間戦略について話す事になるのであった。
「陳宮様、少しお聞きしたい事があるのですがよろしいでしょうか?」
曹憲が少し聞きにくそうに聞いてくる。
「なんでしょう?」
「あの・・・何故陳宮様はお父様の下を一度離れたのでしょうか?」
「・・・そうですね、それは曹操が民の為にならないと感じたからでしょうか。」
「お父様が?」
「そうです、まあ結果戻って来ているのですから、偉そうには言えませんね。」
俺は苦笑いを浮かべる。
「あの詳しく聞かせてください、お父様と何があったのでしょう?」
「先生、僕も聞いてみたいです。」
曹彰と曹憲は二人で身を乗り出し真剣な表情をしていた。
「わかりました。
あまり楽しい話では無いですが、そうですね、あれは青州黄巾党が降った192年から話しましょうか・・・」
俺は二人に昔話を始めるのであった。
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