第245話 曹操合流
「曹彰、よくぞ鄴を落とした!」
曹操は鄴に来て総大将だった曹彰を褒める。
「全て先生のお力にございます、褒めるなら先生を最初にお願いします。」
「曹彰様、戦果は総大将の曹彰様の物にございます、私はその手伝いをしただけです。」
「先生、それは違います、先生の戦功は誰が見ても明らかです。
父上、先生を讃えること先に。」
「陳宮のチカラはよく知っている、その性格もな。
陳宮、曹彰が面倒をかけているな。」
「いえいえ曹彰様は聡明で面倒などかけられておりません、此度の戦とて私が手を貸さなくともご自身で落とせた事でしょう。」
「そこまで持ち上げる必要は無いぞ、これからも曹彰をしかと導いてくれ。」
「はい。」
「曹彰も陳宮の言うことを重く受け取るのだぞ、こいつ程優秀な奴はそうおらんからな。」
「勿論です!先生にはこれからも教えてもらいたいことが山程あります。
先生これからも宜しくお願いします。」
「ええ、出来る限りの事は頑張らさせてもらいます。」
曹彰が慕うのを曹操は嬉しそうにながめていた。
「陳宮、お前ならこの後どう動く?」
曹彰が少し落ち着いたあと、曹操と俺は二人になり戦略について話し合う。
「この後か・・・北の安定の為にも高幹と袁尚は片付けておきたい所だな。」
「俺もそう思うが、西と南はどうする?」
「劉表と馬騰か・・・
馬騰には使者を派遣して同盟をしてみるのはどうだ?」
「同盟か?」
「以前会った馬騰はそれほど野心の無い男のように見えた、天下の安定の為なら協力出来るんじゃないか?」
「悪くは無いな、馬騰なら高幹征伐に共闘も出来るだろう。」
「あとは劉表だが、劉備が逃げ込んでいると聞いたが?」
「そのようだな、袁紹の所にいると思っていたがいつの間にか逃げ出していたようだ。」
「劉表も獅子身中の虫を招き入れるとはな・・・」
「陳宮は劉備の評価が辛辣だな。」
「あれは寄生虫のたぐいだな、居付けば民の心を掴み主家に仇なす存在になる。
大人しく配下となれば問題無いかも知れんが、当人が野心家だから、あわよくば乗っ取る事しか考えていない。」
「劉備が野心家か?世間の評価とは違うな。」
「野心家だろ、氏素性の解らぬ輩が皇家の血筋を詐称し、民のみならず陛下すら欺いた男だ、機があればその詐称した血筋で皇帝を名乗りかねない。」
「皇帝か?それは無理があるだろう、袁術のように諸侯に背かれ身を滅ぼす事になるだけだ。」
「袁術は血筋が違うからな、ただの簒奪者になるが、劉備は違う、血筋が同じ事になるからな、機会があれば皇家の正統性を名乗ることが出来る。」
「ふむ・・・だが、都に陛下がいる以上、劉備に正統性はあるまい。」
「そうだ、だが陛下が子も無くお隠れになる、もしくはお前が簒奪者になれば、劉備に正統性が出来てしまう。」
「俺は簒奪者になるつもりは無い。」
「まあ、お前はそうだろうな。」
俺は曹操の本質は乱世の奸雄より、治世の能臣である事を知っている。
世が世なら功臣として民の為の為に尽力したであろう。
「皇家の事は置いておこう、それで劉表をどうする?」
「北を治めるまでは動かせる兵力が足りないな、暫くは睨み合いになるだろう。
劉備も乗っ取るまでには時間がかかるだろうからな、なるべく早く戦えるようにしたい所ではあるが・・・」
「ならば、北への陣容が大事になるな。」
「そうだな、袁尚は俺の方でなんとかするが、高幹は任せていいか?」
「俺は都で引き締めをせねばならない・・・」
曹丕と夏侯充の一件もあり、現在曹操陣営はかなりの混乱がある、曹操が都から離れると混乱が悪化する可能性がある為に曹操自身が大軍率いて行くということは出来ない。
「やはり夏侯淵に任せるのが一番じゃないか?」
「そうなるな。」
鄴を失ったとはいえ、高幹の本拠地である并州は健在であり、匈奴と同盟関係がある以上、匈奴との戦も覚悟する必要がある。
難しい戦を任せるには曹操軍内では夏侯淵が適任と思えた。
こうして、俺と曹操の話し合いは終えるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます