第301話 出兵
帰国すると少し不満気な曹清が城の前で出迎えてくれる。
「・・・曹清さん、ただいまです。」
「あら?陳宮様、何かやましい事があるのでしょうか?」
「あっ、いやそれは・・・」
「今夜じっくりとお話を聞かせて貰います。」
俺と曹清が話しているのに当たり前かのようにみんなは無視して城へと入っていく。
「助けろよ、主君のピンチだぞ!」
「夜の話だろ?家臣に振るな、しっかりと絞り取られろ。」
魏越は軽そうに手を振り、他のみんなも知らない顔で帰国していくのだった。
翌日、一晩たっぷりと事情徴収された俺は少しやつれた表情で会議を始めていた。
「さて、俺の留守中に何かあったか?」
「特には変化は無いが高順から袁尚討伐の準備が出来たと報告があったぞ。」
「そうか、それなら・・・」
俺は少し考える。
「張遼今回は留守番を頼むよ。」
「わかってる、高順が出るなら俺は守りを固める方に回るさ。」
「魏越、成廉、趙雲、張郃はついてきてくれ。」
「先生!僕も連れて行ってください!」
曹彰が声を上げる。
「ふむ、北まで行くからな・・・
いや、地方を見るのもいい経験になるか、曹彰もついて来なさい。」
「ありがとうございます。」
曹彰は満面の笑顔を見せる。
「張遼、二万の兵を連れて行くけど大丈夫か?」
「こっちは大丈夫だ、留守番の間に新兵を補充して訓練しておく。」
「頼んだ。」
俺は張遼に留守を任せて高順と合流すべく平原に向かうのであった。
出立前に俺は関興、張苞の二人を呼出す。
「関興、張苞、今回の戦で君達にそれぞれ千の兵を任せる。」
「俺達に千の兵を!」
「君達の武勇は既に将の腕前はある、だが兵を率いる事はまだしていないだろ?」
「はい。」
「一度経験してみるといい、ただし此方からの指示に従えないようならすぐに解任するからそのつもりでいるように。」
「あ、あの、俺達は敵の息子ですよ、裏切ったらどうするつもりですか?」
「裏切り者の武名を天下に響かすかい?
それも一つだけど、裏切った時は相応に対処するだけだ。
まあ劉備を相手にするわけでもないし、早いうちに兵を率いる感覚を得ることは君達の経験になると思うけど、どうする?
無理なら断ってくれても良いよ。」
「お願いします!」
関興は即座に答える。
「おい関興、お前陳宮の部下になるつもりか!」
「張苞、俺達は父上に捨てられ一度死んだ身だ、今更劉備様に忠誠を尽くす必要は無いだろ。
それに相手は袁尚、倒しても問題ない相手じゃないか。」
「まあな。」
「それにな陳宮様は俺達の事を育ててくれようとしているんだぞ、それに応えるのが漢じゃないか!」
関興の熱い説得もあり、張苞も千の兵を率いる事を了承するのだった。
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