第98話 曹洪の命拾い
「陳宮、助かった。」
追撃されていた軍は曹洪がいた、見る限りかなりの怪我はしているものの、命に関わりそうな怪我が無かったのは幸いだった。
「曹洪いったいどうなっているんだ?
俺達は上陸したばかりで情報が足りない。」
俺は曹洪から情報を聞く。
「わかった、俺のわかる範囲で話そう・・・」
曹洪は苦々しい思いで語り始める。
時は少し遡る、袁紹軍の奇襲にあったものの、曹洪は正面の敵を食い止めていた。
左右の敵に対しても夏侯尚、夏侯徳が上手く防いでおり、容易く打ち破れ無いほどの活躍を見せていた。
「これならば本陣の曹丕、いや典満が兵を指揮してどれかの軍に参戦すれば囲みを破れるな。
後はそれに合わせて撤退するのみだ。
皆、本陣が動くまで時間を稼ぐぞ、無理はするな!」
曹洪は兵の損失を防ぎつつ、敵の大軍を受け流す見事な用兵で時間を稼いでいた。
「伝令!本陣から連絡が来ました!」
「連絡?それより兵はまだ動かんのか!」
「それが・・・」
「曹洪様、曹丕様は敵に降られました。戦を止め、曹洪様も降られますよう。」
「なっ!どういう事だ!」
「どうもこうもありませぬ、これは曹丕様からのご命令にございます。」
「そんな馬鹿な話があるか!俺達が戦っているのが見えないのか!」
曹洪は激昂して伝令に来た兵を責める。
そこに本陣から典満が僅かな兵を連れてやってくる。
「曹洪様申し訳ありません。」
「典満いったいどうなっている!」
「夏侯楙と郭奕が裏切りました。
あいつら敵軍の数を恐れ、曹丕様に詰め寄り降伏の使者をだしやがった!」
「なんだと!お前はそれを見ていたのか!」
「申し訳無い、俺が軍の支度をしている最中にやられたのだ!」
典満は悔しそうに地面を叩く。
「くっ!こうなれば曹丕だけでも助けに行くぞ!」
「駄目だ、既に二人の手のものが曹丕様を囲んでいた、俺もなんとかしょうとはしたが、破る事は出来ず、こっちに来た次第です。」
典満の姿は既に一戦を終えた後の様子を見せていた。
曹洪とて目の前の敵を放置して曹丕を助け出す事が出来るとは思えなかった。
そして、そこに大量の矢が降り注いでくる。
「何だと!後ろからだと!」
矢は曹丕の本陣から降り注いでくる。
曹洪の軍勢は前に集中しており、後ろからの矢に大損害をだす。
そして、曹洪の腕にも矢が刺さる。
「曹洪様!」
「くっ!大丈夫だ・・・」
大丈夫と答えたものの、利き腕に喰らった矢は重い。
これまでと同じ戦いは出来なくなる。
「致し方なし、これより囲みを抜ける、典満、悪いが先陣は任せた!」
「はっ!俺のチカラをお見せいたしましょう!」
曹洪は典満を先頭に決死の突撃を見せ、囲みは破るものの多くの兵を失い、その後の追撃を喰らい、典満は負傷、更に兵を減らした所で陳宮の助けを受けるのであった。
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