第198話 夏侯充、結婚に向けて
「夏侯充と程昱の娘が結婚するのか?」
俺のところに夏侯惇がやって来て伝えてくる。
「ああ、お前と曹清に迷惑をかけてすまなかった、これで夏侯充が曹清にちょっかいをかけることは無い。」
「まあそれはいいんだが・・・
程昱殿の娘に適齢期な娘っていたか?」
程昱は俺より15歳ぐらい年上の男だし、若い娘がいたような記憶が無い。
「・・・夏侯充と少し歳が離れている娘がいてな。」
夏侯惇が見た目について言わないところを考えると相手の風貌はあまり良くないのだろうということがわかる。
「歳が離れているって何歳だ?」
「30を少しこえたところだな。」
「少し歳の差があるな、他にいなかったのか?」
「いるかも知れんが程昱と縁を持てると思えば悪くないだろ。」
「それでも、本人の気持ちもあるだろ?」
「確認はしたが本人も乗り気でな、祝いに貰った剣を翌日には差していたぐらいだ。」
「まあ、程昱の後ろ盾を得れるならと言った所か。」
夏侯充は先日の敗戦で名を落としている、今後の出世を考えれば、曹操の参謀として地位を確立している程昱を夏侯惇以外の後ろ盾に求めても不思議では無かった。
「夏侯惇、色々言ったが本人が納得しているならめでたい話だな。」
「おう、陳宮には色々迷惑をかけた、今後も曹清を頼むぞ。」
「お前に言われなくてもわかっているさ。」
夏侯惇は軽く言葉をかわしたあと、他の重臣達に挨拶をするために去っていった。
「夏侯充、お前程育殿と結婚するのか?」
噂を聞いた曹休が夏侯充を訪ねてきていた。
「・・・不本意ながらな、程昱殿の後ろ盾を得れると思えば悪い話だけでは無いと思うのだが。
曹休、程育殿はどんな方か知ってるか?
俺はまったく記憶に無いのだが・・・」
夏侯充は見た目の良さからそれなりに浮名を流していたのだが、程育に見覚えが無い。
それに程昱の娘ならそれなりに噂があってもいいはずなのだが、噂すら聞いた覚えが無かった。
「そ、そりゃ、俺達と世代が違うからな。」
「世代が違う?おいおい、まさか幼女か?
育つまで待てということか。」
「違う、逆だ逆。育つ必要なんて無い。」
「ぎゃく?」
「そうだ、程育殿は俺達より歳上だ。
・・・その世代が違うぐらいに。」
「う、うそだろ?」
「嘘じゃない、たしか30は越えていたと思うが・・・」
「行き遅れかよ!くそっ、ハズレだからあれ程、程昱殿の反応が早かったのか!」
「・・・」
「おい、曹休まだ何かあるのか?」
「・・・お前に言っていいか迷うが。」
「おい、不安になる事を言うなよ、まだ何かあるのか?」
「少々、大きさが・・・なっ。」
「大きさ?背が高いのか?」
「その程度で言いよどむかよ。」
「・・・まさか。」
「俺達の倍ぐらいとの噂だ。」
「嘘だと言ってよ、曹休!!」
「嘘を言っても仕方ないだろ、まあ噂だ、違うかも知れんが・・・」
曹休はあまりに夏侯充が可哀想になり直視が出来ない。
「その視線が全てじゃねぇか!!」
夏侯充の叫びが屋敷中に響き渡っていた。
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