第212話 揉め事
「曹丕様を連れて曹純様が出ていったぞ。」
曹休は好機がきたと感じる。
近衛兵のトップである曹純が現場を離れたのだ、命令権は曹純に次ぐ自分が取るのが当然の流れであった。
「警備を入れ替える、俺の指示に従い次の配置に行け!」
曹休は近衛兵の中でも自分に従っているものを室内の警備に回し、従っていない者はなるべく遠くに配置し直す。
「頃合いだな、合図を送れ。」
曹休はあらかじめ用意していた者に襲撃をさせる。
「曹操様、一大事にございます、結婚に反対する者達が押しかけて来ております。」
「なんだと!室内に入れるな!」
「お任せください、この曹休必ずや追い返して見せます。」
「くれぐれも対応を誤るな、宮殿に来れるような者達だ、傷をつけると後々面倒になるやも知れん。」
「おまかせください、では少し席を離れます。」
曹休は指揮を取るために部屋から出ていく。
「張郃、ここにいる来客の警護を頼むよ。
来客にケガをさせたとあればかなり不名誉な話になるからね。」
「かしこまりました。」
張郃は俺の警護から離れて室外に向かっていく。
外から聞こえる声に会場内も少しざわついている。
「曹清様、お色直しも含め一時控室の方に。」
侍女の一人が曹清に一度部屋に戻るように伝える。
「ですが・・・」
「この騒ぎです、収まるまで少し時間がかかる事でしょう、再開するまでにお色直しをして陳宮様に見てもらいましょう。」
「そうですね、陳宮様、少し控室に戻って来ます。夏侯敬一緒に行ってくれますか?」
「はい、陳宮様行ってまいります。」
「わかりました。」
曹清は俺に一言入れたあと夏侯敬と共に一時控室に向かうのだが、俺は少し引っかかる物を覚える。
表に来ている者達はあまりにあからさま過ぎる、曹操がいるのに騒ぎを起こしてただで済む訳が無い。
・・・もしかしたら陽動ではないのか、ならば本命はなんだ?
狙うとしたら俺と曹清・・・
俺はそう考えた瞬間、俺は曹清を追いかけるように走り出す。
「曹清様!失礼します!」
俺は慌てて控室に入るが誰もいない。
「いったい何処に・・・」
俺は考える、開催前に屋敷内は調べたはずだ、簡単に不埒な真似が出来るとは思えない。
それに近衛兵がいる状態で曹清に害する事など出来るのか・・・
いや、近衛兵の中に敵がいるのか。
そもそも宮殿に来れるような者が表立って押し掛けて来るのか?
来た事自体が出来レースなら・・・
「成廉いるか!」
「おう!いるぞ。」
「来客の警護もういい、全部曹操に任せろ、全力で曹清様を探せ。」
「いいのか?近衛兵と揉める事になるが?」
成廉は宮殿内に陳宮軍の兵士を入れる時に近衛兵が反対していたことは聞いていた、ここで派手に動けば関係悪化は免れ無い。
「構わん!違っていたら謝ればいい、今優先すべきは曹清様と夏侯敬の身の安全だ、邪魔立てするやつがいれば斬れ。」
「よし、お前に覚悟があるなら構わん!
お前ら手段は選ばん、曹清様を探せ。」
「「「おう!」」」
張遼が鍛えた精鋭達が宮殿に解き放たれるのであった
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